中古マンションを購入したけれど、転勤や結婚が急に決まった、家族が増えたなどの理由により、それまで住んでいた中古マンションを売却査定してもらう方もいるでしょう。中古マンションを購入する際は、命ある限りここに住み続けるぞ!という熱い思いで購入し、売却査定なんていう言葉が頭をよぎることはなかったかもしれません。しかし、何がおこるかわからないのが人生というものです。
そこで、もし中古マンションの売却や査定を検討する局面になった場合に注意していただきたい言葉があります。それは、「短期譲渡所得」または、「長期譲渡所得」という言葉です。なんだか難しそうな言葉ですね。
不動産の価値は、新築マンションだけでなく、当然のごとく中古マンションも時間の経過とともに下がっていきます。少しでも築年数の浅い建物に住みたいと思うのは、人間の心理としてはあたりまえのことですよね。そのため、価値が下がる前に一刻でも早く中古マンションの売却査定を依頼したいと考えるでしょう。では、不動産を購入してから短期間での売却査定と長期間での売却査定では、どのような違いがでてくるのでしょうか。
もし中古マンションを売却し、譲渡益が出たら、個人であれば、所得税及び住民税が発生します。所得税及び住民税を以下では、所得税等と略して説明します。
譲渡益は「課税譲渡所得」と言われます。計算式は下記のとおりです。
課税譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
この「課税譲渡所得」がプラスの場合、所得税が発生し、所得税は下記のような計算式で計算されます。
所得税等 = 課税譲渡所得 × 税率
ここで、個人が中古マンションを売却した場合、所有していた期間によってこの「税率」がかわってくるのです。所有期間が5年以下で「短期譲渡所得」、5年超ならば「長期譲渡所得」とされます。これが前述した「短期譲渡所得」、「長期譲渡所得」という言葉で、それぞれの税率は以下の通りです。
短期譲渡所得---所得税30%・住民税9% ・合計税率39%
長期譲渡所得---所得税15%・住民税5%・合計税率20%
このように、短期で売却した場合は、税率が高くなっていますね。
これらの税制は、土地転がしを抑制するために設けられたと言われています。
ご存知の方も多いと思いますが、1980年代後半から1990年代初頭の好況期であるバブル時代、マンションやビルなどの不動産は持っているだけで価値が上がりました。そのため、保有してしばらくしてから売るだけで利益が出たのです。これらの理由により、当時は利益を求めて短期間で土地を売買する投機家が大勢いたのです。当時はこのような不動産売買が多かったため、純粋に土地や建物を購入して、有効に利用したい人達が土地を買えないという事態が起こりました。このような投機目的の不動産取引を避けるため、購入してすぐに不動産を売却する人たちに重い税金を課したのが、「短期譲渡所得」なのです。
バブル崩壊から20年以上が経過した今でも制度としては、残っているのです。少しでも賢く不動産を売却したいものですね。