不動産の相続で困らないために、必要書類を把握しておこう

不動産の相続登記で必要な書類

家族や親戚から死後に不動産を受け取った場合、相続の手続きが必要です。相続登記で必要となる書類は、戸籍謄本や住民票をはじめ遺産分割協議書や不動産の登記簿謄本などさまざまです。

相続登記は必要書類が多いため、ひとつずつ確認しておきましょう。必要書類には大きく分けて亡くなった本人(被相続人)を証明する書類と、相続を受ける人(相続人)を証明する書類の2種類があります。

亡くなった本人の証明書類

戸籍謄本

亡くなった人(被相続人)が死んだことを証明する戸籍謄本が必要です。戸籍謄本には死亡した事実が記載されている必要があります。基本的に戸籍謄本は死亡した時点で戸籍を置いている本籍地の市区役所や町村役場で取得できます。

ただし、婚姻や養子などの転籍によって本籍地が変更になっている場合、婚姻前や転籍前に本籍地があった市区町村役場で以前の戸籍を出してもらう必要があります。除籍謄本や改正原戸籍と呼ばれるものです。戸籍謄本がコンピュータ化されている場合は、手書き時代の改正原戸籍も必要です。

被相続人の戸籍謄本は、8歳ぐらいから死亡するまでの記載内容を確認できるものを用意します。これは本人が生殖能力を持つ程度の年齢から戸籍関係を調べることで、亡くなった人の配偶者や子どもの有無を確認するためです。

市区町村役場の戸籍の窓口で相続登記に必要であることを伝えれば、どこまでさかのぼって戸籍謄本を出せば良いのか相談に乗ってもらえます。また戸籍謄本については、有効期限は特にありません。

住民票の除票(戸籍の附票)

亡くなった人が最後に住んでいた住所地の証明に使います。死亡した人の住民票は存在しないため、死亡時に住民票を取り除いたことを証明する除票を出してもらいます。なお、住民票の除票は本籍地の記載があるものを請求します。戸籍の附票を住民票の除票に代えることも可能です。有効期限はありませんが、住民票の除票は死亡して5年が過ぎると発行されないこともあるため注意してください。

遺言書

亡くなった人が遺言を残している場合、相続は遺言の内容に沿って行われます。遺言書のうち、自筆証書遺言や秘密証書遺言であれば、家庭裁判所による検認を受けてからの相続手続きとなります。公正証書遺言ならそのまま遺言書として使用可能です。

相続する側の必要書類

相続人すべての戸籍謄本

法定相続人を確定するのに使用されます。亡くなった人(被相続人)が生まれたときまで記載されており、相続関係がわかる戸籍謄本でなければなりません。また、相続人の戸籍謄本は被相続人が亡くなった日以降に取得したものが必要です。

相続人全員の戸籍謄本は、被相続人との夫婦関係や親子関係といった続柄の証明に使われます。婚姻や養子による縁組や、離婚や養子の離縁による離籍がないかが細かく確認されます。相続人それぞれの出生時までさかのぼる必要はなく、被相続人との関係がわかる戸籍謄本でかまいません。

遺産分割協議書

法定相続以外で相続人の間で話し合って遺産を分割する場合に必要です。相続人全員による協議ではなく、家庭裁判所での調停や審判によって遺産分割する場合は、決定された内容がわかる調停調書や審判書謄本も必要となります。

相続人のみで作成する場合もありますが、相続内容が複雑なケースでは、円滑に相続手続きを進めるために司法書士に依頼することも多いです。

相続人すべての印鑑証明書

遺産分割協議書が相続人全員で協議して、本人の意思で間違いないことを明らかにする際に必要です。実印を押印し印鑑証明書を合わせて用意することで、遺産分割協議書は正当なものと証明されます。印鑑証明書は住民票を置く市区町村役場で取得できます。実印登録をしていない場合は、窓口で登録後に取得してください。

登記簿謄本(登記事項証明書)

相続する土地や建物、山地などの不動産を特定するために使います。相続登記の手続きでは必ず必要な書類ではないものの、スムーズに相続を進めるために用意しておきましょう。

登記簿謄本は正確な地番や家屋番号さえあれば、全国にある最寄りの法務局で取得可能です。不動産の正確な情報が手元にない場合は、不動産の所在地にある法務局の窓口で地図や住所地を確認しながら特定することができます。

不動産をもらい受ける相続人の住民票

相続登記の添付書類として必要です。住所のある市区町村役場で取ることができます。

固定資産評価証明書

相続登記の手続きでは登録免許税を納める必要があります。この税額は固定資産評価証明書をもとに計算されます。相続人なら誰でも不動産のある市区町村役場で取得可能です。最新の固定資産評価証明書は毎年4月1日以降に出ます。

司法書士に相続登記を依頼する場合、初回の相談時には亡くなった人の死亡が記載された戸籍謄本や相続する不動産の所在地がわかる権利書や固定資産税の通知書を用意しておきましょう。また、遺産分割の場合であれば、相続人全員の印鑑証明書や認印を持参すると円滑に対応してもらえます。