中古マンション売却査定のポイント(107) 確定申告の「計算ノウハウ」

税金の基礎知識

不動産売却一括査定「イエイ不動産売却査定」

さて、今回は、中古マンション売却査定の際にかかる税金、具体的には、所得税・減価償却・諸費用・確定申告の「計算ノウハウ」について、お話ししていきますね。
なるべく具体的な例でご説明しますので、中古マンション売却査定時のシミュレーションにもきっと役立つと思います。

<其の一> なぜ、中古マンション売却査定時に“その”計算が必要なのか?

 

今お住まいの中古マンションを売却査定したら、利益が出た…
この利益、(売却額ー取得費=売却益)を「売却益」と言いますが、利益が出たら、所得税がかかってきます。
「もうだいぶ古くなった家だから利益なんて出ない!」と考えがちですが、不本意にも計算上で利益が出た結果、所得税を支払わなくてはならない状況になったら大変ですよね。本当に利益として、お金が手に入るならともかく、あくまで計算上ということならできれば避けたいことなので、しっかり見ていきましょう。

・基本パターン…課税譲渡所得

中古マンション売却査定時に必要な基本の計算式は以下です。
(譲渡価格 - 取得費 - 譲渡費用 = 課税譲渡所得)
   ※譲渡価格:売却価格のこと。
※譲渡費用:売却時に生じた費用のこと。測量費、仲介手数料等。
※取得費:対象の中古マンションを買った時の価格のこと。

中古マンション売却査定時の計算では、「減価償却後の値段」を取得費とします。
では、減価償却とはどういう考え方か?と言いますと、時間の経過によって、建物が劣化することを計算することです。
今は中古になったマンションの購入時の金額ではなく、マンションを保有していいた時間に、経年で価値が下がった分を「減価償却費」として計算することになります。

例)20年前に、5000万円で購入したマンションの場合

この中古マンションが、減価償却の計算ののち、3000万円となった場合、
土地に関しては、マンションは戸建てに較べ比率が低いので、仮に1000万円としたら、20年前の取得費は、
建物4000万円+土地 1000万円=5000万円
20年後は、
建物3000万円+土地1000万円=4000万円
と、計算されます。

もうお分かりと思いますが、土地は、減価償却の対象ではないのです。
建物だけが対象となるので、中古マンションのように、価格の中で建物割合が大きいと、減価償却の影響も大きくなります。
この建物の減価償却費の計算を正確に行うことが、課税譲渡所得の計算のキモと言えます。
上記を踏まえたうえで、取得費の計算に進みます。

(建物購入代金 - 減価償却費 = 建物取得費)
(建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数 = 減価償却費)
※償却率は下記を参照

------------------
構造:非事業用
・木造
償却率:0.031
耐用年数:30年
・鉄筋コンクリート造
償却率:0.015
耐用年数:70年
------------------

※マンションなので、鉄筋コンクリート造のほうで計算。

比較のために、中古マンションと中古戸建住宅で計算してみると・・・
<前 提>
5000万円で物件を購入したが、売却査定のうえ価格は、3500万円(マイナス1500万円)だったと仮定する。
譲渡費用は、シンプルに計算するため、250万の仲介手数料だけとする。

●マンション 5000万円 ■一戸建て 5000万円
建物4000万円 土地1,000万円 20年後 3500万円 譲渡費用250万円

●マンションの減価償却費:1080万(=4000万円×0.9×0.015×20年)
 建物4000万円―1080万=2920万円 土地1000万円
 2920万+1000万=3920万円(取得費)

■一戸建ての減価償却費:2232万(=4000万円×0.9×0.031×20年)
 建物4000万円―2232万=1768万円 土地1000万円
 1768万+1000万=2768万円(取得費)

課税譲渡所得は・・・

●マンション 3500万円-3920万円-250万円 マイナス670万円
→譲渡“損失”が発生

■一戸建て 3500万円-2768万円-250万円 482万円
→譲渡“益”が発生

ビックリですね!価格の下がり方が同じでも、中古マンションは譲渡損失が発生するのに、一戸建てだと売却益が出ることになってしまいます。

中古マンション売却は、一戸建て売却よりも減価償却費の影響が小さいということですね。しかも、譲渡損失が派生するときは、税金が戻ります。

でも、一戸建てで譲渡益が発生した場合にも、自分の持ち家を売却した場合は、3000万円の特別控除枠=特例があります。
対象となるのは、下記のどれかに該当することです。

1)転居してから3年後の年末(12月31日)までに、居住していた家屋、その家屋と敷地を共に譲渡する時。
2)現に居住している家屋や、その家屋と敷地を共に譲渡する時。
3)災害などにより居住していた家屋が滅失してしまった場合、災害のあった日から3年経過する日時が属する年の年末(12月31日)までに、その敷地のみ譲渡する時。
4)転居後に取壊した場合は、転居してから3年後の年末(12月31日)までか、取壊し後1年以内のいずれか早い日までに譲渡する時。

ただしこれは、3年に1度の使用しかできず、また親族への譲渡には適用されません。
ですので、先ほどの例で、一戸建ての課税譲渡所得を3000万円の特別控除を考慮して、再度計算すると以下のようになります。

(譲渡価格-取得費-譲渡費用-3,000万円(特別控除)=課税譲渡所得

3500万円-2768万円-250万円-3,000万円= マイナス2518万円

上記のように、一戸建てでも、3,000万円の特別控除を適用すれば、所得税は支払わなくて済むわけです。
ただ、注意してください!この特別控除の3000万円を適用しても、課税譲渡所得がプラスにならば、当然ながら、所得税は発生することになります。
詳しい計算方法は、「不動産売却査定の税金の種類と節税方法、対策について具体的に解説」をご参照ください。

中古マンション売却において、計算が必要な事柄についてご説明してきました。
いかがだったでしょうか?
こんな計算、きちんとする自信がないなぁという方に、私からオススメするシミュレーションサイトをお教えしましょう。

<其の二> 私がオススメする計算シミュレーションサイト

 

中古マンション売却査定が簡単にできる一括サイトは、たくさんありますが、私のオススメは、スマイスターさんです。

面倒な課税譲渡所得の計算もあっと言う間に終了します。
査定シミュレーションしてみたいなと思った方は、一度アクセスしてみてください。

さて、各々の計算方法について、説明しましたが、中古マンション売却するうえでのココだけのコツを少しだけ、お話しします。

<其の三> 取得費を忘れてしまったらどうするか?

 

購入してから、かなり時間が経ったため、中古マンションの購入価格を忘れてしまった。どこにも資料が残っていない…という場合も出てきます。
つまり、取得費が不明だと全く査定シミュレーションできないのか?ということですが、こういった時にも対処法があります。具体的には、次の計算式で計算する概算法というものです。

(譲渡収入金額×5%=取得費)

ちょっと想像してみてください。3500万円で売却した中古マンションの取得費が、3500万円×5%=175万円と計算されてしまいます!!

仮に、譲渡費用を0だった場合、譲渡所得が3,800万円にもなってしまい、3075万円の課税譲渡所得が発生することになってしまうのです。


上記のような大変な事態を回避するため、この状況になってしまった場合は、実際の購入額を契約書以外で証明する必要があります。
住宅借入ローンの費貸借契約書、抵当権設定額、通帳の入出金履歴など、建物金額を証明するに値しそうな資料をできる限り準備して、税務署に申述書を提出するようにしましょう。

申述書の内容をもって妥当性、信用度が高いと認められれば、建物取得額として、認定を受けられます。決して少なくない納税額になってしまわぬよう、粘り強く建物の購入金額を確実なところまで追求することを強く推しておきます。

<其の四> 最後に…

 

今日は、中古マンション売却査定時に実際使用している計算方法について、お話ししました。もちろん、一括査定サイトを利用するなどで、自分で計算しなくともシミュレーションすることは可能です。
が、もともとの考え方や数値のカラクリなどを理解したうえでシミュレーションするか?しないか?では、判断基準に大きく差が出ます。
特に、所得税が発生するか?については、念入りに確認することをオススメします。


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