中古マンション売却査定のポイント(133)マンション売却はレインズで

売却の流れと基礎知識

「レインズ(REINS)ってなに?」

 

レインズって聞いたことありますか?
中古マンションの売却査定を考えているあなたなら、一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
もしかすると、すでに売却を依頼した不動産業者から「レインズへの登録ができました」と報告を受けた方もいらっしゃるかもしれません。
中古マンションの売却査定について書いてあるような記事でも、よく「レインズ」という言葉を見かけます。

よく見聞きする「レインズ」ですが、では、一体何のこと?と聞かれると、売却したい不動産を登録するところ・・・?というあたりまでは、なんとなくわかるものの、詳しくはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、今後の中古マンション売却が、よりスムーズに行えるように、「レインズ」についてみていきたいと思います。

不動産情報ネットワークのことです


Real Estate Information Network System・・・この頭文字をとって「REINS(レインズ)」です。
直訳すると、不動産情報ネットワークシステムですね。
このネットワークは、不動産業者のみが利用することができます。
私たち、中古マンションの売却をしたい一般の人は見ることはできません。

中古マンションの売却を考えた多くの方は、まず、複数の不動産業者に売却査定の依頼をされていると思います。
その中で、「この査定額でなら売却したい」と納得のいく査定額を出した不動産業者と、専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を締結し、売却へ向けて販売活動をしていかれることでしょう。
その時に、その不動産業者は、当該中古マンションをレインズに登録する必要が出てくるのです。
一般媒介契約とよばれる複数の不動産業者に売却の仲介を依頼できる契約では、レインズへの登録義務はありません。詳しくは、後述します。

何のためにあるの?


レインズは、法律に基づいて設立された公益社団法人が運営しています。
この公益社団法人を、指定流通機構といいます。
東日本、中部、近畿、西日本と、全国で4つの指定流通機構があります。

レインズが設立された目的は、
(1)不動産の物件情報を円滑に流通させること
(2)不動産市場の透明化を図ること
この2つです。
それでは、この2つの目的について詳しくみていきましょう。

1.物件情報を円滑に流通させる
「このマンションを売却したい!」と思って査定に出し、売却仲介の契約を結んだところまではよかったけれど、なかなか買主が現れない・・・また逆に、「こういう中古のマンションを買いたいのだけど、なかなかいいのが見つからない」・・・なんてこと、ありますよね。


レインズは、物件情報を1か所に集め、全国の不動産業者がそれを共有することができるネットワークです。
不動産業者が、自社のネットワークだけでは見つけられないような買主、売主を、レインズを利用すれば、見つけることが可能になるということなのです。

2.市場の透明化を図る
不動産業者は成約した物件の取引事例を、レインズに登録します。
このため、レインズには過去の取引事例が大量に蓄積されていますので、不動産市場の動向や相場を的確に把握することができます。
不動産業者が、査定する際などに価格をいくらにするか、相場はいくらくらいなのか、レインズを参考にすれば、適正な査定額を出すことができるというわけです。

どうやって利用するの?


宅地建物取引業者が、レインズに会員登録することによって利用することができます。
不動産業者が、売却依頼を受けた物件を登録したり、購入希望者の要望にあった物件があるかを検索したりします。
不動産業者のみが利用できるネットワークです。

どんな物件が登録されるの?


1.登録が義務の物件は?
レインズへの登録義務があるのは、専属専任媒介契約もしくは専任媒介契約を締結し、売却を依頼された物件です。
なぜ、「義務」なのか・・・それは、専属専任媒介契約・専任媒介契約をした売主が、なかなか売却ができなかったり、査定価格よりかなり低い額で売却せざるを得なくなったりといった不利益を受けにくくするための措置です。

専属専任媒介契約・専任媒介契約をすると、あなたは、中古マンションの売却のための活動のすべてを、その契約をした1社に任せることになります。
つまり、査定額通りの価格で売却できるか、売却できずにいつまでも待つことになるかは、その不動産業者の手腕によるところが大きくなるといえるのです。

専属専任媒介契約・専任媒介契約をした後に、その不動産業者が積極的に売却のための活動を行わず、不正な両手仲介を狙う可能性もあるのです。
中古のマンションの売却、購入では、売主は売却先を見つけた不動産業者に、買主は購入するマンションを見つけた不動産業者に、仲介手数料を支払います。
不動産業者が、売主もしくは買主、どちらか一方からのみ仲介手数料を受け取るのが、片手仲介、売主、買主共に自社のお客さんのため、両方から仲介手数料を受け取ることができるのが両手仲介です。
片手仲介の2倍の手数料を手に入れることを狙って、不動産業者が不正行為をするのを防ぐために、強制的に物件をレインズに登録させるのです。

2.登録が任意の物件は?
一般媒介契約のときは、レインズへの登録は任意です。
比較的、売却しづらい物件は、登録されることが多いようです。
少しでも多くの方に物件の情報を知ってもらうことによって、なるべく良い条件で売却できる可能性が出てくるからです。
駅から近かったり、築年数が浅かったり、比較的売却しやすい物件は、わざわざレインズに登録しなくても売却できてしまうので、レインズへの登録はしないようです。
レインズに登録しなければ、両手仲介も狙える可能性も出てきますしね。

レインズに登録されているのは、専属専任媒介契約・専任媒介契約のすべての物件と、一般媒介契約の売却しづらい物件と考えるとよいでしょう。

レインズに登録されたかは、どうやって確認するの?


さきほどご説明した通り、レインズを一般の方が見ることはできません。
では、どうやって登録されたことを確認するのでしょう?
売却したい物件がレインズに登録されると、売主に対して、登録証明書を発行します。
この登録証明書をもって、レインズに登録されたことを確認できます。

どんなメリットがあるの?


レインズに登録するメリットを、売主、買主、それぞれの立場から具体的にみていきましょう。

1.売却するときのメリット
中古のマンションの売却を考えたA子さん、まず売却査定を3社の不動産業者に依頼しました。
築年数がかなり経っていて、一般的に売却しづらいと言われているマンションであるのが少し心配でしたが、3社の査定額を見ると、まぁまぁよさそうです。
そして、納得の査定額を出してくれた面倒見のよさそうな不動産業者と、専属媒介契約を結びました。
A子さんの中古マンションの情報はレインズに登録され、登録証明書を受け取りました。
さぁ、あとは買主が現れるのを待つのみです。
レインズで、情報を広く公開したのですから、きっと買主は見つかるはず・・・。
しかし、待てど暮らせど、買主が現れない・・・。

そんなときは、売却を依頼した不動産業者に、「買主からの問い合わせがあったら、必ず対応してください」とプッシュしましょう。
登録証明書があるということは、レインズに登録がされているということです。
買主からの問い合わせが全くないということは、不動産業者が両手仲介を狙って、買主からの問い合わせを黙殺している可能性もあります。
駅から近いなど売却しやすい中古マンションであった場合は、特に不正な両手仲介を狙われる可能性が高まるようです。
不動産業者が、問い合わせのあった買主に対して誠実な対応をしてくれているのか、レインズの登録証明書を受け取ったら、こまめにチェックしましょう。

さきほどのA子さん、築年数がかなり経っているものの駅から近く、中古マンションのブランドとして人気のあるマンションであったため、実は、不動産業者の見立ては「売却しやすい中古マンション」でした。
買いたいという方から問い合わせがあったにもかかわらず、不動産業者によって黙殺されていたのです。
何度もレインズの登録証明書を手に、買主への対応をお願いしたところ、ようやくレインズ経由の買主と売買契約を結ぶ運びとなったようです。

2.購入するときのメリット
中古のマンションを購入したいと考えたB男さん、近所の不動産業者に足を運んだり、ネットで検索をしてみたり色々としてみましたが、なかなか条件に合う中古のマンションが見つかりません。
新たに足を運んでみた不動産業者は、レインズ会員だったようで、「良い物件はあったとしても、売主側の不動産業者が対応してくれないこともあるから、なかなか難しいんだけどねー・・・」と言いながら、レインズで検索をしてくれました。
すると、考えていたよりは古いけれど、そのほかの条件はピッタリと合致する近所の中古マンションが見つかり、無事に売買契約を結ぶことができました。

このように多少条件の悪い物件であっても、近所だったら買いたいと考えている買主には、レインズは有用であるといえるでしょう。

まとめ
いかがでしたか?
レインズは、不動産業者しか利用することができず、私たち一般の売主、買主には、なじみもなくわかりづらいシステムではあると思います。

あなたの媒介契約の種類によって、レインズへの登録が義務の場合と任意の場合がありますので、まずは、契約の種類を確認しましょう。
そして、レインズへの登録が済み、登録証明書を受け取りましたら、不動産業者が不誠実な対応をしていないかこまめにチェックしてください。

また、売却の査定を受ける際に、その不動産業者がレインズ会員であるか確認をしてみるのもよいかもしれません。
一般媒介契約で査定通りに売却が進まなかったときに、レインズへ登録してもらうことによって、買主が見つからないという状況を打破できるかもしれません。

あなたが大事に住んでいた中古マンションの売却が、よりよいものとなりますように、レインズのメリットを最大限に利用してみてください。