マンションを競売で中古売却する際に知っておきたいこと
同じ企業で新卒から定年まで勤めあげる終身雇用は、多くの企業でもうすでに崩壊しています。マンションを購入した方の中には、住宅ローンを無事に払い終えることが出来るだろうかと不安に思っている方も多いのではないでしょうか。経済情勢が芳しくない昨今、支払いに関する不安を持つのは誰しも当たり前のことです。給与やボーナスのカット、リストラ、倒産など、絶対にないとは言い切れません。様々な事情があるかと思いますが、住宅ローンを滞納してしまった場合、物件は差し押さえられて任意売却か競売に出されてしまいます。せっかく新築で購入したマンションも中古マンションとして売却しなければいけなくなってしまいます。
「競売って具体的にどういう流れで中古売却されるの?」
「競売と任意売却では査定価格に違いはあるの?」
「任意売却の方がお得と聞くけど競売にもメリットはあるの?」
この記事では、マンションを競売で中古売却する方の疑問に関して役に立つ知識をご紹介します。住宅ローンの滞納でマンションを中古売却しなければならないのはとても悲しいことですが、悩んでいるだけでは解決できません。競売に関する知識を深めることで、よりスムーズにマンションを中古売却出来るようになります。是非お役立て下さい。
中古マンション売却方法の一つ“競売”とは?
不動産売却における“競売”について、まずはご説明します。不動産の競売とは、住宅ローンが継続して支払われなかった場合、債権者からの依頼で裁判所の指示のもと、オークション形式で不動産を強制的に売却することをさします。家を失う人にとっては競売と聞くと酷い話のように聞こえますが、お金を貸している銀行側にとっては、このままではお金を返済してもらえない上に、その物件の価値は中古として年々下がっていくわけですから、少しでも物件の価値があるうちにお金を回収したいと考えるのは当然の権利だといえます。住宅ローンを支払う義務のある人のことを「債務者」、銀行など、支払いを受ける権利のある人のことを「債権者」と呼びます。差し押さえとは、裁判所が債務者に対してその不動産の処分を禁止することをさします。住宅ローンの支払を滞納した場合、早ければ3ヶ月、遅くても半年で不動産は差し押さえられるのが一般的です。債務者が「絶対に売りたくない」等と言っても関係なく、競売の手続きは進められていきます。
住宅ローン滞納から競売開始までのタイムスケジュール
一生暮らすつもりで購入したマンションを中古売却手放しなければいけないのは辛いことですよね。ちなみに一般的に住宅ローンの滞納で不動産が競売にかけられる期間は、滞納から3ヵ月~6ヶ月といわれています。最短で3ヶ月、最長で6ヶ月で競売手続きが始まるのですが、滞納から競売までの期間は、債権者である金融機関によって異なります。苦労して手に入れたマイホームのマンションであっても、たった3ヶ月の住宅ローン滞納でもう競売へ向けて中古売却の手続きが始まって中古売却されてしまうのかと思うと、いかにローンの支払いに債権者はシビアであるかがお分かりいただけるかと思います。住宅ローンを滞納するとまず、銀行などの金融機関から「引き落としがされていませんのでお支払いお願いします」といった連絡があります。それでもそのまま入金が確認されない場合は、「延滞金と利息を至急ご入金ください」といった内容の書面が届きます。それでも入金がない場合、督促状や催告書が届き、それでもそのままにしておくと、金融機関は競売の手続きをとりはじめます。その後は、裁判所の職員が自宅に来て、物件の査定が始まります。部屋の写真を撮影や、事情聴取などが行われます。査定が完了し競売の準備が整うと、滞納からよそ9か月程度で「競売開始決定通知書」が届きます。「競売開始決定通知」とは、債権者が担保となっている不動産を競売にかけることを裁判所に申し立て、裁判所がそれを受理したことを知らせる書類です。このまま何もしないと、家は競売にかけられてしまいますが、競売開始決定通知がきてもまだ交渉の余地はあります。債権者と交渉し任意売却の合意を得ることが出来れば、競売の申立てを取り下げてもらうことも出来ます。
競売のほうが任意売却よりも安く売買される理由とは
住宅ローンが滞った場合のマンション中古売却は、競売よりも任意売却の方が得と言われる理由のひとつに、任意売却の方がより市場の査定価格に近い価格で中古売却できる点が挙げられます。競売になった物件は、相場の査定価格の約60~70%程度の価格で中古売却されることがほとんどです。競売にかけられた物件が、普通に売却される物件よりも価格が安く取引されてしまう理由として、落札者も落札にあたってはリスクを背負わなければならない点が挙げられます。競売物件を入手することのデメリットは、「競売には売主がいない」という点が挙げられます。売主がいないと、通常の不動産売買で法律によって売主に課されている義務が果たされないため、代わりに購入者が本来なら売り主が果たすべき義務を被ることになります。例えば、その家に第三者が住んでいる等の場合の立ち退き交渉も、売り主はいないため、競売でその不動産を入手した人がやらなければならない。このように、競売で購入した物件は面倒なことも買主が引き受けなければいけないため、通常の売買よりも安い値段が付くことがほとんどとなります。これに対して任意売却は、通常の売買と同じくらいの相場で取引が出来るため、競売にかけられる前に債権者から任意売却の合意を得て任意売却に持ち込むのが一般的です。
競売のメリットとは
住宅ローンが滞ってしまって不動産を中古売却して一括返済をせまられた場合は、競売よりは任意売却を選ぶのが鉄則と言われていますが、売り主にとって競売にかけるメリットは1つもないか?というと、そうではありません。メリットを享受できる人もいます。
1つは、自己破産を予定している人。市場価格に近い査定価格で売却出来る点や、一括返済後の残債の支払いスケジュールなどを債権者と相談しながら売却をすすめることが出来る点は任意売却のメリットですが、その分手続きは煩雑にはなります。しかし競売の場合、手続きは全て債権者で行うため債務者は何もする必要がありません。費用も競売による売却額の中から債権者が支払ってくれます。自己破産をすると売却後の残債を気にする必要がないので、調整が煩わしい任意売却を選ぶ必要はないといえます。また、住宅ローン以外に消費者金融などから複数の借り入れがある方も、任意売却では調整が困難になるため、売却額の分配ルールがきまっている競売を選ぶと手続きがスムーズに運びます。また、任意売却よりも競売の方が手続きに時間がかかると言われていますので、家に住む時間が少し長くなるという点も競売のメリットです。
しかし、任意売却では今の家に住み続けながらまた資金に余裕が出来れば買い戻すことが出来る選択肢もありますし、売却後に自己破産する予定もない方は、やはり残債を少しでも減らすことが出来る任意売却での中古売却がおススメです。
手軽にマンションの現在の価格を査定するには
今はなんとかギリギリ住宅ローンを支払っているけれど、滞納して手放すことになった時のために、新築で買ったマンションを今中古売却するといくらの査定がつくか、査定価格を知っておきたい方も多いのではないでしょうか。査定価格は物件の劣化で年々下がる一方と思われている方も多いかもしれませんが、新駅の建設などがあると、新築時よりも査定価格が上がる可能性もあります。競売にするか任意売却にするか悩んでいる方は、まずは自分の物件の相場の査定価格を知っておくと良いでしょう。手軽に相場の査定価格を知りたいのであれば、中古マンションの一括査定サイトへの登録がおススメです。ネットで複数の不動産会社の査定価格を比較してみることで、自分の持つマンションのおおよその市場価値を把握することが出来ます。ぜひ活用してみてください。
マンションを中古で任意売却する時に知っておきたいこと
理想のマンションに住めたら嬉しいですよね。新築でも中古でも、新たに住居を購入することはとてもワクワクすることですが、マンションを手に入れることはゴールではありません。住宅を購入した場合、多くの人が長期にわたり住宅ローンを利用して、毎月銀行へ返済をしていきます。住宅ローンは言い換えると借金ともいえます。安定した会社に勤めているうちは安心ですが、大企業でも人員削減を打ち出し転職も珍しくない世の中になりつつあります。家を建てた時よりも収入が激減し、住宅ローンの支払いが滞ってしまうことも大いに考えられます。もしもローンの支払いが滞った場合、購入したマンションは中古マンションとして競売にかけられるか任意売却をすることになります。
この記事では、住宅ローンの滞納が続いてしまったときの売却方法の一つ、「任意売却」をする際に知っておきたい知識についてお伝えします。競売ではなく任意売却を選ぶことで得られるメリットも合わせてご紹介しますので、現在住宅を競売にかけるか任意売却するか悩んでいる方に、ぜひ情報を役立ていただければ幸いです。
マンションの任意売却の流れ
購入したマンションを任意売却するとはどういうことかについてまずはご説明します。通常、住宅を購入したら毎月決まった額の住宅ローンを金融機関に返済していきます。順調に返済をしていれば何の問題もないのですが、返済の滞納が続いた場合は、借入先の金融機関が一括で返済を求めることがあります。その場合、担保に提供している不動産を、銀行など債権者の合意の元に任意で売却して、ローン残債を一括返済する方法が「任意売却」です。もちろん一括返済を求められたときに一括で支払うことができれば住宅を売却する必要はありません。手元にお金がない場合は、住宅が「競売」にかけられてしまうこともあります。払いたくても払えない、でも競売で家を失うのは避けたい、そんな方のためにあるのが「任意売却」なのです。住宅ローンが払えないとき、自ら任意売却を申し出ることで、競売申立てを待ってもらいながら、物件を出来るだけ高い査定額で、通常の売却方法と同じように家を中古売却することが出来ます。
債務者にとってはありがたい売却方法の「任意売却」。しかし任意売却は残念なことに悪徳業者が多い業界ともいわれています。安全に任意売却を進めるためにも、まずは注意したい悪徳業者の特徴についてお伝えいたします。
任意売却をする時は悪徳業者には要注意
任意売却では、仲介手数料等の費用が発生しないという点をおさえておきましょう。もしマンションを任意売却する前に手数料を要求してくる業者がいたら、その業者は要注意です。中古マンションを任意売却する際、売買契約が成立する前に仲介手数料をとるのは法律違反となります。仲介業者が売却主から売却前に仲介手数料をとろうとすることは通常ではありえませんから、もし依頼した業者が手数料を要求してきたらすぐに業者を変えることをおすすめします。中古マンションを任意売却する際に仲介に入る業者はそれではどうやって利益を得るのかといいますと、売買が成立した後の成功報酬として仲介手数料をもらいます。それ以外で報酬を得ることはできません。普通に落ち着いて対応すれば怪しい業者を見抜くことも難しくないのですが、「マンションを中古で早く売却して債務者に一刻も早くお金を返済しないといけない…!」このように迫られている精神状態では、冷静な判断を失っていることも多いため、中古マンション任意売却時は詐欺を働く悪徳業者にひっかかってしまうことも多いのです。「任意売却では、売却前に手数料を要求することは絶対にない」このことはしっかりと心に留めておいてください。
信頼できる業者を選ぶ1番確実な方法とは
中古マンションの任意売却は悪徳業者も存在するため、仲介業者選びは慎重に行うべきということをここまでお伝えしました。それでは、信頼できる業者を選ぶには一体どうするのが1番良いかといいますと、任意売却業者は、債権者(銀行など)に紹介してもらうことが、1番安全で確実な業者選定の方法といえます。住宅ローンの債権者である銀行などには、任意売却を専門とする業者が出入りしていることが通常です。任意売却は債務者が主導でするものというイメージを持っている方も多いですが、債権者が主導で行うこともよくあります。そのため、銀行などの債権者は、使い慣れた信頼できる任意売却専門業者とつきあいがあるのが通常です。債権者が任意売却に同意してくれた場合は、業者の選定まで含めて債権者に相談すると良いでしょう。債権者に業者を紹介してもらうことが安全に任意売却する1番の近道です。悪徳業者にひっかからないためにも債権者に遠慮なく業者を紹介してもらいましょう。
任意売却は、競売より高値で売却できる可能性がある
それでは、悪徳業者に出くわす可能性もある任意売却をあえて選択するメリットとについてをご説明いたします。競売での売却は、市場価格の7割前後の場合が多いのに対し、任意売却では市場価格に近い価格で売却できる場合が多いのが任意売却を選択する大きなメリットの1つです。任意売却の方が、市場価格に近い価格で売却できる可能性がありますので、少しでも市場の査定価格に近い額で売却したい場合は、競売ではなく任意売却を選ぶと良いでしょう。
自宅に住み続けることが出来る「リースバック」とは
任意売却最大のメリットは、「売却しても今の家に住み続けることが出来る可能性を残せる」
という点が挙げられます。例えば、住宅ローンの支払いが滞った場合、自宅を一旦売却し、新しい所有者と賃貸契約を結ぶことで退去せずにそのまま自宅に住み続けることができます。このように、売却した資産の買主とリース契約を結び、資産をそのまま使用しながら賃料を支払うリース形態のことを「リースバック」と呼びます。もちろん、相場の賃料より高くなる可能性もありますが、親族などの知り合いに買主になってもらえれば、賃料も交渉はできますし、現在の資金難を乗り越えてまとまった資金ができれば再び物件を買い戻すことも可能です。思い入れのある自宅を手放したくないと考える方は、任意売却でのリースバックも選択肢のひとつとしてあるということをぜひ心に留めておいてください。
マンションの市場価値を手軽に知れる一括査定サイトが便利
このマンションを今中古で売却したらいくらくらいになるのか、任意売却をする前に、査定価格を知りたい方も多いかと思います。手軽に自分の持つ中古マンションの市場価値を知る方法として、「中古マンション一括査定サイト」を利用してみるのがおススメです。自分の持つマンションを中古売却した際の価格を手軽にシミュレーションすることが出来ます。一社だけでなく複数の不動産会社が査定をしてくれるので、様々な査定結果を一度に知ることが出来て便利です。例えば築10年の中古マンションを一括査定サイトに登録し、価格を査定してみたとします。各不動産会社で査定基準や査定方法は様々ですが、平均して1500万円という査定価格が出た場合、この物件を競売で売却した場合、競売の売却価格は、市場の7割程度といわれていますので競売だと1050万円程度での売却ができそうだ、など、市場価格と共に競売にかけた時の大体の金額も把握することが出来ます。査定サイトでの価格は、パソコンで入力した物件の概要だけで査定をしますので、内覧などで査定した価格とはまた変わってくるのですが、おおよその査定価格だけでも知っておくことは任意売却時に有効です。一括査定サイトは利用されたことがない方は1度利用して、自分の所持する物件のおおよその価値を把握しておくことをオススメします。
まとめ
今回は、マンションを中古で任意売却する時について役立つ情報をお伝えしました。昔のように同じ会社に定年まで勤めることも少なくなってきて、変化が激しい時代です。もし住宅ローンを支払えない状況になってしまったとして、せっかくのマイホームを中古で手放すことになっても、そのことをずっと悩み続けているだけでは何の解決にもなりません。任意売却するのか、競売にかけるのか、やれることからしっかりとアクションを起こすことが大切です。今自分が出来る最善のことを尽くしましょう。