検査済証と権利証を紛失した不動産は相続登記や売却できる?取得方法を解説

トラブル・特殊な物件の売却

不動産売却一括査定「イエイ不動産売却査定」

「相続した不動産を売却しようとして検査済証や権利証を探したが、見つからない」

という方に向けて、検査済証と権利証を紛失した時の対処方法を解説しています。

検査済証と権利証は、不動産売却の際に必要な書類です。この記事を読み、取得方法を知りましょう。

権利証を紛失した場合のマンション売却方法

検査済証

検査済証は、新しく建てられた建物が、建築基準法に適合していることを証明する書類です。

建築前に提出している建築確認申請書の通りに問題なく建物が建築されていることが確認できた場合に発行されます。

新しく建物を建てる場合は、行政から許可を受ける必要があります。

設備や構造などが建築基準法や行政の法令などに適合して建てられているかどうかを建築主事や指定された確認検査機関が確認を行います。工事に着工する前の「建築確認」、工事着工後の「中間検査」、建物の工事完了後の「完了検査」、3つの検査に合格すると検査済証が交付されます。

中古物件として不動産を売却する際に、検査済証があれば工事が完了した時点で物件が適法だったという事を買い手に示すことが出来ますので、安心して購入してもらえることになります。

権利証

権利書とも呼ばれる登記済権利証は、現在では「登記識別情報」が正式名称です。

土地や建物などの不動産の所有者が登記名義人であることを証明する書類になります。

不動産を取得した時や建物を新築して登記が完了した際に発行されます。

2005年の不動産登記法改正以降は「登記識別情報」として発行されていますが、従来型の登記済権利証が無効になったわけではなく、改正以前に発行された権利証は有効です。

ちなみに建物を新築した際に行う建物表示登記では、申請時に申請者の所有権を証明する書類として先に説明した検査済証や建築確認が終わった後に通知される建築確認通知書が必要となります。

【不動産登記とは】

不動産登記は、購入や相続で不動産を取得したときや、登記内容に変更があった場合に行います。登記とは土地や建物を誰が所有しているのか権利関係を公にするための制度です。法務局が管理している登記簿に、不動産の所在地、所有者、権利設定の情報などが記載されています。情報は公開されているため、登記内容は誰でも閲覧する事ができます。

建物を新築したときや、新築で未登記の建物を購入した場合は、取得日から1ヶ月以内に登記をする義務があります。

 

相続する不動産が検査済証や権利証を紛失していても登記できる

検査済証や権利証がなくても相続登記は可能

相続した不動産の名義を変更する手続を相続登記といいます。

相続登記では、不動産を相続した相続人が所有権の移転登記を行います。

手続には基本的に権利証や検査済証は不要ですので、紛失していても問題なく相続登記することが可能です。

例えば、分割協議を行って相続した不動産の登記に必要となるのは以下に挙げる書類になります。

【遺産分割協議後に相続登記するときに添付する書類】

・被相続人に関する書類:生まれてから亡くなるまでの戸籍、住民票の除票

・相続人に関する書類:戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、遺産分割協議書

・登録免許税の算出に必要な書類:固定資産評価証明書

相続登記で権利証が必要ない理由

相続登記に権利証が不要である理由は、不動産の権利を有している所有者が既に亡くなっているためです。

権利証は、登記名義人本人である事を証明する書類です。

例えば不動産を売却する場合には、売主が登記名義人本人であることを証明するために権利証を提示します。

一方相続登記の申請では権利証にある名義人は既に亡くなっています。
登記の申請者は相続人ですので、提示する必要がないのです。

権利証が例外的に必要となる2つのケース

ケース1:被相続人の住所の沿革が証明できない

提出が必要なのに揃えられない書類があった場合です。

例えば、被相続人の住所の沿革が証明できないときです。

登記されている所有者の住所が引っ越しなどで現住所と違っていることはよくあります。
その場合は登記された住所から、現住所までの沿革を証明する必要があります。
所有者のなりすましを防ぐために、同一人物であることを公的な書類で証明しなくてはいけません。

住所を変更していても1回だけであれば住民票に前住所が記載されているはずです。
また、複数回住所を変更していても、戸籍の附票を確認すれば住所の沿革が記載されています。

ただし、結婚や転籍をした際に新たに戸籍が作られるため、古い戸籍の附票を確認しなければいけない場合があります。
自治体によっては古い戸籍は5年の保存期間が過ぎると廃棄されてしまうこともあります。
結果、登記簿に記載された住所から現住所の沿革を証明することができなくなってしまいます。

その場合には、救済手段として代わりに被相続人が不動産の名義人となっている権利証を提出することで手続が可能となります。

法務局によって提出する書類は異なるため事前に確認が必要ですが、主な書類は以下になります。

・権利証(登記識別情報)

・上申書(印鑑証明書付き)

・納税証明書

 

ケース2:第三者に遺贈されたとき

遺言によって相続人以外の第三者に財産を譲り渡す場合は相続ではなく遺贈といい、遺贈が原因で不動産の所有者移転登記をする場合には、添付書類として権利証が必要となります。

遺贈による登記は、遺贈を受けた者と遺言執行者(遺言書に定めがなければ相続人全員)で共同申請を行います。

相続不動産の売却にあたり検査済証や権利証を再取得する方法

検査済証や権利証は、相続不動産を売却する際に必要です。

検査済証の代わりとなる証明書を取得する方法

検査済証の書類を紛失してしまった場合は、自治体の窓口に申請すれば「確認済証明書」を発行してもらう事ができます。

ただし、証明書を発行してもらえるのは、過去に検査済証の交付を受けている建物です。完了検査を受けていない建物は当然ですが交付を受けることはできません。

相続している不動産の場合は特に過去に検査済証を受けているのか、それとも確認申請を行っていないのかが不明な場合も多いでしょう。

その場合は役所の建築指導課の窓口で台帳を検索してもらって調べてもらう事ができます。

問い合わせには以下の情報が必要です。

・建物を建築した建築主の氏名

・敷地の地名地番

・建物が建築された年代

【補足:地名地番とは】

地番とは、明治時代の区画整理の際に土地に付けられた番号です。
土地登記簿上で一つの土地とされている単位(一筆)ごとに番号が付いています。
郵便などを送る場合や住民登録に使われている住所は住居表示といい地番とは異なります。
地番は、権利証(登記識別情報)や、固定資産税課税明細書で確認することができます。どちらも見つからない場合は法務局に電話で確認することも可能です。

完了検査を受けていないため検査済証が発行されていなかった場合はどうなる?

完了検査を受けていないために検査済証がない場合でも、確認申請・確認済証があり、確認申請通りに建てられている中古物件であれば、ほぼ問題なく売却することが出来るでしょう。
適法物件であると確認出来れば、検査済証がなくても融資を受けることができるためです。

実は建築確認申請は行っていても完了検査を受けていない、という中古物件はめずらしくありません。
近年では、検査済証がない物件では融資を受けることができなくなっていることもあり、ほとんどの物件で検査済証が取得されています。
しかしながら建築確認や検査の厳格化を目的として2007年に建築基準法が改正される前までは、完了検査に対する認識の浅さもあり費用や手間を惜しんで検査を受けない物件が多くありました。
ですから、築年数が20年以上の中古物件では検査済証がないケースも多いのです。

権利証を再取得する3つの方法

権利証を再取得することはできません。

ただし、売却時に登記名義人本人である事を証明する方法が3つあります。

  • 事前通知
  • 司法書士による本人確認情報の提供
  • 公証人による本人確認情報の提供

この3つのいずれかで権利証(登記済証・登記識別情報)の代わりとすることが出来ます。
ですので、もし紛失してしまったとしても「これでもうマンション売却は出来ない」とあきらめる必要はありません。不動産会社、司法書士の方に相談して上記のいずれかの対応ですすめてもらうようにしましょう。

事前通知の制度

登記簿の名義人宛に登記所から郵送される通知で本人と確認されれば権利証の代わりとなります。
マンション売却の際に権利証を紛失してしまったことを登記所に届け出ることで、登記所側から登記簿の登記名義人宛てに郵送で通知が届きます。通知は本人限定受け取り郵便で届けられ、実印を押すことが求められます。
事前通知が発送されてから2週間以内(海外在住者の場合は4週間以内)に申し出をする必要があります。通知が手元に届いてから2週間ではない点には注意が必要です。

司法書士による本人確認情報の提供

資格を持っている司法書士や土地家屋調査士などに本人確認を行ってもらい、登記名義人であることを証明してもらう制度です。事前の面談などで間違いなく登記簿の名義人本人であることの確認が取れた場合にのみ登記申請に本人確認情報を提供します。利用する場合は司法書士などの代理人へ手数料を支払う必要があります。登記申請の時に本人確認情報が提供されるため登記申請と同時に手続きを完了させる事ができます。

公証人による本人確認情報の提供

権利証等を紛失した場合の本人確認情報は、司法書士以外にも公証人でも作成が可能です。
公証人が認証する本人確認情報を登記申請と一緒に提供することにより登記の手続きが完了します。公証人による本人確認の情報提供を利用する場合も、手数料を支払う必要があります。ただし、司法書士への手数料と比較すると費用は割安となっています。登記申請の時に本人確認情報が提供されるため登記申請と同時に手続きを完了させる事ができます。

 

 メリットデメリット
事前通知費用がかからない期間がかかる
本人確認情報の提供
(司法書士)

登記申請と同時に
手続きが完了

費用がかかる
本人確認情報の提供
(公証人)
登記申請と同時に
手続きが完了
費用がかかる

 

検査済証や権利証を紛失などの問題を抱えた不動産の売却は難しい?

検査済証のない違法建築物件の場合、売却に支障があります

建築基準法に違反している違法建築物件は、購入の際に融資が受けられないため買い手が限られてしまいます。また、建物の用途を変更したり増改築をしたりする場合に、建築確認申請が必要となりますが、認められるには違法部分を改正しなければいけないなど利用に制限があります。購入しても計画していた用途や間取りが実現出来ない可能性があり、買い手から敬遠されてしまうのです。

違法建築物件であることは、売却時に重要事項として購入者に説明する必要がありますし、運良く売却出来たとしても現金で買える買い手に限定されるため、安く見積もられて売却価格が低くなってしまうでしょう。

まとめ

・権利証(登記識別情報)や検査済証は不動産の売却に必要な書類だが、紛失しても再発行はできない

・再発行出来ない代わりに、売却時に同等の効果を発揮できる代替の手段がある

・完了検査を受けていない物件は、適法性が証明できないと売却が難しくなる
・違法建築物件の売却は難しいので買取専門の業者の買取がおすすめ

売却を考えたら早めに整理しておきましょう。

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