マンション売却における「消費税」「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」「住民税」を解説

税金の基礎知識

マンション売却にかかる費用を大きく2つに分けて考えてみましょう。費用の1つ目は、手数料。2つ目の費用は、税金です。

手数料は、仲介業者に支払う「仲介手数料」、登記を依頼した司法書士に支払う「司法書士手数料」、住宅ローンの残債がある場合に銀行に支払う「一括繰り上げ返済手数料」になります。
では、2つ目の費用、税金にはどんな税金があり、どれくらいかかるのでしょうか。
今回は、マンションを売却する時にかかる費用のうち、税金に関して解説していきたいと思います。

マンション売却にかかる費用・5つの税金を知ろう

 

マンションを売却する際にかかる費用の中で、税金については、5つあります。
「消費税」「印紙税」「登録免許税」「譲渡所得税」「住民税」です。

個々の税金について詳しく説明する前に、まずマンションの売却の流れを時系列に追って見てみたいと思います。売却の流れをみながら、支払う費用や税金についてみていきます。

<マンション売却が決まったらまず>
1・不動産会社にマンションの査定を申し込みます。
2・信頼出来る業者が決まったら、仲介を依頼し、媒介契約を結びます。

<マンションを売却するための販売活動が始まります>
3・無事買主が決まったら、売買契約を結びます。このとき、売買契約書には「印紙税」が必要です。また、この契約の際に、通常は仲介手数料の半額を支払うことになります。

<さあ、いよいよ、マンションの引渡しと決済です>
4・物件の引き渡しと決済は同時に行われます。まず、マンションの買主から売却代金を受け取った後、残っている住宅ローンがあれば一括返済します。ここで、繰り上げ返済手数料がかかる場合があります。次に銀行から抵当権の抹消書類を受け取り、司法書士が抵当権抹消登記と所有権移転登記を行います。登記のための費用として司法書士手数料と「登録免許税」を司法書士に、仲介手数料の残金を仲介業者へ支払います。

<マンションを売却した後、必要に応じて確定申告をします>
5・マンションが購入時よりもアップした金額で売却できたために、利益が出た場合は確定申告が必要になります。購入したときの金額よりも売却金額が下がってしまった、という場合が多いと思いますので、その場合の確定申告は不要になります。

今の流れの中では「印紙税」と「登録免許税」しか出てきませんでしたね。では次はもう少し詳しく説明していきたいと思います。

マンション売却の費用・「印紙税」「登録免許税」について

 

売買契約を交わすときに必要になるのが「印紙税」です。では、「印紙税」とは何なのでしょうか。
収入印紙を領収書に貼った記憶のある方もいらっしゃると思います。受取る金額によって貼る印紙の額が決まっていますね。その印紙を取り寄せるにはお金が掛かります。売買の契約をする際の売買契約書にも、印紙が必要です。そこに印紙を貼ることではじめて正式な文書と認められるのです。

文書に対して課税するなんて何だかおかしな気がしますね。しかし、その書面を交わすことにより発生する経済的な利潤、そこに課税しようというのが印紙税の仕組みなのです。印紙税の納付は、定められた額の印紙を契約書に貼り、それを消印することで終了します。

課税される文章は印紙税法で定められています。マンションなど不動産の取引については、契約書の記載金額によって税額が決定しています。
500万円を超え1千万円以下…5千円 (本則では1万円)
1千万円を超え5千万円以下… 1万円 (本則では2万円)
5千万円を超え1億円以下 … 3万円 (本則では6万円)
(平成32年3月31日までは印紙税が軽減されます)
例えば、マンションが2,000万円で売却出来た場合、売買契約書を交わす際には「印紙税」として1万円が必要になります。

次に、「登録免許税」をみていきましょう。「登録免許税」は登記のために必要な費用です。マンションの登記を依頼する司法書士に、司法書士手数料と合わせて支払います。

では、マンションを登記する、とはどういうことでしょうか?
土地やマンションなどといった不動産に関して、どこの誰が所有者なのか、誰がどんなことをしたのかを記録した帳簿が不動産登記簿です。例えば、マンションを購入したり売却したりした場合、住宅ローンを利用したりした場合や借換えしたり完済した場合などを記録しておきます。
ですので、住宅ローンを利用しているマンションの売却には、ローンの抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」が必要です。抵当権抹消登記に関しての登録免許税は、不動産1個につき1,000円ですが、マンションは土地と建物に分かれて登記されています。ですので、2つの不動産に対する手数料で、通常は2,000円かかります。

マンション売却にかかる費用・「消費税」について

 

「マンションを売却したら消費税を払わなきゃいけないの?」と心配されている方もいらっしゃるでしょう。次は、消費税についてみていきたいと思います。
マンションの売却価格は、土地と建物をあわせた価格になっています。土地は消費される物ではないとの考え方から土地の取引には消費税が課税されません。その一方で、建物に関しては課税の対象となります。
そうはいっても、業者ではない個人がマンションなどの自宅や別荘を売却した場合には、消費税の課税の対象から外れますのでご安心を。しかし、個人でも、自分の事業用や賃貸用の物件を売却した場合には建物部分に関しては課税対象になります。

また、「登録免許税」「印紙税」には消費税はかかりませんが、忘れてはいけないのは、手数料にかかる消費税です。「仲介手数料」「司法書士手数料」「一括繰り上げ返済手数料」特に金額が大きいのが売却するマンションの額に応じて支払うことになる「仲介手数料」でしょう。

また、消費税率はマンションの引き渡し時点で判断されるということには注意が必要でしょう。消費税が課税されるのは、マンションの引き渡しの時点です。つまり、消費税率が改正される場合、改正日の前日までに引き渡しが行われているかいないかで、適用される消費税率が変ってくることになります。

マンション売却にかかる費用・「譲渡所得税」「住民税」について

 

最後に、売却した後の「譲渡所得税」と「住民税」についてお話ししたいと思います。
もし、課税の対象になった場合は、かなりの出費を覚悟しなければならなくなるかもしれません。

マンションが購入時の価格よりも高く売却出来た場合には、その利益の分に対してそれぞれ異なる税率で「所得税」と「住民税」が課税されます。しかし、損失が出てしまったという場合には支払う必要はありません。一般的に、マンションを買ったときよりも売却した時の方が高かった、という事はあまりないのではないでしょうか。また、高く売却できて利益が出た場合でも、マイホームであれば控除が受けられます。

課税される利益分(譲渡所得)を計算するには、単純に売却金額から購入金額を引くのではなく、売却や取得にかかった諸費用、マンションの減価償却費を考慮する必要があります。

譲渡所得=売却収入-(購入時の物件価格+購入時にかかった諸費用-減価償却費+仲介手数料や印紙代などの譲渡費用)

例えば、4,000万円で購入したマンションが4,200万円で売却出来たとします。単純に売却価格から取得価格を引くと、プラス200万円ですが、この200万円に課税されるわけではありません。ここから、購入時の諸費用や売却にかかった諸費用を差し引いた額がプラスであった場合、つまり利益がでた場合には課税の対象になります。また、費用などを差し引いた額がプラスになった場合でも、自分の居住用のマンションを売却した場合は、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。

ですので、あなたが住まいのマンションを売却する場合には、「譲渡所得税」「住民税」を課税される事はまずないと考えていいでしょう。


以上、マンション売却の費用に関連する5つの税金ついての解説でした。