「親が認知症になってしまった。介護施設へ入居するので親の住んでいたマンションを売却をしたい」といった状況のとき、マンションの売却はカンタンではありません。
今回は、不動産会社のスマートアンドカンパニーが「認知症になった親のマンションを売却する方法」について詳しく解説します。
Contents
認知症の親のマンションは成年後見制度を利用して売却する
成年後見制度とは『認知症などによって物事の判断が出来ない場合に、その人をサポートする人を家庭裁判所から選任してもらう制度』のことを指しています。
裁判所から成年後見人として選任してもらうことができれば、認知症の親のマンションを代わりに売却することができるようになります。成年後見人としての権利を持つことで「法定代理人」として、成年被後見人(認知症の親)に関するさまざまな代理権を与えられます。
成年後見人制度を利用する場合には、まず家庭裁判所に対して申し立てを行うことが必要です。
認知症になってしまった該当者の事理弁識能力についての鑑定や、家庭事情の聴取などが必要になってまいりますので、手続きを終えるには、3か月~4か月程度の期間が一般的に必要になります。
大抵の場合、選任される成年後見人には該当者の親族がなるケースが多いですが、弁護士などの法律の専門家が選任されるパターンもあります。
注意しなくてはならないのは、子どもが必ずしも親の成年後見人になれるわけではないという点です。「認知症になった親の介護をしているので成年後見人」という形で権利を持つことが出来ないからです。必ず、家庭裁判所から「法定代理人」としてきちんと選任されなくてはなりません。正式に成年後見人(法定代理人)に選任されて初めて親の代理で中古マンションの売却が行える形になります。
認知症の親のマンションを売却する手順
成年後見人制度を活用した認知症の親のマンション売却方法について、順を追ってご説明いたします。
必要な書類を用意し家庭裁判所から許可を取得する
家庭裁判所に対して「居住用不動産処分許可」を申し立てます。
賃貸ではなく居住用に使用されていた不動産に関しては、住民票に記載があるか?実際に生活しているか?などの点で家庭裁判所に判断をしてもらう必要があります。
対象の不動産(マンション)が生活の拠点になっている場合、「居住用不動産」と判断されます。この時点で売却をしてしまうと、本人でない者が売却をしたと判断され、売買契約自体を無かったことにされる可能性が出てしまいます。
そこで、家庭裁判所に認知症の親の「居住用不動産処分許可」という申立てを行い、正式に売却処理が出来る権利を取得しなくてはなりません。
必要書類は以下となります。
・不動産の全部事項証明書
・売買契約書の案
・評価証明書
・不動産業者が作成した査定書
・郵便切手(84円)と収入印紙(800円)
が必要です。これをうけて、家庭裁判所側が、本人の生活や看護の状況、売却の必要性、売却条件、売却後の代金の保管などをチェックし、売却の可否の審判が成されます。ちなみに、賃貸などの非居住用不動産を売却する際は、家庭裁判所の許可は不要になります。
不動産会社と媒介契約を結んだ上でマンション売却を始める
不動産会社を探して売却するための媒介契約を結びます。
不動産会社は、1社だけで決めてしまうと数百万円の損をする場合があります。
高い価格で損をすることなく売却するには、複数の不動産会社から査定を取ることがおすすめです。ネットの一括査定サイトを利用しましょう。
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買主が見つかったら売買契約を結ぶ
マンションを購入したい新しい買主が現れた際に、この買主と売買契約を交わします。
売買契約を結ぶにあたって、成年後見人と買主が媒介した不動産会社で契約内容を確認しつつ、署名と捺印をしていく段取りになります。
マンションの売却・引き渡し
マンションの実際の売却(決済)は新しい買主や成年後見人、買主から事前に受け取った内金や中間金等を差し引いた売却代金を金融機関で受け取ります。
その後、司法書士に所有権移転登記の書類を渡し、成年後見人、または不動産会社立ち合いのもと買主に鍵を渡し、売却活動が無事に終了した形になります。
認知症になった親のマンションの売却するときの注意点
成年後見人制度を利用してマンション売却を行うにしても、押さえておかなくてはいけない注意点があります。
仮に、認知症の母親を持つ子供が成年後見人になっていて、途中で父親も亡くなってしまった場合、成年後見人であり、相続人の立場になります。
このとき、成年後見人(子供)は被後見人(認知症の母親)の意思を尊重しながら、母親の利益を図る一方、相続人として自身の利益を最大化出来る権利も持つことになります。
上記にような「利益相反」の状態になった場合には、成年後見人制度を利用することができなくなりますので、家庭裁判所に以下の申し立てをする必要があります。
1)追加で成年後見人を選定する
2)成年後見監督人を選定する
3)特別代理人を選任する等の方法があります。
2)の「成年後見監督人」とは、成年後見人を監督する家庭裁判所に選任された者にあたり、実際は、弁護士や司法書士等の専門職や社会福祉協議会が担うことが殆どです。成年後見監督人が被後見人の立場になって、遺産の分割協議を進めていくのです。
3)の特別代理人は「利益相反」になった時に家庭裁判所に選任される者のことで、成年後見監督人と同じく被後見人の立場で遺産の分割協議に参加する形になります。
2)の成年後見監督人、3)の特別代理人ともですが、被後見人との関係性や利害関係の有無を考慮しながら適格性をみて決められます。
あらかじめ成年後見人を複数選定しておくことや、もしもに備えて、成年後見監督人、特別代理人を先に選定しておくことも良いと思います。
まとめ
認知症になった親のマンションを代わりに売却するポイントは以下です。
・家庭裁判所に申し立てが必要
認知症になった親のマンションの大体の売却価格をすぐに知りたいという場合には、不動産一括査定サイトを活用し査定額を調べましょう。