売却査定で詐欺にあうケース
人生で一番高い買い物は、「不動産」と言われるほど、「不動産」は高価な買い物ですよね。
そんな大金をはたいて購入した中古マンションを、いざ売却査定する局面になったとき、「失敗したくない」、「詐欺にあったらどうしよう」、などと考えるのは、当然のこと。
では、中古マンションを売却査定する場合、いったいどんな点に注意したら良いのでしょうか。
ここでは、中古マンションの売却査定で、詐欺にあわないためのいくつかのポイントをご紹介します。頭の片隅に入れておくだけでも、損のない情報ばかりなので、じっくりと読んでみることをおススメします。
売却したのに売り主にお金が入らない悲惨なケース
まず、一つ目のケースですが、「売り主の手元にお金が入らない」という悲惨なケースをご紹介します。
これは、ごくまれなケースではありますが、実際に起こりうる可能性もあります。
通常、中古マンション売却の流れにおいては、売り主からの入金が確認されてから、「権利証」や「登記識別情報通知書」という大事な書類を買主へ渡します。しかし、入金されていないにも関わらず、買い主へうっかり「権利証」や「登記識別情報通知書」を渡してしまうと、大変なことが起こってしまうのです。
「権利証」や「登記識別情報通知書」を手にした買い主は、これらの書類をもとに、その中古マンションの登記をいつでも変更することができます。入金せずに「権利証」や「登記識別情報通知書」を手にした買い主は、これらの書類をもとに、中古マンションの登記を変更し、あなたの不動産を自分のものにしてしまうのです。
昨日まではあなたの名義だった中古マンションが、登記変更されたことにより、他人の所有する不動産となってしまったのです!
さらに、もっと恐ろしいことに、買主は無権利者のまま間髪入れずにその中古マンションを転売し、第三者からお金をだまし取るのです。
どうでしょうか。
大金をはたいて購入した自分の中古マンションが、知らない間に赤の他人の持ち物になっていたなんて、笑い話ではすまないですね。
ただし、ご安心ください。
このような詐欺にあわないために、不動産売買における不動産の引き渡しでは、きちんと入金を確認してから「権利証」や「登記識別情報通知書」を買主に渡すのが通常となっています。
中古マンション売却においては、まず、「売買契約」が行われ、続いて、「引き渡し」が実行されます。「売買契約」では、書面による合意確認だけが行われるため、この時点では「権利証」や「登記識別情報通知書」を受け渡すことはありません。
続いて行われる「引き渡し」の場で、残金の入金を確認してから、「権利証」や「登記識別情報通知書」を入金と引き換えに買主へ手渡すのです。
さらに、この「引き渡し」が実行される場では、当事者である売り主や買主のほか、不動産会社、銀行、司法書士といったそうそうたる面々がそろうので、その場で騙されるとは考えにくいですね。
ただし、買い主から、「権利証」や「登記識別情報通知書」を渡すよう、こっそり依頼されたら、怪しいにおいがプンプンしますので、そのときはじゅうぶん注意してくださいね。
本来の売却査定額よりも安く売却してしまうケース
それでは、売り主が騙されてしまう2つ目のケースをご紹介します。
それは、騙されて、本来の価値よりも安く売却してしま場合です。
自分の住んでいる中古マンションがいったい、いくらぐらいなのかを知るために、あなたは、不動産会社に売却査定の依頼をするかもしれません。
もし、いくつかの不動産会社に売却査定をお願いして、とびぬけて高い売却査定額を提示してくる会社があれば、その会社にはじゅうぶん注意してください。
「あなたのマンション、こんなに高く売れますよ!」なんて言われたら、頭がお花畑になってしまうのも無理はないでしょう。もちろん、その不動産会社が提示したとおりの売却額が得られるのなら問題はないのですが、実は、次のような詐欺まがいのケースもあるのです。
それは、やたらと高い査定額を提示する不動産会社(以下A社)が、買い取り業者と手を組んでいるケースです。
高い査定額を伝えたA社は、売り主に、「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」を結ぶように言います。
何やら難しそうな言葉だから、よくわからないけど、「はい」と言ってしまおう!ではダメです。
「専任媒介契約」、あるいは「専属専任媒介契約」とは、売却活動をその不動産会社1社に任せ、他の不動産会社に仲介を依頼することは禁じられています。
そのため、あなたがその高い売却査定額を提示したA社と専属媒介契約を結んだら、あなたは、A社以外に売却活動を依頼することはできなくなるのです。
ここが落とし穴です。
A社は、あなたと「専任媒介契約」を結んだあとは、売却活動なんていっさいやりません。ほったらかしです。
日の目を見ないあなたの中古マンションは、誰の目にもとまらないので、買い手は現れず、時間だけが無駄に過ぎていきます。
そうすると、あなたは、「買い手が現れない!どうしよう!!」と焦りはじめるでしょう。
そこで、A社に相談したところ、A社は「待ってました~!」とばかりに、はじめから手を組んでいた買取業者をあなたに紹介するのです。売り主であるあなたは、「買ってくれるなら、少しぐらい安くてもかまわない!お客様は神様よ!」、と言わんばかりに、その買取業者に本来の売却額よりも安く売ってしまうのです。
このようなケースは一部の不動産会社の話ですので、全ての不動産会社に当てはまるわけではありません。
ただし、A社のような悪い考えをもった不動産会社も中にはある、ということは忘れないでくださいね。