中古マンション売却査定マニュアル総集編(2)

売却の流れと基礎知識

「中古マンション売却査定のポイント(1)」では、中古マンション売却の流れと売却にかかる期間について説明をしました。中古マンション売却までのスケジュールを理解していただけたところで、「中古マンション売却査定のポイント(2)」では、中古マンションの売却理由別に、それぞれの注意すべきポイントをお伝えしていきたいと思います。さらに、中古マンションを出来るだけ高く売却するためには、売却を成功に導いてくれる不動産仲介業者との連携がかかせません。そこでどのようにして不動産仲介業者を選んだらいいのか、さらに業者との仲介契約は何を選べばいいのかについて解説していきます。

中古マンションの売却の理由は?理由別の注意すべきポイントとは

 

マンションを売却する理由は一つではないでしょう。結婚、出産による住み替え、突然の転勤での売却など、人それぞれ様々あると思います。マンションを売却する際に注意するべきポイントは、実は理由ごとにそれぞれ違いがあります。そこで、売却の理由を次の6つに大きく分けた上で、注意すべき点を説明していきたいと思います。
・結婚や出産などで住居を買い替えるためにマンションを売却する場合
・突然の転勤や親の介護等のために急いで売却する場合
・資産を整理するために売却する場合
・住宅ローンの支払いが出来なくなってしまったために売却する場合
・離婚後の財産分与などのために売却する場合
・親から遺産相続したマンションが不要で売却する場合
中古マンション売却の理由別にチェックすべき点をそれぞれまとめましたのでご自身の売却理由にあてはまるポイントを参考にしてみてください。

買い換えによるマンションの売却の注意点

 

マンションを売却する理由で最も多いのは、「買い替え」のための売却です。現在住んでいるマンションを売却して、別のマンションや戸建てを購入して住み替えるといった場合です。結婚を機に独身時代に購入したマンションから住み替える場合や、子供が産まれて手狭になったマンションを広い間取りのマンションへ買い換える場合もあるでしょう。
ではこの買い換えによる売却で気をつける点は何でしょうか?買い換えでは、新居の購入と自宅のマンション売却の計画を綿密に立てる必要があります。そこて、まず考えなければならないのは、新居の購入を先にするのか、それとも売却を先にした方がいいのか、という問題です。

新築に買い換える場合を考えてみましょう。新築分譲マンションなどは売り出し時に入居が1年以上先だという場合も多いでしょう。そのような建設中の新築物件を購入することを決めた場合はスケジュールが前もって分かっていますので、売却のスケジュールも立てやすいでしょう。一方中古物件を購入して住み替える場合は、中古物件の売主とのスケジュール調整をする必要が出てきます。例えば、売主側は引渡しを急いでいるのに、こちらはマンションが売却出来てからしか購入が出来ない…という場合には、売買が成立しない可能性もあります。中古は現物を実際に見て購入できますので気に入った物件が見つかったらそれは幸運かもしれません。しかし、マンション売却がスムーズに進んでいない場合、せっかくのチャンスを逃してしまう可能性があります。ですから中古の物件に住み替える場合は特に、売却までの綿密な計画を立てる必要があるのです。
買い換え先が新築でも中古でも、資金に余裕があれば買い先行でもいいでしょう。引っ越して空き家の状態で売りに出せますので売却活動もしやすくなります。引っ越しも一度で済みます。
一方、資金的に余裕がなく売却資金を購入費に充てる場合などは売却先行が安全です。しかし、売却が決まっても新居が決まらない場合には仮住まいを準備しなければならなりません。その場合、引っ越しも2回することになりますので、余分な費用がかかる事になります。理想的な流れをいえば、売り買い同時進行が最も望ましい形であることは確かです。

次に、住宅ローンが残っている場合どうするかについて考えてみます。住宅ローンの返済が残っている状態で新しい物件に買い換える場合は特に売り先行型を選択しましょう。
また、売却までのスケジュールの手順1で既に述べたように、売却の相場と住宅ローンの残りの額を確認しておくことが大切です。売却の相場は、複数の不動産業者へ簡易査定(机上査定)の依頼をして査定額を調べる事で確認出来ます。査定で確認した相場価格が住宅ローンの残債を大きく下回るようであれば、買い換えそのものを考え直す必要があります。
では、残債が相場価格よりも少なかった場合は買い換えには問題がないと言えるのでしょうか。
その場合も一つ注意点があります。それは2重ローンの問題です。つまり、買いを先にした場合、マンションが売却出来る前に新居を購入してしまうと、売却が出来るまでの間は2重ローンになってしまいます。また、2重ローンでは新居の分のローン審査が通らないケースも考えられます。2重ローンの状態が続くと家計を重く圧迫しますし、早く売却しなければという焦りから安く売却して損をしてしまう可能性もあります。つまり、住宅ローンが残っているマンションを売却する場合には、売却を優先する方向で考えておいた方が安心でしょう。

引っ越しのために急いで売却する場合の注意点

 

転勤や親の介護などで突然引っ越さなければならなくなったとすると、マンションの売却にあまり時間をかけられないケースが多いでしょう。急な売却では、売却の計画を立てている余裕すらないかもしれません。もし引っ越しの期限までにマンションが売却出来なかった場合には、最悪のケースでは引っ越し先の家賃を払いつつ、マンションの住宅ローンを支払うといった重い負担が発生する事になります。
時間に余裕のない売却の場合には、業者による「買取り」による売却を選択肢として検討してみてもいいでしょう。「買取り」とは、仲介による売却とは異なり、業者が買主となります。業者が物件を査定し、その査定金額で直接買い取るという形態です。
この「買取り」では、業者に出された査定金額に売主が納得すれば、即売却が決まります。仲介による売却には付物のいつマンションが売却出来るか分からない、といった不確定要素を解消することができるのです。また、仲介ではなく直接業者が買い取るため、仲介手数料を支払う必要もありません。
ただし、仲介による中古マンション売却と比べた場合に、安い金額で売却することになるというデメリットもあります。一般的に、仲介で売却した場合と比べて4割~2割程度マイナスの金額になると考えておいた方がいいでしょう。
というのは、買取り業者が中古物件を買い取る目的は、買取った中古物件をリノベーションした後で自らが売主となって再販売することにあります。リノベーション後には、掛かった費用と自社の利益分を乗せた金額で販売しなければなりません。慈善事業ではなく企業活動ですから、利益を出さなければならないのは当然です。ですから、仲介で中古マンションを売却するよりも、業者買取りによる売却では低い金額になってしまうのです。
時間が無く急いで売却しなければならない事情がある場合、査定金額にさえ納得出来れば、すぐに現金化出来る買取りを検討してみてもよいでしょう。

資産を整理するために売却する場合の注意点

 

資産を整理するための売却では大きく分けて2つのケースが考えられます。1つが、マンションが値上がりしたために売却益を得る目的で売るケースです。もう1つが、借金等の返済のためにマンションを手放すケースです。この2つのケースでは、売却における戦略が異なります。
まず、1つ目の、売却益を得るためにマンションを売る場合です。東京オリンピックの影響もあってか、ここ数年都心部の中古マンションの価格は上昇を続け、現在のところは横ばい状態です。新築時よりも高値で取引されているような資産価値の高いマンションを所有している場合は、この機会に売ってしまおうかと考える方もいらっしゃるでしょう。その際に難しいのが売却するイミングです。オリンピックを待たずして下落するとの見方もあります。現在売却を考えている場合には、今現在どの程度の価格で売却出来るのか一度査定を依頼して査定金額を確認してみるとよいでしょう。

借金などの返済のためにマンションを売却するケースを見てみましょう。
借金をする理由は人それぞれ色々あると思いますが、マンションの売却金額で借金の返済と住宅ローンが一括返済出来れば問題はありません。しかし、マンションの査定を依頼して査定金額を出してみたところ、売却しても借金の返済も住宅ローンの返済も出来ないといった場合を考えてみたいと思います。最悪の場合には自己破産するという手段をとらなければならなくなるかもしれません。自己破産というのは、自分の財産を全て処分する代わりに借金の返済を免除してもらう制度です。借金を返済する必要は無くなりますが、マンションなども含めて資産はすべて処分されます。その資産整理の際にマンションは強制的に売却にかけられることになります。注意すべきは、競売にかけられる前に任意売却の方向へもっていくという事です。万が一、任意売却や競売となってしまった場合には、先に解説した中古マンション売却の流れとは全く異なります。任意売却や競売、自己破産は最悪の手段となります。もしも借金等の返済のためにマンションを売却する事をお考えならなるべく早い段階で専門家へ相談する事をおすすめします。

住宅ローンの支払いが出来ずに売却する場合の注意点

 

月々の住宅ローンの返済ができなくなったことでマンションを売却するケースです。その原因としては、購入時に収入に見合わない多額の住宅ローンを組んでしまい、そのために返済に耐えられなくなる場合が考えられます。また一番多い原因としては、勤務先が倒産したり、失業したり、病気のために給与が減額されたなどといった理由で返済が苦しくなるケースでしょう。
理由は様々あるとしても、もしも住宅ローンの返済を滞納してしまったら、最悪の場合はどうなるのでしょうか。
支払いを滞納した後の最悪のケースは、マンションを競売にかけられ強制退去です。滞納からだいたい1年以内にマイホームを失ってしまう事になります。ではどのような状況なのか少し詳しく見てみましょう。
ローンの支払いを滞納してしまった場合、早くて3ヶ月で住宅ローンや遅延損害金を一括返済してもらうことになるという内容の督促状が届くようになります。滞納してから半年が経過すると、「期限の利益の喪失通知」が届きます。住宅ローンを組んだ際に、ローンを毎月分割して返済するという契約がなされます。この契約を守らずに支払いを滞納した債務者に対して金融機関はローンを分割して支払う権利を無効にします。この「期限の利益の喪失」書類が届くとその時点から住宅ローンを一括で返済しなければならなくなります。一括で支払えるわけがありませんからそのままにしておくと、滞納からほぼ1年も経たないうちにマンションは競売にかけられることになってしまいます。
このような最悪の事態を避けるためにはどうしたらいいのでしょうか。
滞納の原因によって対応は異なります。
まず、病気や失業などで一時的にローンの支払いが困難になる場合を見てみましょう。
「払えないから仕方ない」と督促状などを無視してそのまま何もしないのは一番よくない方法です。そのような状況に陥った場合は出来るだけ早く、出来ればローンを滞納してしまう前に金融機関に相談することです。リスケジュールといってローンの返済額を一時的に減額してもらう交渉をするのです。病気が治ったり、再就職が決まったりして働けるようになった後、以前と同じ条件でローン返済が可能になれば問題は解決です。
一方、多額のローンを組んだ事が原因で支払いが苦しくなってしまった場合は、競売を待つしか手がないのでしょうか。実は競売にかけられるより前に、任意売却でマンションを売却するという方法もあります。任意売却を選択する場合、債権者側との調整など特殊な業務が絡むため、任意売却に詳しい専門の不動産会社に依頼するのが通常です。専門の業者がマンションの査定を行い、その査定金額で任意売却して良いかどうかを債権者側に確認するのです。任意売却後は、売却金額では足りない分の債務は残りますが、交渉によって債務の圧縮が可能な場合が多いのです。ですから、ローンの支払いが苦しくなった場合には、出来るだけ早く専門の業者に相談することをおすすめします。

離婚後の財産分与で売却する場合の注意点

 

離婚がきっかけで、財産分与のためにマンションを売却する場合を考えてみましょう。離婚する場合には、結婚してから夫婦で築いた財産は名義がどちらのものであっても共有財産であるとされ、財産分与が行われます。共働きでも、専業主婦(夫)であっても、分与を受ける権利があります。
マンションは物理的に分ける事ができないので、マンションを売却してお金を分けるというのは一番わかりやすい方法でしょう。しかし、住宅ローンが残っているマンションの場合には、例え売却したとしてもローンを返済した後で残るお金がほとんどないといった可能性があります。売却後にローンが返済出来ればまだ良いのですが、逆に売却金額だけでは足りずに不足分を現金で出さなければならない可能性もあります。さらに、不足分をカバー出来るだけの現金が用意できない場合には、そもそも売却自体が出来ないケースもあり得ます。
マンションが売却出来ない場合は、どうしたらいいのでしょうか。そのような場合には離婚した後、どちらかがそのままマンションに住み続けるといったケースは多く見られます。
問題となるのは、共有名義のマンションにどちらかがそのまま住み続けるケースです。先々ローンの返済額が少なくなったらマンションを売却しよう、と思っていても、共有名義のマンションは名義人全員の承諾無くしては売却が出来ないのです。離婚後は連絡先も居場所も分からない、などといった場合、将来スムーズに売却出来ない可能性もあります。
また、例えばローンは夫の名義なのでそのまま夫が支払うという約束で妻と子供が住み続ける場合もトラブルになるケースがあります。夫が住宅ローンの債務者でも、共有名義であれば妻は連帯保証人か物上保証人になる場合が多いでしょう。連帯保証人とは、借り入れをする本人(夫)が借り入れを返済しない場合、代わりに返済する責任を負うことです。夫にローンの滞納があった場合は、例え離婚していても責任を免れる事は出来ません。物上保証人は、連帯保証人とは違って、代わりに返済する責任は負いませんが、担保提供したマンションを失う事になります。いずれにせよ、将来夫がローンの支払いを滞納した場合には、マンションから退去せざるを得ない状況になってしまうでしょう。
とはいえ、共有名義でローンを組んで購入したマンションの場合、ローン返済中に名義を書き換える事は金融機関が承諾しないので難しいでしょう。このようなトラブルを避けるための対策は、住宅ローンをマンションに住み続ける側の名義で借り換える事です。一度返済をして抵当権を抹消し、名義を単独名義にした後でローンを組み替えるのです。変更する名義人の収入や勤務状況によって必ずしもローン審査に通るわけではありませんが、契約中の金融機関で借り換えが出来ない場合は、他の金融機関の住宅ローンへ借り換えを検討してみましょう。

親から遺産相続したマンションが不要で売却する場合

 

親が住んでいたマンションを遺産相続したが、生活拠点が離れているために売却したい、既にマイホームを所有しているなどの理由から売却したい、という場合を考えてみましょう。このようなケースは、利用する予定がないので売却をというケースですが、他に、相続税が支払えないために売却したい、というケースもあるでしょう。
この2つのケースの大きな違いは、期限の問題です。前者の場合は既に説明をしてきた流れで売却をすればいいのですが、相続税が支払えない場合には、支払いの納期が決まっている、という問題があります。相続税を納税する場合には、10ヶ月以内という期限がありますので売却がその期間までに終わっていないと支払いが出来ません。それまでに売却しないと支払いが間に合わないのです。人気の高い都心部の中古マンションであれば、買手がすぐにみつかって売却できるかもしれませんが、地方など馴染みのない土地での売却となると早めに手を打たなければ納期に間に合わない可能性もあります。売却に時間が掛かるようであれば、買取り業者に売却することも検討しなければならないと思いますので、相続が決まってマンションを売却する場合には出来れば早めに動いた方が良いでしょう。
また相続後すぐに売却を考えてはいなくても、将来的に売却することになるかもしれません。相続したマンションの場合、名義を書き換えておかなければ売却は出来ません。相続で不動産の名義を変更することを「相続登記」といいます。名義を変更せずにそのまま放置しておいても罰則などはありませんが、名義が本人ではない場合不動産を売却出来ませんし、後々トラブルの原因ともなりますので、マンションを相続した場合には忘れずに登記名義の変更手続きをしておくことが大切です。

中古マンション売却するための不動産業者の選び方

 

ここまで、中古マンションを売却する理由別に注意すべき点を解説してきました。もう一つ中古マンションを売る際に、大切な事があります。
それは、売却を仲介する不動産業者です。マンションがスムーズに、高値で売却出来るかどうかは、不動産業者によって大きく差が出るのです。ですから、マンションを売却する上で最も大切なポイントとも言えるでしょう。
最初に業者の選択を間違ってしまうと、本当はもっと高い価格で売却出来たものを安い価格でしか売れなかったり、人気の物件であるはずなのに売れ残りのレッテルを貼られて安く売却せざるを得なかったり、という事態にもなりかねません。
では、どのようにして不動産業者を選べばいいのでしょう。
まず不動産業者を大きく2つに分けて考えてみましょう。誰でも一度は名前を聞いたことがあるような知名度のある「大手不動産業者」と、その地域に昔からある「地域密着型不動産業者」。いったいどちらの不動産業者を選んだらいいのか悩むと思います。

大手の不動産業者は、知名度があり社員教育も徹底されているため安心感があります。資金力も豊富なので宣伝活動にもしっかりと力を入れてくれるでしょう。全国展開しているために膨大なデータを保有していますし、全国の顧客に広く情報を発信できるという利点があります。しかし、会社の方針に縛られてしまい細かい要望に柔軟に対応してくれない場合があります。担当がすぐに異動になってしまうというのもマイナス点かもしれません。

地元に根付いた地域密着型の不動産業者は、その地域の優良な顧客の情報を持っている事が多いのが強みでしょう。担当者の異動もありません。ただし、会社によっては営業力に大きく差が出てくる可能性もあります。

どちらがいいのか迷ってしまうかもしれませんが、結果は相性や、営業マンの力量などに左右される面も大きいのです。初めから大手のみ、地域密着型のみに限定してしまうのではなく、一括査定サイトなどを利用して広く複数の業者に査定を依頼して対応や、営業マンが信頼出来そうかなどを自分の目で判断して決めるのがよいでしょう。
また、不動産業者によって、仲介だけではなく買取りも行っていたり、任意売却など法律などに詳しかったり、得意分野が異なることも多いのです。住み替えや転勤などといった理由の売却なら相談もしやすいかもしれません。しかし、離婚による売却やローンの支払いが苦しい等が理由の場合には特に、問題に対する解決能力が高い不動産業者を選ぶ事が重要になってきます。ですから、訪問査定の際に売却する理由を相談してみて、そのような問題を解決してきた実績のある不動産会社と営業マンを見つける事がポイントとなるでしょう。

媒介契約はどの契約を選んだらいいのか

 

不動産業者が決まったら次に媒介契約を結ぶ事になります。媒介契約の種類は3つあります。「一般媒介」、「専任媒介」、「専属専任媒介」です。この中のどの契約を選ぶかは売主が自由に決める事が出来ます。「専任媒介」契約が最も多くの人が選ぶ契約ですが、売却するマンションによって他の契約を選択した方が適している場合もあります。

まず、一番多くの方が選ぶ「専任媒介」契約についてみてみましょう。特徴は、仲介の契約が1社のみとしか出来ないことです。依頼された業者側は、他の業者に契約を取られる心配が無いため宣伝活動に力を入れてくれる可能性が高いでしょう。売主が自分で購入希望者を探すことも出来ます。「専任媒介」「専属専任媒介」との違いは、売主が自分で買主を見つける事が出来るかどうかという点です。「専属専任媒介」の場合、売主が自分で買主を見つけて取引することは出来ません。
「専任媒介」では、宣伝に経費をかけてじっくり売却活動に取り組んでくれるという利点がありますが、一方で売却を依頼した業者が悪質だと、両手取引を狙って他の業者に物件の情報を流さないケースもあります。売主と買主の両者から仲介手数料をもらった方が倍に儲かるために、そのような悪質な業者も残念ながら中にはいるのです。また、そのような悪質なケースでなくとも、営業担当者の当たり外れもあるかもしれません。営業報告義務がありますので、期待通りの営業活動を行ってくれているかどうかは、チェックする必要があるでしょう。また、レインズへの登録も義務づけられていますので、売主側も売却に必要な情報が細かく登録されているかを確認する必要があります。特にマンションの図面や物件の写真が登録されていない場合は、登録してもらえるように依頼しましょう。もし、3ヶ月の契約期間内にはっきりとした手応えが感じられないといった場合には、業者の変更を検討してみることをおすすめします。

「一般媒介」についてみてみましょう。複数の業者と媒介契約を結ぶ事が出来ますので、売却活動を幅広く展開できる利点があります。一方不動産業者側からすると宣伝活動にお金をかけても他の業者で売却が成約してしまった場合には仲介手数料が入りませんので広告費が無駄になってしまいます。そのため積極的に宣伝をしてくれない可能性があります。またレインズの登録義務も一般媒介にはありません。
「一般媒介」に向いているのは、都心などの人気エリアのマンションです。「専任媒介」にしなくても、人気の高い物件であれば、すぐに買手が見つかるでしょう。
また、築古物件や、人気の無いエリアのマンションなどなかなか買手がつきにくい物件では広く様々な業者に売却依頼が出せるので、一般媒介が向いているでしょう。

媒介契約の特徴などを解説してきましが、一般的には「一般媒介」か「専任媒介」のどちらかを選ぶことになるでしょう。どの媒介契約を選択すべきなのかは、その物件によって違ってきますし、結局は売主の判断となるでしょう。より大切になってくるのはどの契約を結ぶかよりも、どの業者に仲介を依頼するか、という事です。マンションは大切な資産です。その売却を任せる業者選びは慎重に、一括査定サイトなどを上手に利用して複数社を比較検討することをおすすめします。

ここまで売却の理由別に注意すべきポイントと不動産業者の選び方、媒介契約の選び方をお伝えしてきました。次回は、訪問査定で査定を依頼する際の注意点や、高値でマンションを売却するポイントや注意点などを解説していきます。