中古マンション売却査定のポイント(1)では中古マンション売却の流れを、(2)では売却の理由別に注意すべきポイントと不動産業者の選び方をお伝えしてきました。今回は、訪問査定での注意点や、高値でマンションを売却するためのコツなどを解説していきます。
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訪問査定の前に知っておきたいチェックポイント
簡易査定でマンションを売却出来る相場を確認し、いよいよ売却する事を決めた場合、訪問査定を受けてさらに詳しい査定額を算出してもらいます。簡易査定で気になった2~3社に申し込むのがいいでしょう。事前に打ち合わせをして日時を設定した上で査定してもらうことになるので、あまり多くの業者に依頼してしまうとやり取りが大変ですし、時間が掛かってしまうからです。
ここでは、訪問査定を受ける場合に注意すべき点について解説していきたいと思います。
訪問査定での注意点は、売却を任せられる不動産業者を選ぶ、という視点から、担当者とやり取りする、という事でしょう。
ここで実際に査定に来てくれる不動産業者の担当者は、もしマンション売却の仲介を依頼する事になった場合は窓口として担当になってくれる人になるはずです。電話口での応対や、当日のマナーなどもチェックしましょう。約束の時間に無断で遅れたり、レスポンスが遅かったりという場合には大切な資産の売却をお任せするのはためらわれてしまいますね。また、こちらの質問に真摯にわかりやすく応えてくれるかも大事なチェックポイントです。マンション売却では様々な相談事や疑問点など出てくる可能性がありますし、営業マンとはストレス無く意思の疎通がはかれた方が売却もスムーズに運ぶでしょう。
また、訪問査定を依頼する際に、当日必要になる書類を確認しておくと安心です。次に挙げた書類は、訪問査定に必ず要るというわけではないのですが、売却時には必要になります。この際早めに用意しておくと安心でしょう。間取り図などの図面、重要事項説明書、管理規約、使用細則です。新築分譲時にもらったパンフレットなども残っていれば準備しておくと良いでしょう。
実際に営業マンの訪問を受けるとなると、汚れた床をリフォームした方がいいのか、プロのハウスクリーニングに依頼して掃除しておいた方がいいのか、悩むかもしれません。結論から先に行ってしまうと、リフォームや、プロのハウスクリーニングは必要ありません。室内がきれいに掃除されているかが査定金額に影響する訳ではないからです。ではどんな点を見て査定額を出すのかは次に説明したいと思います。ただし、マンションの全ての部屋を見てもらえるように、最低限の整理はしておきましょう。
訪問査定で査定額に影響するポイントとは
さて、訪問査定で気になるのは、何が査定額に影響するのかといった事でしょう。階数や間取り、築年数などは簡易査定で分かりますが、以下の点は実際に訪問してみないと分からない点になります。
まず、マンションが建っている地域の住環境の良さを確認します。駅からのアクセスが良いことはポイントです。駅からマンションまでの道が広くてフラットであれば高評価でしょう。また公園や学校、保育園が近いなどもファミリータイプのマンションではポイントになるでしょう。将来近所にスーパーが出来る、駅前が再開発されるなどといった場合には、査定額も下がりにくくなります。
マンションでは、管理状態が良いかどうかをチェックします。マンションの顔とも言えるエントランスなどの共有部分がきれいに保たれているかは大事な査定ポイントとなります。築年数が経っていても管理状態がよく、修繕状態もよいマンションは評価が低くはならないでしょう。建物が耐震、免震構造かも大事なポイントになります。
マンションの部屋の向きや階数、角部屋かそうでないかでも査定額が変わります。高層階などで眺望がいい場合には査定の評価も高くなります。
また、訪問査定を受ける前までに、業者に伝えるべき事をまとめておきましょう。
どのような点をまとめるかというと、「暮らしてみなければ分からないような事(プラス面もマイナス面も)」です。例えば、プラスになる点では、リフォームをした履歴や、夏は花火大会が見られる、マンションの前の遊歩道が桜並木になっているといった事など。お子さんがいらっしゃれば地域の見守り体制がしっかりしている、評判の良い小児科がある、などといった情報もプラスになるでしょう。
ここで注意が必要なのは、マンションの査定額にプラスになりそうな点はもちろんなのですが、重要なのはマイナスになりそうなことも隠さずに伝える事です。
例えば、壁や床の大きな傷がある、ペットの飼育が出来ない、将来的に西側の空き地にマンションが建築予定になっているなどといった事です。というのは、マンションを売却する場合に売主には「瑕疵担保責任」があるからです。「瑕疵担保責任」というのはマンションを売却した後で気付かなかった欠陥が見つかった場合、売主がその補修費用等を負担する義務があるというものです。一般的に個人同士の売買の場合には契約書に、瑕疵担保責任の期間を明記しておきます。売却にマイナスになりそうだと思っても、隠して売却してしまうと後々トラブルになりかねません。マイナス面も全て隠さずに見てもらった上で、買主にも分かってもらった状態で売却した方が安心です。
査定額を出してもらった後のポイントとは
訪問査定の後、査定金額が出るまでには最低でも2~3日かかります。中古マンションを売却する際の査定額は、「これくらいの価格で売り出せば3ヶ月くらいの間で売却出来ると思います」という価格を算出しているに過ぎません。業者買取りの場合と違って不動産業者がその査定価格で買い取るわけでもありません。どれだけ高く査定額を付けてもらっても、その金額で売却出来る保証はないのです。中には高い査定金額で惹きつけて仲介契約を取りたいと考える業者もありますし、一概に査定額が一番高い不動産会社を選ぶのが正解とは限りません。だいたいの相場価格は前もって確認しているはずですので、あまりにかけ離れた査定額を出してくる業者には注意が必要でしょう。また、大手だからという知名度だけで判断して選ぶのもあまりおすすめしません。
まず、業者から算出された査定額には、それぞれの業者が考える根拠があるはずなので、その根拠がきちんと説明できるかどうかを確認してみましょう。近隣のエリアの似たような物件の成約価格や、見込み客の動向など、一般の私たちにもわかりやすいように説明してくれる営業マンなら、その後のやり取りもスムーズに進むでしょう。
また、中古マンションを多く仲介している業者であれば経験も豊富ですので、売却まで自信を持って進めてくれるはずです。過去2~3年くらいの仲介での実績を聞いてみましょう。
販売活動をわかりやすく具体的に提案出来るか、という点もポイントです。マンションを売り出す際の価格の決め方や、宣伝のチラシの枚数や配布地域など、具体的な販売活動をどうするのかを確認してみましょう。
ご自身の勘で、この業者なら売却を任せられる、信頼できると感じるかどうか。営業マンとの相性や、意思の疎通がスムーズにはかれるかどうかも重要です。
重要なのは、売却を依頼するためにどの不動産業者を選ぶかです。ポイントをしっかり押えて、最適な不動産業者を選びましょう。
次はマンションを売却する際に、もし知らなかったら損をしてしまうような注意点や、高く売却するためのコツを紹介していきたいと重います。
中古マンションを高く売却するコツは早めの行動
高値で売却するためには「早めの行動」が重要です。
これはマンションを売却する話に限らないのですが、なるべく高値で売却をと思うのであれば、なるべく早く行動に移すことです。
「売却までに時間がない」という状況で、やっと購入希望者が現れたので焦って相場よりも安い価格で売却してしまった、などという話はよくあるのです。
売却期間に余裕を持って臨んでいれば、焦ることなく購入希望者と交渉できます。売却に焦りがなければあまりに安すぎる値引きには応じなくても済んだ場合も多いでしょう。
マンションを出来るだけ高く売却するための売るためのポイントは、売却では「早めに行動をする」という事です。焦って複数社に査定を依頼する事の無いまま業者を決めてしまったり、早く売らなければと焦って安く売却してしまったり、という事のないように、業者選びと売却期間には余裕を持っておくことを覚えておいてください。売却活動に熱心な業者に依頼する事が出来れば、結果的にはスムーズな売却へつながる可能性が高いと言えます。
内覧を売却につなげて成功させるポイントとは
次にマンションを高く売却するために、「内覧」での注意点を見ていきたいと思います。
内覧では、事前に約束した日にちと時間で購入希望者がやってきます。売主は出迎えのみで、室内の案内は基本的に不動産業者に任せます。ゆっくり見てもらえるように、売主側は1人のみで他の家族にはしばらく外出してもらうなどの配慮をした方が良いでしょう。また、お茶出しなども必要ありません。
中古でマンションを購入する場合には、実際に物件を見ないで購入を決める人はまずいないでしょう。エリアと間取りと価格が希望通りだったとして、その物件を購入するかしないかの最終的な判断は、内覧した際の印象で決めることになるでしょう。
特にその印象を左右する重要なポイントは次のような点です。
・お部屋の印象
明るくて清潔感のある部屋にみせることが大切でしょう。住みながらの売却の場合には、どこも完璧にピカピカにしておく、というのは無理がありますが、きれいに使用している、大事に住んでいる、という印象を持ってもらえることは大切でしょう。出来る限り物を整理しておき、広く明るくみせる工夫をしてみましょう。またクローゼットや押し入れなどの収納スペースは、一番見られたくないと思うかもしれませんが、買う側にとっては広さや使い勝手などで一番確認しておきたいポイントです。見せられない、という事がないように整理しておくことをおすすめします。また、特に気になる床や壁のキズや汚れがある場合などは隠さず確認してもらいましょう。
・マンション周辺の生活環境に対する印象
マンションの立地や生活環境は、努力で改善させる事は出来ません。しかし、実際に何年か住んでみて分かる魅力的な部分が必ずあるでしょう。事前にまとめておいてアピール出来れば多少立地が悪かったとしてもカバー出来るでしょう。
・売主に対する印象
マンションに対していい印象を持ってもらえたとしても、売主に対する印象が最悪だった場合には、売却自体がうまくいかない場合もあります。必要以上にへりくだる必要はありませんが、せっかく気に入って内覧に訪れた相手に不快な思いをさせることがないように、常識と節度ある対応を心がけましょう。
また、内覧の際には、購入希望者に対して不用意に口約束や承諾ととられるような言動は慎むようにしましょう。購入してくれるかもしれないと思った場合、希望者から言われた事をその場の勢いで軽く口約束してしまう事があるかもしれません。例えば、エアコンを置いて行ってもらえるかを聞かれたり、照明器具をそのまま使わせてもらえないか聞かれたりするかもしれません。そのような質問に対して、迂闊に良い返事をしてしまったために、後で「約束した、していない」、「言った、言わない」などというトラブルになる可能性もあるからです。
マンションを売却するのに適切な時期とは
1年のうちで何月にマンションを売却するのが一番いいのでしょうか。賃貸物件であれば、引っ越しで人の動きがある3月に活発になるイメージがあります。
東日本不動産流通機構が発表したデータによると、平成29年の首都圏の中古マンションの月別成約件数は、1月 1,495件 2月 1,784件 3月 1,948件 4月 1,609件 5月1,532件 6月 1,750件 7月 1,722件 8月 1,142件 9月 1,686件 10月 1,586件 11月 1,512件 12月 1,587件となっています。
3月は件数がやや多いようですがその他の月ではあまり大きな変化はないようです。夏休みやお盆休みのあるせいか、8月は件数が少し落ち込んでいるのがわかります。ですから、売買が最も多いのは3月、売買件数が少なくなるのは8月という事を押えておけば、他の時期はあまり気にする必要はないようです。
ただし注意しなければいけないのは、マンションを売却するまでの期間を考えておかなければならない点です。仲介を依頼してから売買契約が成立するまでは、だいたい3ヶ月はみておく必要があります。最も成約数の多い3月をターゲットにするのなら1月中には動きはじめておかないと、間に合わなくなってしまうかもしれません。
ただし、大規模マンションなどの場合、同じマンション内で別の部屋が売却に出されている場合があります。もし、ご自分の物件が階数や間取りなどの条件がその部屋と比べて良くないと判断した場合には特に、その物件が売れるのを待って売却時期が被らないようにした方が賢明です。同じマンション内で競合してしまった場合、その部屋よりも高い値段で売却することは難しいからです。
築年数の違いによって売却の方法は異なる
都心部の人気エリアであれば、築30年や40年という中古マンションでも数多く売買されているのを目にします。一方地方の物件になると、築30年以上経つ中古マンションを売却することは相当難しくなってきます。
また、「大地震が起きても人命に関わる甚大な被害が出ない」との新しい耐震基準が導入された1981年(昭和56年)6月1日以前に建てられた中古マンションの場合は、地震に対する備えが十分でないとして敬遠される傾向です。
中古マンションで一番人気があるのは、築10年以内の物件です。ですから築1年から10年ほどの築浅の中古マンションであれば、よほど相場から離れた強気の価格設定で売り出したりしない限りは、売却に関してはそれほど難しくはないでしょう。
では、築15年前後の中古マンションとなるとどうでしょうか。築年数が12年を超えてしまうと最長35年の住宅ローンは組めなくなります。法定耐用年数の関係でそれを超えた借入期間で住宅ローンを組むことが出来ないためです。また、そろそろ大規模修繕の第1回目が行われる時期となりますので、修繕積立金が不足している場合は将来的に一時金を負担しなければならない場合もあります。15年前後の中古マンションでは、個々のマンション毎の管理状態の差が大きくなってくるのです。ですから、不動産業者の査定を受けた場合はその根拠を必ず確認して、ご自身のマンションの状況が正しく査定額に反映してくれている業者を見つけて下さい。
築20年以上経過した場合は、リフォーム、リノベーションを前提として割安な物件を探している層の需要があります。しかし、売却前にリフォーム、リノベーションした方が売却出来る、という訳でもないので注意が必要です。リフォーム、リノベーションのコストをかけた分だけ高値で売却出来ればいいのですが、購入希望者は自分の好みでリフォームしたいと考えている場合も多いからです。ですから、リフォーム・リノベーションして住みたい人に向けても積極的に広告を出せる不動産業者を探してみてもいいでしょう。
築30年以上も経過した中古マンションでは、なかなか買手がつかないのでは心配になると思います。しかし、年配の方が住み替えを検討されている場合、長期の住宅ローンは組む事が難しくなります。ですから現金で購入できる、もしくは短期のローンで購入できるような割安の中古マンションを検討される場合が多いのです。不動産業者によって得意な分野は異なるため、築30年以上の中古マンションを多く取り扱った経験のある不動産業者をパートナーとして見つける事が大切でしょう。過去の取引経験などを確認したり、販売戦略の確認をしたりすることで信頼出来る業者を見つける事が大切です。
また、築20年の物件でも言えることですが、築30年以上を経過した中古マンションでは、売却した後の瑕疵担保責任が気になります。その心配がない業者による買取りを選択肢に入れてもいいでしょう。
ここまで中古マンションを売却する流れや、高値で売却するために知っておきたい点を解説してきました。他にも注意が必要な点がいくつかあります。
特に注意して欲しい点を3つ解説しておきたいと思います。
自分の名義ではないマンションを売却する場合の注意点
まず、自分名義ではない中古マンションを売却する時の注意点です。
自分の名義ではない中古マンションを売却することなんて出来るの?と思われるかもしれません。珍しいケースではありますが、まったくあり得ないわけではありません。
考えられるケースとしてマンションを所有している親が高齢になり、認知症になってしまった場合などがあるでしょう。また、離婚後の夫婦共有名義のマンションを、妻が売却する場合などです。いずれの場合も売却するには名義人本人の同意が必要になりますので、委任状などが必要になります。
まず、夫婦共有名義の中古マンションの場合を見てみましょう。妻と夫が50%ずつで共有名義としている中古マンションは、理論上では、自分の持分だけ売却することは可能です。ただし、半分の権利だけを実際に購入する人はまずいないでしょう。
共有名義のマンション売却では、共有者全員が売主となります。ですから媒介契約や、売買契約でも共有者全員の署名と実印が必要となります。しかし、遠方に住んでいて契約に来られない共有者がいるなどの理由がある場合には、別の共有者を代理人として売却を一任することできます。その際には、委任状に必要事項を記載し、委任者が実印を押印します。さらに委任者の印鑑証明が必要です。この委任状があれば、共有者に変わって代理人が売却までの一連の流れを代行することが可能になるのです。
ですから、夫名義のマンションを妻や子が売却する際には、夫本人が同意することが必要です。ですから妻が単独で共有名義のマンションを売却するためには、妻を代理人にするという夫からの委任状と、印鑑証明が必要となります。
では、次に親が重度の病気で入院して自分では売却出来ないといった場合をみてみましょう。親に判断能力があって、自分のマンションを売却したいと望んでいる場合、親から子どもへの委任状など必要な書類が揃っていれば、親の代理人として子どもが売買契約を結ぶことができます。しかし、親が認知症で判断能力がない状態であった場合は、この代理人によるマンション売却は出来ません。
そのような場合は、まず「成年後見制度」の利用を家庭裁判所に申し立てます。判断能力の欠けた親に代わって財産を管理し様々な契約を行う事が出来る「成年後見人」を選んでもらう必要があります。成年後見人は裁判所が選任する事になりますので、必ずしもこちらが望んだ人が後見人になれる訳でもありません。また、子供が「成年後見人」と専任されたとしても、すぐに売却が出来るわけではなく、自宅の売却に関しては、家庭裁判所の許可を得る必要があります。売却理由によっては許可が下りないこともあり得ますし、そこで売却許可が下りなければ、売却はできない事になります。もしも許可無く自宅を売却してしまった場合は、その売却は無効になります。
このように、成年後見人制度を利用して中古マンションを売却する場合は、専門的な知識が必要となります。不動産業者だけではなく弁護士や司法書士などの専門家にも相談する事をおすすめします。
中古マンション売却での瑕疵担保責任について
中古マンションを売却する際には、「瑕疵担保責任」の問題があります。これは売主の責任義務でもありますので避けては通れないでしょう。
「瑕疵担保責任」とは、いったいどういう責任でしょうか。これは、売却した不動産に対して売主が一定の期間内は責任を負うという制度です。保証の対象となるのは「引き渡された時には気がつかなかった隠れた物件の不具合」です。中古マンションなどの不動産の場合はその期間は1ヶ月~3ヶ月程度で設定する事が一般的で、売買契約書に記載されます。この期間については契約時によく確認しておいた方が良いでしょう。
中古マンションの場合で多くトラブルとなるのは給排水設備の不具合です。もし期間内に不具合が発生した場合には、修繕費用などを売主側が負担する義務があります。
この瑕疵担保責任の期間については、特に法律で定められてはいません。ですから、築年数の経った中古マンションを売却する場合には、何かしらの不具合の発生を想定した上での低めの価格設定にした上で、瑕疵担保責任を物件引き渡し後1週間とするという契約も、場合によっては瑕疵担保責任を負わないとする契約も、買主が納得して購入すれば可能です。
債務不履行にならないように注意が必要
マンションの購入者が決まり、無事に売買契約まで終わったとしてもこれで全ての契約が完了したわけではありません。売買契約からだいたい1ヶ月先になりますが、買主側が残代金を精算し、売主側は物件を引渡してはじめて契約完了です。
しかし、売主と買主のどちらかが契約違反をして売買契約が解除になった場合、相手方に損害賠償や違約金を支払わなければならなくなるかもしれません。
中古マンションを売却する場合に多いのは、契約書で決められた期日までに物件の引き渡しができないケースでしょう。
売主側の注意点としては、「必ず期日までに物件の引き渡しをする」ことと、「契約書に記載している状態で物件を引き渡す」の2点です。
約束の期日に物件の引き渡しが出来なかった場合を考えてみましょう。買主側が前の住居を引き払い新居への引っ越しを予定していた場合は、住む場所の確保や引っ越し業者への対応などで買主側へ大変な損害を与えてしまうことになります。買主側からの損害賠償が請求されるのは当然の流れでしょうし、場合によっては慰謝料を請求される事になるかもしれません。
万が一、契約書の期日までに物件の引き渡しが無理そうだと判明した場合は、出来るだけ早く仲介業者を通じ、買主の了承を得る事です。
また、引渡し時に残していくと約束していたエアコンが取り外されている、というトラブルケースもあります。
売買契約をした時点では、まだ新居が決まっていない場合もあるでしょう。そのため残す物、持って行く物の仕分け出来なかった、というケースも多いと思います。しかし、後々のトラブルを避けるためには、きちんと仕分けをした上で、契約時には買主側の共通認識として書類に残しておく必要があります。
引渡し時に残していく物、撤去する物に関しては、売買契約前の重要事項説明で買主と確認が行われます。
ですから、エアコンや照明器具を残していくと付帯設備一覧表にあったのに、引渡し時に無かったという場合には、買主側は返還するように請求出来る事になっています。また、付帯設備として残さないとしたものを処分していない場合も同様です。引渡し時点で事情が変わったからと言って、勝手に持って行ったり残していったりする事は避けましょう。
ここまで、中古でマンション売却の流れや、高値で売却するためのポイントや注意点を解説してきました。かなり長くなりましたが基本的なポイントは網羅されていると思います。ポイントをしっかり押えて、マンション売却を成功させましょう。