そのマンション,誰に売る?
『単身者用マンションを買って1人で住んでいますが,今回,結婚を機にマンションを売却しようと思っています。ローンは全額返済し,新居は賃貸なので,すぐにお金が必要なわけではありません。不動産業者に査定を依頼したところ,業者が直接買い取る場合には1600万円,仲介をして第三者に売却する場合には市場価格は2100万円と査定してもらえました。第三者に売る場合には内覧が必要だったり,手間がかかったりで面倒だし,2100万円という査定価格で売れるかも分からないので,手っ取り早く業者に売却しようかと思うのですが,金額に500万円も差があるので,迷っています。どうしたら良いでしょう。』
先日,こんな相談がありました。
相談者のように,結婚・出産などのライフスタイルの変化によって,それまで住んでいたマンションを売却するのはよくあることでしょう。
中古マンションを売却する場合,その方法として,主に,①買取業者に直接売却する,②仲介業者に購入希望者を探してもらって売却する,という2つの方法があります。
この2つの方法には,それぞれメリット・デメリットがあります。
まず,買取業者に中古マンションを売却する一番のメリットは,早く売却できることです。
この場合,購入希望者を探す必要がないので,売却価格に折り合いがつけば,即日マンションを売却することも可能です。
また,相談者が心配しているように,購入希望者の内覧に付き合う必要もなく,手間もかかりません。
これに対して,買取業者に中古マンションを売却する最大のデメリットは,売却価格が市場価格よりも安くなってしまうことです。
売却するマンションの築年数,立地,間取りなどによってケースバイケースですが,仲介業者を介して購入希望者に売却するのと比べて,中古マンションの売却価格は6~8割前後になるといわれています。
他方,仲介業者を介して中古マンション売却するメリット・デメリットですが,これは,買取業者への売却のメリット・デメリットの逆です。
つまり,買取業者に売却するのと比べて売却まで時間と手間はかかりますが,より高値で売却することが可能です。
ですので,早く売却したいのにマンションの築年数が古い,間取りや立地が悪い,実は過去に事故のあった訳ありのマンションで・・・などという理由で,なかなか市場で購入希望者が見つからない中古マンションの場合には,買取業者に直接売却するのが良いでしょう。
他方,人気エリア内で築年数もそれほど経過しておらず,購入希望者がすぐに見つかるようなマンションであれば,買取業者への売却ではなく,仲介業者を介した売却の方が高く売却することができます。
人気のあるマンションであれば比較的短期間で売れますし,退去済みであれば内覧も仲介業者が代行してくれますので,手間もあまりかかりません。
このように,どちらの方法にもメリット・デメリットがありますので,一概にどちらが良いかは決められず,売りたいマンションの特性に応じて検討することになります。
そこで,中古マンションを売却する場合,まずは,相談者のように,買取業者と仲介業者それぞれに価格を査定してもらいましょう。
本件のように,査定の時点でおそらく数百万円の差額が出ますので,売却を急がない場合には,まずは,査定価格での売却を仲介業者に依頼することをお勧めします。
査定価格で売却できればそれに越したことはありませんし,査定価格で売却できなければ,その時点で,査定価格から価格を下げたり,買取業者に売却することを検討しても良いと思います。