年金受給世代が中古マンションを売却しても年金は減りません!理由を徹底解説
年金受給世代の方が、マンションを売却して子と同居したいと思ったり、老人ホームに入居したいなど、様々な思いで住み替えを考えることがあると思います。
その時に、
「マンションを売却したら、収入になるから年金に影響があるのだろうか?」
と考える方もいるでしょう。
厚生年金に加入していて、“労働報酬”があった場合には支給される年金が減額されます。
しかしながら、中古マンションを査定し売却した場合に得た収入は、労働で得た収入ではありませんから、年金の受給減額の対象にはなりません。
結論を言ってしまうと、ほとんどの人は中古マンションを売却しても、年金が減らされることはないので、安心して売却することができるのです。
ただし、特定の年金は減額されるということもあり得ますから、この記事を読んで該当していないかチェックしてみてください。
この記事では年金を受給している世代のみなさんが中古マンションを査定、売却したらどうなるのかをわかりやすく解説します。
中古マンションを売却しても、年金が減らないことが分かれば、安心してマンション売却を不動産業者に相談できますよ。長年住んだ思い出深いマンションをスムーズに、より良い形で売却できるように、中古マンションを査定・売却したときの税金、中古マンションを高く売却する方法などもお伝えします。
Contents
年金の基礎知識
本題の前に、年金について軽くおさらいしましょう。
1.年金の種類、
年金は大きく分けて2つに分けられます。
・国民年金(個人事業主などサラリーマン以外)
・厚生年金(サラリーマン向け)
受給要件を満たして、老後受け取れる年金は国民年金、厚生年金により名前が違います。
国民年金加入者→老齢基礎年金
厚生年金加入者→老齢厚生年金
国民年金はすべての国民が加入している年金ですから、厚生年金に加入している人は国民年金にも加入しています。 厚生年金加入者は、65歳以上になると“老齢厚生年金”と“老齢基礎年金”の両方をもらえることになります。
2.在職老齢年金
60歳以降も働いている人の中で、厚生年金も加入しながら厚生年金の支給を受けている人もいることでしょう。これを“在職老齢年金”と言います。
給与・賞与・老齢厚生年金の金額に応じて、年金が減ったり、全額が支給停止となる可能性もあります。
3.障害年金と遺族年金
公的年金には、“遺族年金”と“障害年金”があります。
どちらも、老齢年金とは違い65歳にならないともらえないものではありません。
遺族年金…被保険者が死亡したときに、残された遺族に対して支払われる
障害年金…疾病または負傷によって、所定の障害者の状態になった者に対して支払われる
中古マンション売却で減額される可能性があるのは“障害年金”のみ
年金の中で、中古マンションを査定・売却したら減額される可能性があるものが1つだけあります。
それは、“障害年金”です。
障害年金とは、ケガや病気で仕事や生活が困難な場合に支給される年金です。65歳以上ではなくても国から公的にお金が支給されます。
中古マンション売却で減額される可能性があるのが、この障害年金の中でも、20歳前に初診した障害の場合です。このような場合に、中古マンション売却すると、収入によっては年金の支給の停止または減額される可能性があります。
ご自身が老齢年金だけをもらっているという方には該当しません。
年金が減額されるのは労働報酬がある時
ここまで年金の種類を説明しましたが、中古マンションを売却して年金が減額されるのは一部の障害年金だけです。
なぜ多くの人は「中古マンションを査定・売却すると、所得が生まれるから年金が減らされる」と思ってしまうのでしょか。
それは、厚生年金に対しての誤解から来ていると思われます。
厚生年金加入者が、保険料を払いながら仕事を続けていて、厚生年金の被保険者でもある場合には、減額措置が取られます。
仕事をしているから、年金はそれほどいらないとみなされる、所得が多い人に対しての減額処置です。
しかしながら、年金の減額措置の対象は、働いて得た収入に対してです。
中古マンションを査定・売却しても、減額の対象にはならないのです。
中古マンションを売却して年金受給者が気を付けるべきこと
年金は減りませんが、中古マンションを売却すると気をつけなければいけないことが2点あります。
まず、中古マンションを売却すると所得税が発生するため、確定申告が必要なこと。
年金は減額されませんが、中古マンションを売却して所得が発生したら、所得税が発生します。
また、後期高齢者は中古マンションを売却した翌年は国民健康保険料が値上がりする可能性があるということです。後期高齢者とは75歳以上の方ですね。後期高齢者の国民健康保険料は、前年度の収入によって決まりますから、中古マンション売却により収入を得たら、次の年は値上がる可能性が出てきますからご注意ください。
中古マンションを売却したときの税金
1.中古マンションを売却したら確定申告をする
中古マンションを売却すると所得が発生しますが、年金受給者であっても税金が発生するのは変わりません。年金受給者であることで、何か特別な控除があるわけでもありません。しかしながら、中古マンションなどの不動産売買における所得税には、様々な特例があり控除を受けることができます。そのため、所得税がかからないか、かかっても低い金額に抑えられることがほとんどです。所得税がかからない場合にも、確定申告は必要ですのでご注意ください。
2.所得税は売却益にかかってくる
所得税は売却額(譲渡価額)にかかるわけではありません。売却額からマンションを購入した時の金額を引き、経年による劣化を計算した減価償却費を引き、仲介手数料などの譲渡にかかった費用を引いて出た金額に、税率をかけて所得税を算出します。
譲渡価額(売却できた金額)が2000万円のときに、取得費(購入した当時の金額)が4000万円だったとします。単純に2000万円-4000万円=-2000万円になります。このように、課税譲渡所得がマイナスになった場合には、所得税はかかりません。
年老いてから長年住んだマンションを査定・売却する場合には、購入した金額よりも高く売れることはあまりないと思います。経年により査定金額は下がっていくからです。ほとんどのかたは所得税がかからないか低い金額で済むわけです。
3.取得費がわからない場合
この課税譲渡所得がいくらかによって所得税がかかるのか、かからないのかはっきりします。取得費がわからないと計算ができません。
取得費は売買契約書に書いてあります。もしも売買契約書をなくしてしまって、取得費がわからない場合でも問題はありません。その場合は概算取得費を計算しましょう。
概算取得費とは、中古マンションを売却した金額の5%です。
ですが、この概算取得費を利用すると、課税譲渡所得が非常に高い金額になってしまいます。この場合には3000万円までの譲渡所得を控除できる、「3000万円の特別控除」を利用しましょう。
できれば、本来の取得費がわかったほうが3000万円の特別控除内に収まる場合もありますから、以下の書類がないか確認してみましょう。
・購入当時のマンションのパンフレット
・住宅ローンの金銭消費貸借契約書のコピーや、償還表
・全部事項証明書で抵当権の設定金額の状況がわかるもの
以上のものでも取得費と認められる可能性があります。いかがでしょうか?売買契約書意外にお家の中に眠っている所得費情報があるといいですね!売買契約書がベストではありますが、マンションの購入価格を推定する方法もあるのです。詳しくは税務署に相談してみましょう。
4. その他にかかる税金(印紙税・登録免許税)
中古マンションを査定し売却した時に、所得税の他にかかる税金は以下です。
印紙税…売買契約書に印紙を貼る必要があります。
登録免許税…不動産の登記の際にかかる
印紙税は、売却する金額によって変わりますが、5000円~10000円くらいです。
登録免許税は、多くの場合、マンションを売却する側ではなく、買い手が払うのが慣例です。しかしながら、買い手が必ずしも登録免許税を払う義務はなく、売却する側にも半分請け負うように言われる可能性もあります。
買い手が支払うのが慣例ですから、登録免許税を支払うように要求されたら売り手側としては、仲介業者と相談の上、売却金額を若干上げるなどの交渉をしても良いです。
中古マンション売却時の所得税の税率
中古マンション売却するときの税率は、所有していた期間で変わります。もしも、計算してみたら課税譲渡所得がプラスだったという場合には、その出された金額に、所得税と住民税を掛けて金額を計算しましょう。
所有期間が5年以下の場合(短期譲渡所得)は所得税住民税合わせて39%。5年以上の場合(長期譲渡所得)は20%、10年以上になると、長期譲渡所得に軽減税率の特例が加えられて、6000万円までは14%、6000万円を超える部分は20%です。
長く住んでいるほど、掛けられる税金は軽くなります。年金受給世代のみなさんですと、愛着もって長く住まわれているマンションも多いかと思いますから、この点ではかなり有利と言えます。
中古マンション売却時の税金は控除がある
中古マンションを売却したときに、居住用財産の場合には、3,000万円の特別控除を受けることができる可能性があります。
したがって、中古マンションを査定し売却しても、所得税がかかるのはおおむね3,000万円以上の譲渡益が発生した人です。多くの方が、この控除を受けることで、所得税が安くなるか、全くかからないかということになります。
3000万円の特別控除を受けるには、以下の条件が必要になります。
この特例は、居住用財産を譲渡した場合に認められます。
・自分が住んでいる家屋、または家屋と土地を売ること。以前に住んでいた場合は、住まなくなってから3年目の12月31日までが対象になる。災害の場合は、災害が起きた日から数える。
・中古マンション等を売却した年の前年・前々年にこの特例を受けていないこと
・他の特例を受けていないこと
・取引対象が、親子や夫婦など特別な関係にないこと
以上の要件が必要になります。また、特例が除外になるような例は以下の通りです。
・3000万円の特別控除を受けるために入居したと思われるとき
・一時的な入居の場合
・別荘など、保養や趣味のための建物
以上のように、居住用財産であることは、節税には重要なポイントです。もし、すでに子と同居するなどして空き家の状態が続いているようでしたら、取り急ぎ売却に動いた方が懸命です。3年以内に売却しないと、この特例を受けられませんから注意してください。
この、3000万円の特別控除を受けるためには、確定申告が必要になります。
申告せずして自動的に控除とはなりませんので、結果税金の支払は無い場合にも、必ず確定申告をしましょう。
まとめ
以上、年金受給世代が、中古マンションを売却するとどうなるのか?についておはなしさせていただきました。
結論として、中古マンションを査定し、売却しても年金は減りません!年金が減る時は、労働報酬が増えたときに、厚生年金が減るだけです。中古マンションなど、不動産の所得は年金に一切関係ありませんので、安心して売却活動していただけますよ!
年金には関係ない以上、中古マンションを売却するなら、できる限り高く売れたほうがいいですよね。税金も、かからないか、少なくて済む特例があることがお分かりいただけたと思います。
中古マンションを売却するときに、最も大切なのは、はじめの一歩です。初めに、不動産業者に査定を依頼すると思いますが、1社の訪問査定で安心してはいけません。世の中にあまたある不動産業者のなかで、場当たり的に選んだ不動産業者があなたのマンションに本当にぴったりかどうかはわかりません。
中古マンション売却を成功させるためにも、必ず複数社に査定を依頼しましょう。
最初は、手間のかかる訪問査定ではなく、インターネットの一括無料査定サイトを利用して、不動産業者を絞り込んでいくことをお勧めします。
不動産業者にもいろいろありますから、立地は良いけど築年数が古いマンションを得意とする業者もいれば、郊外だけども地元客層に強いから売却に自信がある業者も手を挙げてくれることでしょう。
大手ばかりがよいわけではありません。地域密着型の不動産業者があなたのマンションを熱心に売却してくれる場合もあるのです。
ぜひとも、複数社査定をお忘れなく!よりよい形でマンションが売却できるといいですね!