マンション売却で査定を出す時に使用する取引比較事例法とは?

売却の流れと基礎知識

中古マンションの売却を考える際、どこをポイントに考えるべきでしょうか。


エリア・駅からの徒歩圏内・周辺環境などの立地要素は売却査定に大きく関係することは誰でも知っていると思います。
中古マンション市場は人気が高いエリアであればあるほど過去の成約事例が多いため、いざ売却を考えた際に価格情報が多くその引きずられてしまう傾向があります。
中古マンションの価格がどのように決定されているのか、一般的に「相場」といわれているものどのようなものかを最低限でいいので理解し査定に臨む必要があります。

まず、中古マンションの査定方法として多く採用されているのが「取引比較事例法」です。
この「取引事例比較法」とは、過去に同じマンションや近隣で同タイプ(間取り・築年数等)の中古マンションが売却されたときの価格を参考にし、査定金額を算出する方法です。
「取引事例比較法」で査定することは悪いことではありませんが、過去の成約事例だけが正当で適正な取引という考え方は非常に危険です。
なぜなら、ある物件は売主の方が家庭の事情や仕事の都合で売り急いでいたため、相場より非常に安く販売された可能性もあります。
また、「取引事例比較法」の欠点は、過去2年前や3年前の売却事例でも例外なく適用されてしまうということです。
例えば、2年前に3000万円で売却成立している中古マンション物件があった場合、その時点での情勢などは一切考慮されず単純に、2年経過後は2700万円くらいが妥当という計算をしてしまうのです。

このように過去の売却成約事例から経過している年数を考慮して査定額を算出することを「時点修正」といいます。
そのため、取引事例比較法を応用して中古マンション査定をする場合、ほとんどの物件が過去の成約事例よりも査定額が大幅に下がる傾向にあります。

確かに、築年数がそれだけ経過しているのですから資産価値として下がると判断するのは当然といえば当然のことです。
しかし、売却したい中古マンションの周辺で大規模な都市開発が行われたり、または開発計画が発表され数年後に環境が大幅に改善されるとなった場合、年数が経過している中古マンションであっても、査定価値が急騰するというケースがあります。
実際に私が現在住んでいる地域では、マンション最寄駅周辺の大規模開発が行われ、生活利便性が上がりました。
そのため、これまでの査定額が築7年ほどの中古分譲マンションが売却相場は、1800万円程度だったのが、2000万円~2200万円まで一気に跳ね上がったのです。

このように周辺環境の変化などの外的要因により、査定が上がることは珍しくありません。
都市部は開発がすでに進んでいるので価格変動に影響するほどの大幅な変化は見込めない場合もありますが、都市部近隣県、更に地方部となればなるほど、開発による価格変動は頻繁に起こり得るのです。
極端な例ですが、分譲時に人気のあった物件や間取り、地域によっては中古マンションにもかかわらず新築時の販売価格を上回る査定がされる、売買されていることもあります。

例えば皇居周辺に建設されているマンションなどが良い例です。
皇居周辺は建築規制が大変厳しく、土地もありませんので、今後新築マンションが建設される可能性が極めて低い地域のひとつです。マンション自体の建設が少ない地域は中古マンションの需要があっても、供給が追いつかないため、いわゆるプレミアムマンションとして高値で取引されることがあるのです。
皇居の例は少し極端ですが、同じように建築が制限されている地域や、新たにマンションを建設できるだけの土地の確保が難しい場所であれば、プレミアムマンションとなる可能性は十分にあります。
中古売却時に常に新築時の価格を上回るとまではいかなくても、通常の中古マンションの売却価格と比較すると経年による価値の下落を最小限に抑えることが可能になるはずです。

上記で紹介したように近年に大規模な都市開発が行われた地域やまたその予定地、建設する土地自体が極めて少ないプレミアム地域の中古マンションであれば、取引事例比較法で算出した価格とは全く異なる算出結果がでることは間違いありませんので、鵜呑みにするのでなく、売却開始から最初の1ヶ月~2ヶ月くらいは強気な価格で売り出してみることをお勧めします。
とくにネットの一括見積もりサイトで査定見積もりや売却依頼を考えているのであれば、地元の事情などは細かくアピールするようにてください。

そして複数の結果を照らし合わせ、所有する中古マンションが現在いくらで取引されているのかの相場を、できるかぎり正確に把握することを強くお勧めいたします。