「マンションの売却を仲介してもらう時の費用が、結構高くてばかにならない。」
「特に仲介手数料。ちょっと高すぎやしませんか!」そう思ったあなたに、今回は、マンション売却の費用で最もウエイトを占める、仲介手数料の値引きについて、注意したい点と共に解説していきたいと思います。
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マンション売却の費用・少しでも抑えたい。その場合の仲介手数料値引きについて
車や家電を買う際に、営業マンに値引き交渉をした、という方は多いと思います。
しかし、業者や投資家でもない一般の方が、そう頻繁にマンションを売却するという事はないと思いますので、不動産会社への仲介手数料は言われたまま支払うものだと思っている方も多いのでしょう。
「マンション売却の仲介手数料は、値引きをしてもらうことが出来るの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
結論からいうと、値引きの交渉をすることは可能です。
仲介手数料は、法律により上限額が決められています。あくまでも決まっているのは上限額なので、それを超えなければ、仲介業者が自由に決める事が出来るのです。
では、マンションを売却する際、その費用である仲介手数料は、いったいどれくらいかかるのかみてみましょう。
仲介手数料の上限額は、「売買価格(税抜き)× 3% + 6万円 + 消費税」で求めることが出来ます。
例えば、マンションの売却のための査定をしてもらった時に、3,500万円だった場合の上限額をみてみましょう。
上限額は、先の計算式にあてはめると、「3,500万×3%+6万+消費税(8%)」なので、1,198,800円になります。
新車が買えてしまいそうです。
しかし、車や家電を買うときに、値引き交渉をしたことがあるといっても、それは買う側の話。買ってあげるからその代わりにもうちょっと安くして、というのは言いやすいかもしれません。でもマンションを売却するとなると、今度は売却する側です。売ってもらうのに、それにかかる費用を安くして下さい、という交渉は難しいのでは、という気がしますね。
仲介手数料値引きを交渉する前に・費用を抑えるよりマンションを高く、早く売却した方が結果的には得に?
マンションを売却した場合、手元に残る金額は、少しでも多い方がいいですね。
仲介手数料は、その費用の中でも高額になりますが、仲介手数料は業者に値引きを交渉出来るといっても何だか難しそうに思えてしまいます。
では、値引きを交渉する前に、マンションを出来るだけ早くそして高く売却した方がお得なのではないか、というお話です。
マンションを売却した場合、売却にかかった費用を引いた残りが手元に残る金額です。
この時に、利益が出ていれば税金を払う必要がありますが、ほとんどの場合、払う場合は少ないと考えて良いでしょう。
というのは、利益が出ていれば課税されるので、マンションを売却した価格が購入金額を下回っている場合は課税されません。自宅の売却に限りますが、特例で利益が3,000万までは、非課税になります。
ですので、売却の利益に関する課税は考えないで計算をしてみます。
「マンション売却価格 – 仲介手数料 – 登記費用 – 税金 - その他の費用 」
マンションの売却した価格から、費用を差し引いた残金があなたの手元に残るお金です。
その他の費用には、ハウスクリーニングの費用や、売却までに支払う修繕積立金や、管理費などがあります。また、上の式にある税金とは、印紙税など先にお話しした利益にかかる税金以外になります。
登記費用は、2万円、税金は印紙税の1万円、リフォームやハウスクリーニングに関しては行わなかったとして計算してみましょう。すぐに売れたとして、修繕積立金や管理費などの費用もかからなかったとします。
まず、2,000万円でマンションが売却できたとして、仲介手数料の上限額はいくらになるでしょうか。
2,000万円の仲介手数料の上限は、712,800円 になります。上限額を仲介手数料として支払うとすると、手元に残るお金は、2,000万-712,800-2万-1万なので、1,9257,200円になります。
もし、あなたが不動産会社と値引きの交渉をしたとして、20%割引してもらった場合はどうなるでしょうか。
その場合の仲介手数料は、570,240円です。
仲介手数料の上限額と値引き後の差額は、142,560円ですので、手元に残るお金はその分増えて、19,399,760円になります。
しかし、例えば仲介手数料を上限額まで支払ったとしても、営業活動にしっかり力を入れてもらった結果、マンションが3%アップの2,060万円で売却出来たと仮定してみましょう。
732,240円が仲介手数料の上限額なので、手元に残るお金は、
2,060万-732,240-2万-1万で、手元に残るお金は、19,837,760円。
その差は、何と、438,000円です。43万円も手元に残る金額はアップしました。
もし、マンションがすぐに売却出来ずに何ヶ月も経ってしまうと、売れ残りのレッテルを貼られ売却価格を下げなければならなくなるかもしれません。また、売却出来るまでの期間は、管理費や修繕積立金を月々支払う必要があります。
ですから、仲介手数料の値引きに力を入れるよりは、仲介手数料の上限を支払ってでも営業活動に力を入れてもらって、出来るだけ早くそしてより高値で売却する方が、手元に残る金額は多くなると言えるでしょう。
仲介手数料の値引きの交渉・そのタイミングは
そうはいっても、「マンション売却の価格は出来るだけ高く、費用は出来るだけ低く」という方に、仲介手数料の値引きをする場合のタイミングについてお話したいと思います。
仲介手数料の値引きの交渉のタイミングは、仲介を依頼する前です。
仲介を依頼するタイミングで、不動産会社に利のある契約をすることを交換条件として、その代わりに仲介手数料の値引きを要求するのです。
では、不動産会により有利な契約とは、何でしょうか。
マンションの売却をする際、不動産会社と締結する仲介の契約を「媒介契約」と呼びます。
媒介契約は、3つの種類がありますが、契約提携後に他業者への仲介依頼が出来るか出来ないかで、主に2つに分かれます。複数の不動産会社に依頼できる「一般媒介契約」と、重複して依頼することが出来ない「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」です。
つまり不動産会社からすると、せっかく費用をかけて営業活動を行っても他の業者にも契約が取られてしまう可能性がある「一般媒介契約」よりも、自社で契約を独占できる「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の方がより有利な契約だといえます。
一方で、マンション売却を依頼する側にとっては不利な契約になる場合があります。特に、売却を急いでいる場合などには、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」を条件に交渉する事にはリスクが伴うでしょう。これらの契約には期間が定められており、1度契約すると3ヶ月間は不動産会社を変えることができないからです。
仲介手数料は売買契約の成立した後でないと不動産会社は受取ることが出来ません。売却までにかかった人件費や宣伝広告の費用などは、すべてこの仲介手数料で賄うことになります。ですので、売却出来なかった場合や経費が嵩んだ場合は赤字になってしまいます。
値引きの交渉により、営業活動に対するモチベーションが下がった結果、宣伝活動が疎かになる、他の物件よりも優先度が下がる、といったデメリットが出てくる可能性もあります。
仲介手数料の値引きの交渉は、あまりおすすめできません。仲介手数料の値引きに力を入れるよりは、出来るだけ高くマンションを売却することが出来る、より信頼のおける不動産会社を見つける事が大切になるでしょう。