中古マンションを処分して自己破産手続きするには?破産管財人・予納金とは?徹底解説

トラブル・特殊な物件の売却

 

昨今、定年後に自己破産する人が増えています。その理由は、退職金が少ない、あるいは無いということや、預金が無い、また定年後に良い働き口が見つからず収入が減ってしまったなどにより、借金を抱えてしまうことが挙げられます。
生活のなかで支出の割合を大きく占めるのは、家賃や住宅ローンです。
遅めに中古マンションを購入した人の中には、定年までに住宅ローンの支払いが終わらない方もいるのではないでしょうか。また、毎月の住宅ローンが高く、支払い続けるのが難しいと感じている方の中で、自己破産を選択する方も多いようです。
例えば住宅ローンや借金、収入減により「自宅の中古マンションを手放そう」という案が浮かぶとします。しかし、「売却を考えて査定してみたが、多額の残債が残ってしまう」、「あてにできる退職金や預金が無い」、「中古マンション査定・売却後も、生活費を切り詰め、借金返済していかなければならない」、「しかしそれでも暮らしは楽になりそうにもない」このような場合に、自己破産を選択した方が、笑顔で暮らせるようになる場合もあるのです。

ちなみに、自己破産する人が中古マンションなどの不動産を持っている場合には、普通に任意での査定・売却はできません。“破産管財人”がついて、中古マンションを査定売却を代わりに行います。
この記事では、自己破産をする人が中古マンションを査定・売却するときのプロセスをわかりやすく解説します。

・自己破産した時に、自宅の中古マンションはどうなるの?
・中古マンションを売却する破産管財人とは?
・破産管財人へも報酬の支払いはどうするのか?
・予納金ってなに?
・破産管財人に頼らないで売却する方法は?

など、様々な疑問にお答えします。

中古マンションに住んでいる人が自己破産しようと思ったら

 

まずは弁護士に相談


自己破産をするおおまかな流れを説明します。
まず自己破産の手続きは弁護士に相談するのがベターです。その際、相談料は無料であったり、弁護士費用は分割払いOKというところもあります。
もちろん、自分で勉強して書類作成をし手続きしても良いのですが、確実に免責を得るためにも弁護士を通したほうが良いでしょう。また、弁護士を通して自己破産すると、予納金が安く済む場合もあります。

弁護士を通して受任通知を送付すると借金が止まる


自己破産手続きが進められると、弁護士は相談を受けてすぐに、債権者に受任通知を出し、債権者からの取り立てはストップします。
中古マンションの住宅ローンですと、銀行から借りている場合が多いと思います。その際にも、受任通知発送後に住宅ローンは止まります。気を付けなければならないのは、この際銀行は口座の凍結をします。つまり、自分のお金を引き出すことができなくなるわけです。銀行は、あなたの口座残高を残りの住宅ローンに充てて相殺しようとするからです。本来は、受任通知後の給与などは相殺の対象にしてはいけないのですが、有効性を主張してくる銀行もあります。この場合は、あらかじめ給与などの口座は住宅ローンを借り入れている銀行の口座とは別にしておくとよいでしょう。
ちなみに、この時点で借金が止まりますから、弁護士費用を払えるようになります。

受任通知発送後の手続き


その後は、おおむね以下のような流れで手続きは進められます。

・弁護士とともに、申請書類の作成
・自宅管轄の地方裁判所に自己破産手続きの申し立てを行う。
(その際に、印紙代1500円が必要。一か月後に本人に破産審尋(裁判官との30分ほどの面談)または、弁護士が代理で面接)
・裁判所から約一週間程度で、“破産手続き開始の決定”が通知される。この時点で破産人になり、同時廃止か管財事件かも決まる。
・免責審尋を行う。裁判所で裁判官と本人が面談。弁護士の同席もOK
・破産手続開始決定、破産管財人を選ぶ
・引継予納金を納付する。(弁護士に頼んでいる場合は20万円。分轄払い可。)
・破産管財人による財産の調査と換価などが行われる。中古マンションなどの財産処分も。
・債権者集会・免責審尋。破産管財人による管財業務の報告がなされる。
・免責審尋からおよそ1週間ほどで免責許可の決定が通知されます。

自己破産を申し立てたら、いつまで自宅マンションに住めるのか


中古マンションなどの不動産は、破産管財人が裁判所に売却を申請し、裁判所からの許可が出たら売却手続きに入ります。自己破産を申請してすぐに立ち退かなければならないというわけではありません。

自己破産には“同時廃止”と“管財事件”がある


自己破産をしたいと一口に思っても、一定以上の財産があるかないかで“同時廃止”と“管財事件”とにわけられ、手続きの仕方やかかる時間・費用もかわります。
その“一定以上”とは、具体的に言うと、時価で20万円以上の財産です。

同時廃止事件…一定の財産が無い場合に、自己破産の手続きと同時進行で進められる
管財事件…一定以上の財産があり、管財人を選出、手続きも複雑で時間がかかる

同時廃止事件とは、時価で20万円以上の財産がない場合に適用されます。およそ3か月ほどで手続きが完了します。
管財事件とは、20万円以上の財産がある場合に、破産管財人が間に入ります。
通常管財と少額管財があり、それぞれ予納金に違いがでます。
予納金とは、裁判所に払う自己破産をする際にかかる費用です。同時破産は1〜3万円、通常管財事件は50万円~、少額管財事件は20万円を裁判所に支払います。
通常管財の方が予納金は高額ですが、主に法人に用いられます。また、弁護士を通さないで自己破産する場合にも適用されるため、自己破産の際は弁護士を通すことをお勧めします。
少額管財は、通常管財よりも予納金が少なく、手続きも簡単でかかる期間も通常管財よりも短いです。これは、財産がそれほど多くない場合に用いられます。
中古マンションなどの不動産は、ほとんどが時価で20万円以上の財産になりますから、少額管財事件になります。選ばれた破産管財人がマンションの売却をして財産を換価したり、破産手続きを行います。

財産である中古マンションを売却する、破産管財人とは

 

破産管財人は誰がなるもの?


自己破産しようとなったときに、少額管財事件になると、破産管財人が選定されるのは前述のとおりです。
この破産管財人とは一体誰がなるのか?というと、裁判所で選ばれた弁護士がなります。決められるのは自己破産をした本人ではないのです。

破産管財人は何をする人?


この選ばれた破産管財人が、自己破産した人の財産を調べ上げ、管理し、また処分等を行います。いわば、債権者の代表代行のようなもので、財産を売却したら、各債権者へ平等に分配も行います。
破産管財人への費用は、前述の予納金から賄われます。

破産管財人が財産である中古マンションの売却も行う


破産管財人が選任されると、自己破産した人は、自宅の中古マンションを自由に売却できなくなります。自分が持っていた、財産の管理・処分する権利は破産管財人に移行するからです。
中古マンションの査定を取り売却するのも破産管財人の仕事です。自宅だった中古マンションの売出価格は、裁判所の許可を取ってから進められます。
破産者が財産の価値を下げるようなマネをしないように防いだりするのも破産管財人の仕事です。
このようなことから、自己破産する人の中古マンションは破産管財人になります。売買契約の書類や登記なども破産管財人が行います。

破産管財人は高い!選任されない方法は?


自己破産するほど困窮しているのに、少額管財事件になり破産管財人がつくことで20万円も支払わなければいけません。これを高いと思う人は少なくないと思います。
同時廃止事件で自己破産できたら、裁判所に支払う金額は1〜3万円で済みます。
ここでは、同時廃止事件で自己破産できる方法を考えてみましょう。

高額予納金の回避方法


中古マンションの住宅ローンが原因で自己破産したいときに、破産管財人がつかない同時廃止型にしたい場合はどうしたら良いのでしょうか。
それは、マンションの住宅ローン残高が、オーバーローンであることが必須になります。
オーバーローンとは、持っている中古マンションの価値が残っているローンよりも低いことを言います。具体的には、ローンの総額が、持っている中古マンションの時価の1.5倍以上です。
このような状態ですと、費用の安い同時廃止型が適用できます。
裁判所に中古マンションの時価を提出することになりますが、不動産会社などによる無料査定でOKです。
自己破産しようかと考えているときに行うのが、タイミング的にはベストですね。インターネットを利用して、なるべく複数の不動産会社や仲介業者に一括査定を依頼しましょう。そして、安い査定額が出たほうが、同時廃止型の申請には有利です。

中古マンションの住宅ローンには別途権がある


中古マンション購入の際に、借り入れた銀行には別途権があります。
銀行などの金融機関は、不動産に抵当権をつけています。抵当権とはいわゆる担保のことです。そして抵当権がある=別途権があり、優先弁債権を持っているのです。
仮に、住宅ローンの他に、知人にも借金をしていたとします。中古マンションを売却してそのお金をあらゆる借金返済に充てたいと考えても、優先弁済権を持っている銀行にまずは支払われるのです。
そのため、わざわざ破産管財人を立ててまで調べる必要もないので、この場合にも同時廃止事件になったほうが得と言えます。

同時廃止事件のメリット


他にも、同時廃止事件のメリットはあります。
まず、20万円もの予納金を支払わずに済みます。
また少額管財事件になると、中古マンションの売主は破産管財人になりますが、同時廃止事件ですと、破産管財人が選定されないので、中古マンションの処分する権利は自己破産する人に残ります。
こうなると、中古マンションの売り出し価格も自分で決めることができますし、裁判所の許可を待つ必要もなくなります。通常の、中古マンション査定・売却手続きを行うまでです。

まとめ


以上、中古マンションに住んでいる人の自己破産についてご紹介しました。住み慣れた家を処分するのは本当に辛いことですが、住宅ローンにこれ以上頭を悩ませないで済むという点で、自己破産も心が軽くなる一つの手段だと思います。
上記の予納金のほかに、弁護士費用も掛かってきますし、これからの生活もありますから、できる限りお金のかからない同時廃止事件になると良いですね。そのためには、インターネットの一括査定サイトを用いて、なるべく安い金額の査定額を出してもらうことが不可欠です。査定は、複数社依頼することで、良い不動産会社や仲介業者に出会えますからぜひ利用してみてください。
また、現在「自己破産は考えている最中だ」と言う方は、ぜひ一括査定サイトを利用して、高い査定金額で売ることも検討してみてはいかがでしょうか。せっかくの中古マンションという財産を安く売却するのはもったいない!査定をしてみて高く売れるかもしれない可能性もぜひ探ってみて下さい。中古マンション査定・売却でよりよい方法が見つかることを祈ります!