中古マンション売却査定のポイント(139)マンション売却時の確定申告

中古マンションを売却するときには、思った以上にやるべきことがたくさんありますよね。一括査定サイトなどに登録したり、調査した査定価格を元にマンションの売値を決めたり、売却にあたっての必要な書類を用意したり、現在マンションを賃貸として貸し出している場合は現居住者に退去の連絡をしたり…やるべきことが多岐にわたるため、無事に所有していた中古マンションが売却できて買主からの入金が完了した後は、ホッとしてしまって、もうその後のことについて考えることを後回しにしてしまうかもしれません。
ですが、マンションの売却が完了してからもしなければいけない大切な作業があります。それは「確定申告」です。中古マンションを売却した場合は、場合によっては確定申告をしなければいけない義務が発生します。会社勤めの方は、税金まわりのことに関しては普段会社がかわりに行ってくれますので、確定申告を自分でする機会がなかった方も多いかと思います。ですので“確定申告”と聞いただけではどんな作業をしなければいけないかピンとこず、何をどうしたら良いのか不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、中古マンション売却時に知っておいた方が良い確定申告の知識についてをお伝えいたします。マンションの売却をすでに完了されたかたも、今から一括査定サイトに登録して複数社の査定価格を比較してみようと売却準備をはじめたばかりの方も、この記事で確定申告にまつわる基本的な知識を深めていただければと思います。

確定申告は、そもそも何のためにする必要があるのか?


マンションを中古で売却をするときは、確定申告が必要になるケースがあるとお伝えいたしましたが、そもそも確定申告はどういう目的でするのかについてをまずは知っておく必要があります。結論から言いますと、確定申告とは、個人の「所得税」を確定するために行うものです。
現在、会社に勤めながら副業をする働き方がだんだんと一般的になってきていますが、それでもまだ多くの方は1つの会社からもらうお給料で暮らしている方も多いかと思います。一般的には、副業などをしていない、会社勤めの会社員であれば、自分が勤める会社から支払われるお給料以外の所得はありませんので、この場合は、勤務先の会社が「特別徴収」という形で社員のかわりに所得税を代わりに国へ納めてくれているため、自分で役所に行って自ら確定申告を行う必要はありません。このことから、今まで自分で申告をした経験がない方もたくさんいらっしゃるかと思います。
通常、給料による所得を、「給与所得」と呼びますが、中古でマンションを売却した場合は、この給与所得の他に、「譲渡所得」という所得が個人に発生したことになります。
このため、副業をしていない会社員の方でも、マンションを売却したことによって給与所得と異なる「譲渡所得」という所得を得たことになります。
所得税は、個人の様々な所得を合計した金額から算出されます。ですのでマンションを売却した場合は、合計所得を確定するために基本的には確定申告をしなければいけません。申告漏れのないように十分に注意を払いましょう。マンションが実際に売却できるまでは、一括査定サイトなどに登録して各社の査定価格を比較したり、不動産会社の担当者と蜜に連絡をとったりと、積極的に行動される方も多いかと思いますが、売却が完了した後の確定申告について忘れてしまわれる方も多いのでご注意ください。
ここまでは中古マンションを売却した場合は基本的には確定申告する必要があるとお伝えしましたが、しかし場合によっては申告しなくても大丈夫なケースがあります。続いては、確定申告が必要なケースとそうでないケースはどうやって判断するのかについてをご説明していきます。

中古マンションを売却の際に確定申告が必要になるケースとは?


結論から言いますと、中古マンションを売却する時に確定申告が必要か否かを判断するには、マンションを売却したときの「売却益」を知る必要があります。この売却益がプラスかマイナスかで、確定申告が必要かそうでないかを判断することができます。売却益は何かを知っておくことは不動産売却を検討しているすべての方に役立つ知識ですので、是非覚えておいてください。「売却益」とは、実際の売却した価格とは違うということをまずはおさえておきましょう。売却価格とは、単純に、不動産が売れた金額そのもののことをさします。築10年の中古マンションを一括査定サイトに登録したら売却査定額が2000万円だったので、査定価格よりも少し高い値段を設定して2500万円で売りに出した。買主との交渉の末に、値引きをして2200万円で買ってもらうことができた。この場合は「2200万円」が、実際に売却した金額になります。
では、「売却益」とは何をさすかと言いますと、先に挙げた実際に売却した金額から様々な費用をひいて算出する金額のことをさします。その土地や建物を購入するためにかかった費用(※建物の減価償却費を差し引いて算出する)や、売却するためにかかった費用、特別控除などを差し引いた金額が「売却益」となります。
例に挙げたように2200万円で売却できたからといって、2200万円が売主のまるまる儲け(売却益)になるわけれはないということです。
2200万円でマンションが売却できた、その金額だけを見ると、儲けが出ているような感覚になりますが、もしその不動産を購入する時にかかった費用が仮に1億円かかっていたとしたら建物の減価償却分をひいたとしても、それだけで売却益はマイナスになるということを理解していただけるかと思います。また、売却にあたっても様々な費用がかかります。間に不動産会社に仲介を頼めば不動産会社への仲介手数料も発生しますので、その費用なども売却益から差し引くことが出来ます。不動産の取得費や売却にかかった譲渡費用だけでも売却益はマイナスになることが多いですが、さらにマイホームなどの住居として使っていた不動産を売却した場合には、売却益から3000万円を引いた額を所得とみなす「特別控除制度」が適用されます。(※) ですので購入した当時の価格よりよほど高い値段で売れない限りは、売却益がプラスにならないため、確定申告をする義務は発生しないということになります。
※この特別控除を受けたい場合は、確定申告でその旨を申告する必要がありますのでご注意下さい。

売却益がマイナスでも確定申告をした方が節税になる


ここまで、売却益がプラスの場合は確定申告をする義務が発生するとお伝えしてきました。では、売却益がマイナスの場合は確定申告をしなくてもいいかと言いますと、少しでも節税をしたい場合は売却益がマイナスの場合も確定申告をすることをお勧めします。
売却益がマイナスの場合は、確定申告の義務は発生しないので、しなくても何もペナルティはありませんが、確定申告をすると、損益通算で他の所得と合算して節税をすることが可能になるからです。
つまり、売却益がプラスの場合は確定申告を必ずする義務があり、マイナスの場合は確定申告をしてもしなくてもいいが、した方が節税できてお得になる、ということです。
ボロボロの中古マンションは、価格を査定しても大した金額にならず、さらに査定額よりも安い値段での売却になることも多いです。取得した費用を差し引くと売却益がマイナスになるケースも多いです。マンションの売却自体では利益が出なかった、とがっかりしてしてしまうかもしれませんが、損益通算で節税できるということを覚えておくだけでも、払う税金を減らすことが出来ますので、是非覚えておいてください。

確定申告は自分でする以外に、税理士に頼むことも出来る


ここまでは、中古マンションを売却した場合、売却益がプラスの場合、マイナスの場合についての確定申告の必要性の有無をご説明してきました。
自分が所有するマンションを売却するには本当に様々な手続きが必要です。中古マンション売却査定サイトへ登録したり、査定価格を元に売値を決めたり、売りに出してからも購入希望者と交渉をしたり、中古マンションの売却ではやらなければならないことがたくさんありますので、売れたあとに確定申告をしなければいけないことまで頭がまわらないというかたももしかしたらいらっしゃるかもしれません。
そんな方は、自分で確定申告するのではなく、税理士に依頼して申告してもらうという方法もあります。税理士に確定申告を依頼した場合の費用ですが、およそ10万円前後かかる税理士事務所が多いようです。申告する時間がどうしてもとれないときは税理士さんに依頼するのも一つの手ではあります。
しかし基本的には、確定申告は自分で申告することをおすすめします。自分で申告したほうが費用がかかりませんし、やってみると案外スムーズに終わることも多いからです。普段会社勤めで自分で確定申告をする機会が今までなかった方は、「確定申告を自分でしなければいけない」と考えただけで、難しいとイメージしてしまい、実際に行動を起こすのが面倒になってしまうかもしれませんが、確定申告の時期には最寄りの市区町村役場で税理士さんが無料で確定申告書の書き方を指導してくれる機会もありますし、税務署に電話をしても親切に教えてもらえたりもします。

まとめ


以上、中古マンション売却時の確定申告にまつわる知っておきたい知識についてをお伝えしました。マンションを売ろうと決めた時は、この物件はいくらで売れるのかな?と、ワクワクとされるかたも多いかと思います。査定価格が思いのほか良かったり、予想した価格より高く売ることが出来たら手元に入る金額も増えるのでそれが原動力で積極的に売却へ向けたアクションを起こすことが出来るでしょう。しかし、売却完了までには数か月かかることも多く、必要な書類を揃えたり買主と何度も交渉することが段々とストレスに感じ、無事に物件が売れた頃には疲れてしまい、売れたその後の確定申告のことを忘れてしまうということも十分考えられます。
ですので、中古マンション一括査定サイトに登録した初期の段階で、カレンダーや手帳に「確定申告する日」も同時にメモしておくことをお勧めいたします。
査定価格で売却できなかったとしても、確定申告をすることで少しでも自分に還元されると考えれば、確定申告も頑張ろうと思えるのではないでしょうか。この記事がマンションの売却をお考えの方に少しでもお役に立てれば幸いです。