中古マンション売却査定のポイント(93) 売却時にやっておきたいこと

売却の流れと基礎知識

中古マンション売却時にやっておきたいこと

 

転勤が決まった、地方で開業することになった等、せっかく購入した中古のマンションでも売却しなければならないことがあります。まずは売却しなければ、と書きましたが、売却か賃貸にして経営にするのか、を考えなければなりません。賃貸にしたとしたらそれはそれで様々なことを考えなければなりません。地方に引っ越してしまうと近くにもいないため、マンションがどのような状態なのかも自分では見ることはできません。そのようなことも含めて売却か経営かを考えます。

売却することが決まったら、査定してもらいます。査定をしてもらうのは一社だけでなく、複数の業者にお願いできる「一括査定」を利用します。複数の会社とやり取りすることになるので、多少面倒だと感じることがあると思います。思ってもいない態度で査定されたりすることもあるかもしれません。強引に契約に持ち込む不動産業者の方もいるかもしれません。合わないな、と思う不動産業者にはお断りする勇気も必要です。

査定をするときに不動産会社に来てもらうとは思うのですが、決めた不動産業者とはやり取りも増えると自分で不動産業者に出向かわないといけなくなることも出てくると思います。そう考えると、査定する業者も自分が通える範囲にあるかどうかを見てみる。また、売却しようとしている中古マンションの査定額も自分で相場を荒れ程度調べておき、適正な査定額かどうかを判断できるようになっているとより安心かと思います。相場よりもあまりにもかけ離れた査定額を出す不動産業者はやめておいた方がよいでしょう。

査定額が出たら不動産業者との契約になります。その場合、「一般媒介契約」か「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」の3つから選ぶことになります。査定額だけで判断はできないかもしれませんので、いくつかの不動産業者と契約したい、といった場合は「一般媒介契約」を結ぶことになります。もし、査定額も対応も満足していてこの不動産業者だけで良い、任せたい、ということであれば「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」を結ぶと良いでしょう。ただ、業者によっては専任契約を結びたがるところもあります。それは両手仲介と言って、売主と買主の両方からの仲介手数料が欲しいためです。しつこく専任を結びたがるようでしたら、違う業者に変えるか担当者を変えてもらうかを考えた方がよいでしょう。

査定額はそのまま売却額となるわけではありません。おおよその査定額がでたとしても、そこから不備が見つかるなどして、更に差し引かれることもあるのです。ですが、売却額は出された査定額から決めるので、査定額は重要だと言えます。

中古マンションを売却した時に戻るお金

 

査定も終わり、不動産業者と契約し売却のための広告が進み始めます。そして買主が見つかり、いざ売却となった時に思い出してほしいのが、戻ってくるお金があるということです。
賃貸でも火災保険の加入が求められますが、中古マンション購入時も同じです。入居する時には当たり前のように加入した火災保険ですが、売却時に忘れやすいのがその火災保険の解約です。中古マンション購入時に長期契約によって一括で納めている方が多いと思います。マンションの売却時には自分のマンションに対して加入している保険を把握することです。戻ってくる金額は少しかもしれませんが、戻ってくる可能性があるので、忘れないようにしましょう。

また、保険料に関しては不動産業者ではなく、加入している保険会社に請求するものですので、中途解約しただけでは戻ってこないこともありますので、注意しましょう。解約のタイミングで悩むかもしれませんが、解約のタイミングは中古マンションを引き渡す最後の日、引っ越す当日までかけておく必要があります。車の保険も同じです。無事に引き渡すまでは何が起こるかわかりません。保険はそのためのものですので、最後まで必ずかけておきましょう。

入居した時は色々とチェックしたはずなのに、住んでいると徐々に何に入っているか忘れてしまうことも多いです。火災保険が戻ってくる例にあげましたが、他にも戻ってくるお金があるのでしょうか。その辺りを見ていきたいと思います。

固定資産税や都市計画税の固都税が戻ってくる

 

1月1日現在での所有者が固定資産税や都市計画税の固都税の納税義務者となりますが、「戻ってくる」というよりは、売却した相手、買主との間で精算を行う金額です。というのは、1月30日に売却したとしても、その年の固都税は中古マンションの持ち主であった売主が納税義務者になるのです。その年は1か月しか住んでいないのに、と思ってしまいますよね。固都税は1年分を4回に分けて支払います。売主のところに納税通知書が届きます。1月の終わりまでしか住んでいないのに、払い続ければ大きな負担となってしまいます。

そこで、不公平にならないように、売却の代金とは別に固都税を買主から受け取ることが可能です。この固都税の精算が戻ってくるお金、ということになります。その戻ってきたお金が自分のものになるかというと、そうではなく、納税資金にあてることになるので得はしませんが、精算しないとその分が丸々損してしまうこと忘れないで起きましょう。

銀行の保証料

 

中古マンションを購入された際、保証会社に加入したかたも多いのではないでしょうか。もし住宅ローンを組まれていて、残債がある状態で売却をすると残存期間の保証料が戻ってきます。その金額の計算は銀行が住宅ローンの消去手続きを行うときにされるのが通常です。銀行から何も言われない場合は保証料がどうなっているのか確認するようにしてください。

多めの源泉徴収税額が戻ってくる可能性もある

 

中古マンションを売却する時に上記に挙げた精算したお金は数万円程度戻ってきます。しかし、居住用財産である中古マンションを売却した時、売却損が発生するなら、源泉徴収税額が売却後3年間渡り戻ってきます。そのお金は3年間でみると年収にもよりますが、百万円以上になることもありますので、火災保険等の数万円よりも大きい額です。これは譲渡損失の特例を見ておく必要があります。

中古マンションを売却した時の譲渡損失

 

譲渡損失には計算式があります。
譲渡損失 = 譲渡価格 - 取得費 - 譲渡費用
中古マンションを売却した時の売却額が譲渡価格、中古マンションを購入した時の価格が取得費、中古マンション売却時にかかった仲介手数料等は譲渡費用になります。注意したいのが、建物は減価償却されるということ。そのため購入価格そのものが取得費になるわけではないということです。そして中古マンションの売却額はほぼ購入時より下がっていることが多いので、譲渡損失となってしまう方が多いのです。


譲渡損失発生時に使える特例は2つあり、買い替えの場合と単純に売却した場合です。源泉徴収税額の還付を受けるためには、医療控除と同じで確定申告が必要となります。実は知らなかったり、面倒だったりして、この作業をしない人もいます。ですが、戻ってくる金額は大きいので、面倒だとは思いますが、確定申告することをおすすめします。

中古マンションの売却で戻ってくるお金を中心に見てきましたが、売却しなければならなくなった時や不動産に詳しい方でないと気が付かない事柄だと思います。大まかでも少し知っていれば、その時になって詳しく調べられるようになりますので、是非参考にしていただきたいと思います。