駅直結のタワーマンションの売却益はどのくらい?タワーマンションの動向

タワーマンション売却ポイント

最近,築年数10年以内,23区内の駅直結の中古タワーマンションを売却しようとしたところ,なかなか買い手がつかず,査定価格から価格を下げてやっと売却できた,という話を聞きました。
中古マンションを売却する場合には,まずは不動産会社に市場価格を査定してもらい,査定価格を踏まえて売却価格を決めるのが一般的ですが,近年,築浅・駅近・23区内のマンションであっても査定価格ではなかなか売却ができず,最終的に査定価格から価格を下げて売却するケースが増えているようです。

その原因の一つに,中国人によるマンションの「爆買い」が減少し,最近ではむしろ「爆売り」に転じ,中古マンション市場が既に飽和状態だということがあるようです。
「中国人の爆買い」がメディアを大いに賑わせていたのは記憶に新しいかと思います。
少し前まで,中国人は電化製品,貴金属,高級車を「爆買い」するにとどまらず,投資目的で高額なマンションを買い漁っていました。
ですが,昨年頃からマンションの「爆買い」が終息し,今や日本のマンション等の不動産を購入する中国人投資家は激減し,逆に売却を依頼する中国人投資家が急増し,既に市場には新築・中古を問わず,大量にマンションが余っているというのです。
近年,都内の不動産価格は、2020年のオリンピックイヤーまで上がるであろうと言われていました。
ですが,実際にはそれよりも早く,2017年の初め頃には都内の不動産価格は高止まりを迎えたという見方が増えています。
中国人投資家が爆売りに転じた理由の一つに,このような都内における不動産価値の高止まりがあるようです。
ですから,中国人投資家たちに買い占められていたマンションが続々と市場に出回り,都内の中古マンションの価格は,今後下落するのではないかと予想されています。
この点,中国人投資家の中古マンション売却を後押ししているのは,マンション等の不動産の所有期間が5年を超えると,売却益にかかる所得税・住民税の税率が優遇されるという『長期譲渡所得』の制度です。
『長期譲渡所得』が適用されれば,5年以内の所有期間の場合には39.63%であった税金(住民税・所得税・復興特別所得税を含む)が,20.315%まで軽減されますので,税金を理由に売り控える必要がなくなります。
中国人のマンションの『爆買い』が始まったのは,2012年頃と言われていますから,2017年頃には,『長期譲渡所得』の要件を満たしたというわけです。

それでは,あなたが中古マンションを売却したいと思っている場合,いつが売り時なのでしょうか。
これまで,オリンピック特需等から建築費相場が高騰し,新築マンション価格が高騰していました。
そして,新築マンション価格の高騰に引っ張られて中古マンション価格も同様に高騰していました。
もともと,2008年のリーマンショック後からマンション相場は大きく下落し,2010年頃から低価で大量のマンションが購入されました。
その頃購入されたマンションは,2015年以降,続々と『長期譲渡所得』の要件を満たしますので,中国人投資家でなくても,税金を理由に売り控える必要がなくなっています。
そして,2020年のオリンピックイヤー以降は経済の冷え込みが懸念されることから,少なくともその前には高値のピークは迎えると予測されています。
ですから,中国人投資家が予測しているとおり,まさに今,不動産価格は高止まりし,売却のために高値のピークを迎えている状況といえるでしょう。

中古マンション市場の相場がピークを迎えた後は,一気に売物件が増えますので,相場が大きく下落することになります。
個人的には,中古マンションの売却を検討しているのであれば,遅くとも2019年までには具体的な売却活動に着手した方が良いのではないかと思っています。
物件によっては,まだオリンピック特需は続いていますし,売却時期は慎重に検討する必要がありますが,近い将来,中古マンションを売却したいと考えているのであれば,遅くともオリンピックイヤーである2020年以降は中古マンション相場の下落が見込まれていますから,早めに複数の不動産業者に市場価値を査定してもらい,正確な情報を収集・精査して,売却時期を決めるべきでしょう。