マンション売却で不動産会社と専任媒介契約を結ぶとき、不動産会社からレインズに登録するという説明を受けます。
「マンション売却を大っぴらに知られたくないので、レインズに登録しない」
と不動産会社に伝えたところ、専任媒介契約ではレインズに登録しないと、これ以上売却は進められないと言われたことはありませんか？
今回の記事では、専任媒介契約ではレインズに登録しないと売却できない理由について不動産会社スマートアンドカンパニーがご説明します。
- 媒介契約の種類による違い
- 専任媒介ではレインズに登録しないと売却できない理由
- レインズに登録しないで売却する方法
マンション売却にはそれぞれの事情がおありでしょうが、ご自身の売却活動にはどういう手法が向いているのかを考えるうえで、参考にしていただけたらと思います。
Contents
専任媒介契約はレインズに登録しないと売却できない？
マンション売却をする時、多くの場合は不動産会社と「媒介契約」を結ぶことになります。
媒介契約というのは、マンションの売却希望者（＝売主）に代わって購入希望者（＝買主）を探す契約のことです。無事売買契約を結べたら、報酬として仲介手数料を支払います。
媒介契約には大きく分けて3種類あります。
- 専属専任媒介契約
- 非専属型の専任媒介契約
- 一般媒介契約
マンションの売主はこの3パターンのうち1つを選んで媒介契約を結び、売却活動を進めることになります。どの媒介契約で売買契約に至っても仲介手数料は基本的に同じです。
では、それぞれの媒介契約はどこに違いがあるのでしょうか？
専属専任媒介契約とは？
専属専任媒介契約とは、決まった1社の不動産業者に仲介を依頼すると、他の不動産業者に重ねて依頼することができない契約のことを指します。
この契約の最大の特徴は、仮に売却希望者が自分自身で自宅マンションの購入希望者を見つけたとしても、勝手に売却できない点です。どうしても自分で見つけた購入希望者にマンションを売却したかったら、専属専任媒介契約を結んでいる不動産会社に仲介してもらい、売却しなくてはなりません。
専属専任媒介契約を契約した不動産業者は、売却希望者に対して、
・どんな宣伝活動をしたか？
・購入希望者から問い合わせがあったか？
など、売却活動の進捗状況を報告する義務があります。頻度は1週間に1回以上です。
このあたりは依頼する側として都度、進捗管理が出来るので安心です。
非専属型の専任媒介契約とは？
非専属型の専任媒介契約とは、専属専任媒介契約と同じく、決まった1社の不動産業者のみに仲介を依頼する契約で、他の不動産業者に依頼することはできません。
専属専任媒介契約と大きく異なる点は、売却希望者は自分自身でマンションの購入希望者を見つけた場合、不動産会社を通さなくても当事者間で直接売買契約を結ぶことができるところです。
非専属型の専任媒介契約を結んだ不動産会社にも、売却する側に売却活動の状況を報告する義務がありますが、2週間に1回以上の頻度でという形になります。
進捗管理の条件が緩いのが特徴です。
一般媒介契約とは？
もう一つの“専任”ではない「一般媒介契約」は、複数の不動産業者に重ねて仲介を依頼することができる媒介契約です。
一般媒介契約は、売却希望者の自由度が高いのが特徴です。当然、売却する側は自分自身で購入希望者を見つけた場合、当事者間だけで直接売買契約を結ぶことができます。
一般媒介契約は、不動産業者から売却する側に対して販売活動の進捗の報告義務はありません。そのため、進捗状況は媒介契約を結んだ不動産業者に尋ねる必要が出てきます。
専任媒介契約ではレインズに登録しないと売却できないが、一般媒介契約では？
レインズとは、全国のマンションをはじめとする売却物件を不動産会社が検索できるコンピュータ・ネットワーク・システムで、国土交通大臣の指定を受けています。
マンションを売却するときの、レインズ登録と媒介契約の関係はどうなっているのでしょうか？
実は、「専任媒介契約」「非専属型の専任媒介契約」のいずれかを結んだ場合、売却したいマンションの情報を登録しなければならないことが宅建業法で決められています。
つまり、専任媒介契約とレインズ登録はセットになっているのです。
専任媒介契約では原則1社しか不動産会社と媒介契約を結ぶことができません。最近ではオンラインで物件を検索できるようになっているとはいえ、1社のみの販路では購入希望者を探すのにどうしても限界があります。
そこで、「全国の不動産会社が利用するレインズへ登録しないといけない」という制度を作ることで、専任媒介契約でもより広く購入希望者を探すことができるようになったのです。
売却したいマンションの情報は、専属専任媒介契約の場合は契約の締結日から5営業日以内、非専属型の専任媒介契約では7営業日以内にレインズへ登録することになっています。
なお、一般媒介契約の場合はレインズへの登録義務はありませんが、登録するかどうかは自由に決めることができます。
マンション売却するときは専任媒介契約と一般媒介契約どちらが売れやすい？
実際にマンションを売却することになったら、専任媒介契約と一般媒介契約ではどちらが売れやすいのでしょうか？
どちらが売却しやすいかについては
・時間はかかってもいいから希望の価格で売却したい
・売却を急ぎたい
という売主側の思惑に加え、マンションの立地や築年数などの条件によっても変わってきます。
時間はかかってもいいから希望の価格で売却したいときは一般媒介契約
「時間はかかってもいいから希望の価格で売却したい」という時は、一般媒介契約を選ぶとよいでしょう。
一般媒介契約では複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことができ、かつ自分でも売却先を探せるメリットがあるからです。
複数の不動産会社とのやり取りが発生する手間はありますが、窓口が多いのでそれだけ購入希望者が現れる可能性が高まります。
ただし、専任媒介契約と比べ、一般媒介契約では他社に成約されてしまうと仲介手数料が入ってこないので、不動産会社にとっては旨みの薄い契約になります。そのため一般媒介契約の時は不動産会社の売却活動はあまり熱心ではなくなる傾向があります。
それを踏まえても自分でイニシアチブを取りながら、売却希望価格で買ってくれる人を長期戦で探したいという人は一般媒介契約を選ぶとよいでしょう。
売却を急ぎたい場合は専任媒介契約
相続の関係などですぐに売却する必要がある場合は、専任媒介契約を選ぶ人が多いようです。
専任媒介契約では確実に仲介手数料が入るので、不動産会社が熱心に売却活動をしてくれるのです。
専任媒介契約では確かに1社分しか窓口がありませんが、レインズに必ず登録するため、オンラインで物件を探す人が多くなった現在、デメリットではなくなってきています。
さらに、専任媒介契約のほうが成約率が高いと言われています。
一般媒介契約では複数の不動産会社が一斉に広告を出すため、売却したいマンションをたくさんの人に見てもらえる半面、
「このマンション、こんなに広告が出ているから、人気がないのかな？」
という見方をする人が出やすく、かえって問い合わせが減ってしまう恐れがあります。
加えて一般媒介契約ですと、せっかく問い合わせがあっても、他の不動産会社に先に成約されてしまうと仲介手数料が取れなくなるので、不動産会社が購入希望者に契約を急かすことがあります。契約を急かされるのを嫌がる人はその不動産会社との取引を敬遠しますので、結果的に成約が遅くなる、というわけです。
その点、専任媒介契約では売買契約が成立すれば必ず仲介手数料が入るので、不動産会社は購入希望者をあまり焦らせません。結果として不動産会社との取引を敬遠する人が少なくなり、成約率も高くなるのです。
以上の理由から、売却を急ぎたい場合は専任媒介契約のほうが安心です。
ただし、売却予定のマンションが駅から徒歩5分以内であるなど好立地で、築年数も浅い物件であれば、一般媒介契約でもすぐに売却できることはあります。好立地、築浅の条件に当てはまらないマンションであれば、専任媒介契約を選ぶと安心でしょう。
一般媒介契約から専任媒介契約に変更はできる？
一般媒介契約を選んだものの、なかなか売却予定のマンションへの問い合わせがない場合、専任媒介契約へ変更はできるのでしょうか？
答えは、「変更可能」です。
専任媒介契約や専属専任媒介契約は、契約期間が3か月以内と決められていますが、一般媒介契約には契約期間の定めはありません。
つまり、一般媒介契約をする際に契約期間を特に定めなければ、依頼主からの申し出で契約を変更することができるのです。
当然のことですが、一般媒介契約から専任媒介契約に変更しますと、他の仲介業者に売却を依頼することはできなくなります。レインズにも物件情報が登録されます。
それでも、専任媒介契約では確実に仲介手数料が入るので、担当者のモチベーションが上がり、売却活動に熱が入るというメリットがあります。依頼主への報告義務も生じますので、どのような状況になっているのかがわかる点も、依頼主としては安心ですね。
仲介業者探しは一括査定サイトの利用がおすすめ
最初から専任媒介契約を結ぶ場合はもちろん、一般媒介契約から変更するときも、どの不動産会社と仲介の専任媒介契約を結ぶかは、中古マンション売却の成否を分ける重要なポイントになります。
今まで一般媒介契約をお願いしていた不動産会社の中から専任媒介契約に変更する会社を選ぶとしたら、たとえ一般媒介契約ではあっても活動報告をきちんと行ってくれていた誠意と売る熱意がある会社を選ぶようにするとよいでしょう。
売却に適した不動産会社を選ぶ際には、一括査定サイトの利用がおすすめです。無料で利用出来る上に、一度の入力で複数の会社へ査定を依頼する事が出来ます。多くの方が利用している一括査定サイトが見つけられる最新一括査定サイト人気ランキングを是非活用してください。
マンション売却を周りに秘密にしたいからレインズに登録しないで売却したい
専任媒介契約を選ぶほうが成約率が高く、早くマンションを売却できるとお伝えしました。
ところで、マンションなどの物件を売却する際、
・親戚や周りの人にあまり知られたくない
・まだ居住中のため、家を見学されたくない
・知り合いの不動産会社のみに売却依頼をしたい
などの事情から、大きく宣伝活動をせずに売却活動を進めたいという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、レインズに登録すると業者から情報が漏れて、知られたくない人達に伝わる可能性が大きくなるため、専任媒介契約を選ぶことはできません。
レインズに登録しないでマンションを売却するにはどうすればよいのでしょうか？
一般媒介契約ならレインズに登録しないで済む
専任媒介契約の場合はレインズに登録しないといけませんでしたが、一般媒介契約にはレインズへの登録義務がありません。
レインズへ登録しないということは、他の不動産会社が物件情報を目にする機会が大幅に減ります。
最近では、自社のサイトで登録会員を集めたり、以前マンションなどの物件を購入した顧客など多少の見込み客を保有し、この中から買主が現れたら契約をするケースもあるようです。
不動産会社の買取ならレインズへの登録は必要なし
不動産会社で買取り専門部署があれば、売却したいマンションの買取りをしてもらう事もできます。
内密に進める事ができるうえ、契約後に即現金化することも可能です。
レインズへの登録は専任媒介契約の時のみですので、買取であればレインズは関係ありません。しかも自社で買取る場合は売主の仲介手数料は通常は不要です。
リフォームも全て業者がやってくれるので手間がないというメリットがある一方、買取り価格は売出し価格より少し安くなってしまうデメリットもあります。
買取り専門部署がない不動産会社の場合は、取引のある買取り専門会社を紹介（仲介）してくれます。
このとき売主は仲介手数料を不動産会社に支払う必要がありますが、一般媒介契約であればレインズへ登録しないで売却を進めることが可能です。
内密に進めていくには時間をかけずにことを進める必要がありますので、急ぎの場合多少のリスクはありますが買取りをしてもらうことをおススメします。
ただし、買取り専門会社の実績や信用は不動産会社によく調べてもらいましょう。
まとめ
マンション売却の時、専任媒介契約を選ぶとレインズへの登録がセットになります。
「周りに知られてもいいので、レインズへ登録して早く確実に売却したい」
のか、それとも
「早く売却したいが、あまり周囲には知られたくないからレインズに登録しないでほしい」
のかで、売却手段は大きく変わってしまいます。
まずはご自身がどういうスタンスで売却活動を進めたいか方向性を決めましょう。周囲に知られたくないのに専任媒介契約を選び、レインズに登録されて情報が公開されてしまった、など方向性に合わない売却活動では後悔が大きくなってしまいます。
一括査定サイトなどを手掛かりに、ご自身のスタンスに合致する売却方法を提案してくれる不動産会社を探していきましょう。
