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不動産売却における譲渡所得税とは?
譲渡所得税とは所得税の一種で、不動産を売却したときに得た所得に対して支払う税金です。そのため、不動産を売却しても利益が出なかったり、損をしたりした場合は払う必要はありません。不動産売却時には、その金額に応じていくつかの税金を支払わなければなりません。特に譲渡所得税はまとまった税額になるため、あまり手元にお金が残らなかったといった話もよく聞きます。不動産の売却代金で新築マンションや新築住宅を建てようと考えていたり、引越資金としてあてにしていたりしていると残念な結果に終わる場合もあるため、注意しましょう。
譲渡所得税を考える際にポイントとなるのは収入金額と特別控除額です。
収入金額とは、土地や建物など不動産を売却したときに売り主が手にする売却代金の金額のことです。この収入金額には現金以外も含まれます。例えば、不動産の代わりに株式や権利を受け取った場合、時価を求めて収入金額として計算します。
特別控除額とは、不動産を売却したときに所得金額から控除してもらえる金額のことです。マイホームを売却した場合なら3,000万円まで、公共事業の収用などで土地や建物を譲渡した場合なら5,000万円まで控除されます。
また、建物の所有期間によって課税方法が異なる点もおさえておきましょう。5年を基準に長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。
長期譲渡所得
長期譲渡所得とは、売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える不動産を売却したときに得た所得のことです。所得税の税率は30.63%、住民税の税率は9%で合計39.63%の税金が掛かります。たとえば、2012年6月1日に不動産を取得して2018年7月1日に売却した場合には、所有期間は6年1ヶ月ですが売却した年の1月1日現在で計算されるため譲渡所得税での所有期間は5年6ヶ月となり、長期譲渡所得に該当します。
短期譲渡所得
短期譲渡所得とは、売却した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の不動産を売却したときに受け取った所得のことです。所得税の税率は15.315%、住民税の税率は5%で合計20.315%の税金が掛かります。例えば、2013年5月1日に不動産を取得して2018年7月1日に売却したとします。不動産の所有期間は実質5年2ヶ月です。しかし、所有期間は売却した年の1月1日で計算するため、4年7ヶ月となり短期譲渡所得と判定されます。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税の計算はシンプルで、以下の計算式に当てはめます。計算の流れとしては、まず売却代金や購入代金、不動産会社への費用などを引いて譲渡所得を求めます。その後、譲渡所得から特別控除額を差し引いて課税譲渡所得を計算します。課税譲渡所得に所得税や住民税の税率を掛ければ税額がわかります。計算式その1 「譲渡所得」の出し方
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)譲渡収入金額とは、土地や建物を売却して受け取った代金のことです。
取得費は、不動産の購入代金と取得にかかった費用の合計金額から建物の減価償却費を差し引いた金額で出た「実額法」の金額と、譲渡収入金額に5%を掛けて出た「概算法」の金額のうち、どちらか大きい金額を使用します。
譲渡費用は、不動産会社に支払った仲介手数料や登記費用、印紙税のほか更地にしたときに支払った建物の取り壊し費用などです。
計算式その2 「課税譲渡所得」の出し方
課税譲渡所得=譲渡所得-(特別控除額)マイホームの売却であれば、特別控除額は居住用不動産に適用される3,000万円の特別控除額で計算します。
計算式その3 「譲渡所得税・住民税」の出し方
税額=課税譲渡所得×税率(所得税・住民税)他の所得と分けて計算される分離課税の税率が適用されるため、税率は売却した不動産の用途によって、また短期譲渡所得か長期譲渡所得といった所有期間によって異なります。
所得税と住民税
譲渡所得税の計算で求めた所得税と住民税は、それぞれ支払うタイミングが違うので注意しましょう。所得税は、売却した年の翌年2月15日から3月15日に行われる確定申告で納税します。一方、住民税は翌年度の6月から支払いがスタートします。不動産売却の税金は確定申告で終わったと思ってしまう方も多いです。6月に届く住民税の納付書の金額を見て慌てないように、しっかり用意しておきましょう。