不動産を相続するときの遺産分割マニュアル

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相続人が複数人いる相続ではさまざまなトラブルが想定されます。今回は不動産を相続する場合の遺産分割について不動産会社スマートアンドカンパニーが詳しく解説します。
記事では不動産を相続する場合の遺産分割について以下の内容を説明していきます。

  • 不動産を相続する場合の遺産分割の手順と流れ
  • 遺産分割で不動産を相続する場合の4つの方法
  • 遺産分割が禁止されるケース

不動産を相続するときの遺産分割の流れ

 

不動産を相続するときの遺産分割の流れ

相続がされる際に、相続人が1人であれば、遺産分割することはないでしょう。しかし、2人以上の相続人がいる場合は、1人以外が相続を放棄しないかぎり、遺産分割とすることになります。
相続人が複数人いる場合、相続を共同でおこない、共同で相続人になります。共同で相続することを共同相続、共同で相続人になることを共同相続人と言います。
共同相続人は、相続するすべての財産を相続分に応じて相続する権利を持ちますが、同時に権利に対する義務も共有することとなります。

相続する財産を共同相続人で分けることを「遺産分割」といいます。

遺産分割の手順は以下の流れになります。

遺産分割の手順
  • step1
    遺言があるかどうかの確認
  • step2
    法定相続人の確認
  • step3
    相続人の各相続分の確定
  • step4
    特別受益者の確認
  • step5
    遺産分割協議を行う(遺産分割協議書の作成)

それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。

遺言があるか確認をする

遺産の分割はどのように行うのでしょうか?
遺言が存在していて相続人が遺言に対する不服がなければ、遺言通りに分割することになります。
そのため、遺言があれば遺産分割の協議は特に必要ありません。例えば、長男・長女・次男にそれぞれ三分の一ずつなど定められている場合は、それに従って分割することになります。

法定相続人の確認をする

相続人というのは、亡くなった人の財産を相続する人です。相続人は、民法という法律で定められています。相続人になれる人は、亡くなった人の配偶者と亡くなった人の決められた血族となります。この人たちのことを法定相続人といいます。
ときどき、内縁の妻という言葉を聞くことがあるかと思いますが、内縁というのは、戸籍上の配偶者ではなく、実質上の配偶者のことをいいます。しかし、戸籍上の配偶者でない場合は、相続人になることはできません。
配偶者は必ず法定相続人となります。血族がいない場合は、配偶者だけが相続人となります。血族は何人か存在するかと思いますが、血族の中で順位が決められています。

【相続人の順番】
  1. 直系卑属
  2. 直系尊属
  3. 兄弟姉妹

1番は、直系卑属です。つまり、子・孫・ひ孫・・・と子孫として直系の血族です。子が先に亡くなっている場合は、その子の子、つまり孫が相続人となります。このことを法律用語で、代襲相続といいます。


2番は、直系尊属です。直系卑属がいない場合、直系尊属が相続人となります。直系尊属というのは、父母・祖父母・曾祖父母…と先祖の方へ直系でつながっている血族のことです。ですので、子がいなければ、父・母、次に祖父・祖母という順に相続する権利が移っていきます。

3番は、兄弟姉妹です。1番も2番もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続します。もし、この兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その兄弟姉妹の子が相続することになるのです。被相続人からみると甥、姪にあたります。

以上が法律で決められた順番です。配偶者はいつも相続人になりますが、血族はこのように順番が決まっているのです。このように相続順は法律で決められていてもトラブルがおこることは決して少なくありません。

相続人の相続分を確認

相続がおこったときに複数の相続人がいた場合、相続財産を共有することになります。相続財産を共有している相続人(共同相続人)が全員で、遺産分割について話し合うこととなります。基本的に、共同相続人は、血縁者、いわゆる親子や兄弟などになることが多いと思います。何事もなく、分割の話し合いが進めばよいですが、やはりトラブルが起こることもあります。本来は、遺言書どおりに分割されるか、法律で定められたように分割されれば、トラブルになることはないのでしょうが、「自分の分が少ない」とか、「被相続人の世話をしたのだから、その分は上乗せされるはずだ」など、相続人から諸々出てきて、もめることもよくある話です。
マンションなどの不動産が相続財産だったりするとトラブルに発展する場合が多くあります。マンションを売却し、お金にかえて分けるなどをすることができればよいかもしれませんが、売却しないで誰か1人が相続するとなると、公平になるようマンションからの収入を払い続けるなど条件を決めることとなり、話し合いの折り合いがつかなくなることもあるかと思います。
どうしても、相続人だけで話し合いがうまくいかない場合は、家庭裁判所で、相続財産の分割について調停をおこなうこともあります。そうなると、時間もかかり面倒なことになってしまいます。

特別受益者の確認

特別受益とは、一部の相続人が故人から生前に受け取っている特別な利益のことです。一部の相続人だけが、多額の贈与を故人から受けていた場合、そのことを考慮せずに遺産分割すると、他の相続人から不公平ととらえられてしまいます。そこで、一部の相続人が受けた贈与を特別受益として、相続財産に含め遺産分割します。

ただし、特別受益が考慮されるのは、該当する贈与などがあったことを他の相続人が主張した場合です。また、贈与を指摘されても相続人が認めない場合は、特別受益に当たることを立証する必要があります。

遺産分割協議を行う

遺産分割する場合は、遺産分割協議をおこなう必要があります。つまり、誰がどの財産をどのくらい相続するかを話し合うのです。誰かと何かを分割するときは、相続に限らず、話し合いをしますよね。しかし、相続財産が、マンションのような不動産の場合、売却するか、そのまま所有するか、ローン残債があればローン返済が必要…など、現金以外の財産は、簡単に分けられるわけではないため、話し合いがまとまらないことも起こりうると思います。

話し合いがこじれた場合、家庭裁判所へ申し立てて、相続財産を各相続人にどのような割合で分割するか決めてもらうことができます。家庭裁判所で調停を申し立てると、裁判官1人調停委員が2人で行う調停委員会がひらかれます。それぞれ相続人の意見などをヒアリングし、遺産の分割協議が終了するように調整してもらうことができます。しかし、この調停委員会で無事終わらなかった場合は、審判の手続きに移行します。

また、家庭裁判所に調停を申し立てる際に、はじめから調停ではなく審判を依頼することも可能です。また、共同相続人のうちの誰かが、行方不明などで、遺産分割協議を行うことができない場合も、この審判を申し立てることにより協議を終えることができます。家庭裁判所では、特別受益があるかどうかも確認して、それを考慮し不公平がないように判断してくれるのです。

相続不動産の登記で遺産分割協議書が必要となる場合がある

遺産の分割協議の時に作成する書類が、「遺産分割協議書」です。作成された協議書にはそれぞれの相続人が署名・押印します。

遺産分割協議書は必ず作成しなければならないものではないのですが、相続した不動産を登記する際に必要となる場合があります。遺産分割協議書が必要となるのは、相続人が法律で決められた相続分以外で相続する場合や、遺言書がない場合です。

相続の登記に関しては特に期限はありませんが、そのまま忘れてしまうケースもたくさんありますので、すぐに登記した方が良いでしょう。

遺産分割協議書に関して詳しくは以下の記事を参照ください。

不動産を相続したときの遺産分割の方法

 不動産を相続したときの遺産分割の方法
相続する人数が複数の場合、話し合ったり、相続する財産を細かく分け合ったりすることは大変です。遺産分割の方法は大きく4つあります。

【遺産分割の方法】
  1. 「現物分割」
  2. 「換価分割」
  3. 「代償分割」
  4. 「共有分割」

分割方法それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

現物分割

「自宅は妻に、マンションは長女に、預貯金は長男に譲る」
このように財産目録の項目にそって分割する方法を「現物分割」といいます。
最も一般的な遺産分割方法で、相続人が少なければシンプルでわかりやすく相続もしやすいというメリットがあります。

換価分割

換価分割とは、土地や物件などの現物を売却して換金し、それを分配する方法です。不動産などの分けにくい現物を分割する際によく使われる方法の一つとなっています。金額が分かりやすいというメリットがあるほか、複数人相続人がいてもきちんと分割することができます。専門業者、あるいは代表の相続人がいったん不動産売却の手続きを進めてから、それらを相続人で分配します。

換価分割は平等であることや分配がスムーズであることから利用する方も多いですが、メリットばかりではありません。
まず換価分割をするときには相続登記を行う必要があります。いったん相続人の代表を決めて名義変更を行い、売却手続きをしなければならないためです。この代表の相続人は大金を預けても問題ない信頼できる人や、売却手続きをしっかり進めてくれる責任感のある人を選ぶ必要があります。決めるのが難しければ、相続手続きを代わりに行ってくれる専門業者に頼むのがおすすめです。
もう一つ注意しておきたいのが、換価分割することを、きちんと遺産分割協議書に記すということです。記入し忘れてしまうと不動産の登記ができないこともあるため、注意しておきましょう。

不動産の売却には、手間と時間がかかります。親身になってくれる不動産会社を探すのはひと苦労です。もしあなたが代表の相続人になる可能性が高いとしたら、相続することになる不動産の売却額がどのぐらいになるのか?また不動産会社の選択の一助として、一括査定サイトを利用するのがおすすめです。最新一括査定サイト人気ランキングでは、多くの方が利用している一括査定サイトを探す事ができますので是非利用してみてください。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人のみがいったん不動産を相続し、それから別の相続人たちに金銭などを渡して分配する方法です。たとえば一人が不動産を相続し、そのほかに相続人が二人いた場合は、残り二人に三等分の相当額を相続した人物が代償金として支払うといったような方法になります。
この場合はまず、特定相続人が相続時に遺産分割協議書にその旨を記載して契約を結びます。メリットは代償を支払う特定の相続人が、不動産を手放さずに済むという点です。不動産を売却したくない場合は、こちらの方法が好まれるでしょう。

共有分割

相続人が「家を売りたくない」「このまま住み続けたい」と希望した場合、1つの土地や不動産を複数の相続人が、自分たちの「持ち分」を決めて登記し直すという方法があります。これを共有分割といいます。
公平性を保ちつつ、家を売却しないという希望は叶えられますが、共有分割の場合、誰か一人での利用や処分はもちろんできません。また、今現在は相続人同士の仲が良いとしても、共有者が亡くなったり、次世代に引き継がれたとき、共有者同士の関係が複雑になってしまうというリスクもあり得ます。

不動産を遺産分割した後の気になる税金についてはこちらの記事も参照ください。

遺産分割が禁止される場合もある?

遺産分割が禁止される場合もある? 遺産分割が禁止される場合があります。 まず、遺言によって禁止することができるので、被相続人が、遺言により遺産分割を一定の期間禁止させることができるのです。つまり、遺言による遺産分割の禁止です。被相続人がこの遺産分割を禁止する場合、特に理由は必要ありません。 他には、家庭裁判所の審判によっても遺産分割の禁止をすることができます。  なぜ、遺産分割を禁止するのでしょうか? それは、分割をするよりも禁止したほうが良い場合も考えられるからです。 例えば、学業に専念しなければならない人が相続人になったとします。そうなると、遺産分割協議に参加しなければならなくなります。この遺産分割協議がスムーズにおこなわれると想定されるならよいですが、相続財産が、マンションなどの不動産であったり、財産だけでなく借金があったりすると、簡単には協議が終わらないことが想定されます。現金だけなら、すぐに分割できますが、不動産だとそのまま誰かが相続して経営するのか、もしくは、売却するのか、簡単には決められないかもしれません。そのようなことが想定される場合は、相続の分割協議を禁止することが可能となるわけです。   その他、禁止のケースには、共同相続人の中に未成年がいる、遠方に住んでいる人が相続人である、余命が長くない人がいる場合などがあり、その時は、一定期間、遺産分割協議を禁止することができます。 小学生や中学生などの未成年は、相続の判断がむずかしいと思われます。ですので、物事を自分で判断できる大人になってから、遺産分割の協議に参加させるほうがよいと思われます。 この禁止については、遺産の全部または、特定の部分に関してだけとすることができます。ローン残債がたくさん残っているマンションが相続財産の場合、売却するか、もしくは経営するかなど判断がむずかしい財産を特定の財産として分割禁止することができます。  4.  おまけの知識:遺産分割の効力はいつから発生する? 民法では、その効果は相続開始時にさかのぼって、発生すると定められています。相続開始となるのは、被相続人が亡くなったときなので、遺産分割協議がおこなわれ、すべてが確定したと同時に効力が発生することとなります。  相続の分割によって、相続登記をした場合でも、原因登記の日付は、遺産分割協議により確定した日ではなく、相続が開始された日、つまり被相続人が亡くなった日となります。 ただし、相続財産をいったん所有権の登録をした後に、遺産分割協議をして相続財産が確定したことによって登記する場合は、更正登記とはならず移転登記となります。 つまり、権利を登録するということは、世の中に権利の主張ができるため、所有権の登録をしますが、一度してしまうと、次の登記は、権利の移転となってしまうのです。ですので、この場合の効力発生日は、相続開始日にさかのぼることはなく、遺産の分割協議により遺産の分割が確定した日となります。  遺産分割の効力が発生するためには、遺産協議書の作成が必要です。もし、遺産分割協議をおこなったとしても、書面に残さなければ、その協議書のとおりにしない共同相続人が出てきたときに、非常に困るからです。相続財産が不動産だった場合は分けられないため、売却して公平に分割しようと協議で決めたとしても、共同相続人のうちのひとりが、決めたことを守らなかったら、いつまでも不動産は売却できません。そうならないためにも遺産分割協議書が必要となります。  民法では、原則として、書面がなくても口頭での契約は有効とされていますが、もしその契約が守られなかった場合、その契約を証明しなければなりません。口頭での約束だと、音声でも録音していないかぎり、言った、言わないの水掛け論になりがちです。ですので、法律行為をおこなう場合には、証明できる書面を作成しておくことが重要となります。トラブルにならないためにも、必ず作成しておきましょう。   https://www.100sai-movie.jp/2018/03/01/%e4%b8%8d%e5%8b%95%e7%94%a3%e3%81%ae%e7%9b%b8%e7%b6%9a%e3%81%a7%e3%80%81%e8%a6%aa%e5%90%8d%e7%be%a9%e3%81%ae%e4%b8%8d%e5%8b%95%e7%94%a3%e3%82%92%e5%a3%b2%e5%8d%b4%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%93%e3%81%a8/
遺産分割が禁止される場合があります。
まず、遺言によって禁止することができるので、被相続人が、遺言により遺産分割を一定の期間禁止させることができるのです。つまり、遺言による遺産分割の禁止です。被相続人がこの遺産分割を禁止する場合、特に理由は必要ありません。
他には、家庭裁判所の審判によっても遺産分割の禁止をすることができます。

なぜ、遺産分割を禁止するのでしょうか?
それは、分割をするよりも禁止したほうが良い場合も考えられるからです。
例えば、学業に専念しなければならない人が相続人になったとします。そうなると、遺産分割協議に参加しなければならなくなります。この遺産分割協議がスムーズにおこなわれると想定されるならよいですが、相続財産が、マンションなどの不動産であったり、財産だけでなく借金があったりすると、簡単には協議が終わらないことが想定されます。現金だけなら、すぐに分割できますが、不動産だとそのまま誰かが相続して経営するのか、もしくは、売却するのか、簡単には決められないかもしれません。そのようなことが想定される場合は、相続の分割協議を禁止することが可能となるわけです。

その他、禁止のケースには、共同相続人の中に未成年がいる、遠方に住んでいる人が相続人である、余命が長くない人がいる場合などがあり、その時は、一定期間、遺産分割協議を禁止することができます。
小学生や中学生などの未成年は、相続の判断がむずかしいと思われます。ですので、物事を自分で判断できる大人になってから、遺産分割の協議に参加させるほうがよいと思われます。
この禁止については、遺産の全部または、特定の部分に関してだけとすることができます。ローン残債がたくさん残っているマンションが相続財産の場合、売却するか、もしくは経営するかなど判断がむずかしい財産を特定の財産として分割禁止することができます。

おまけの知識:遺産分割の効力はいつから発生する?

遺産分割の効力はいつから発生する?
民法では、その効果は相続開始時にさかのぼって、発生すると定められています。相続開始となるのは、被相続人が亡くなったときなので、遺産分割協議がおこなわれ、すべてが確定したと同時に効力が発生することとなります。

相続の分割によって、相続登記をした場合でも、原因登記の日付は、遺産分割協議により確定した日ではなく、相続が開始された日、つまり被相続人が亡くなった日となります。
ただし、相続財産をいったん所有権の登録をした後に、遺産分割協議をして相続財産が確定したことによって登記する場合は、更正登記とはならず移転登記となります。
つまり、権利を登録するということは、世の中に権利の主張ができるため、所有権の登録をしますが、一度してしまうと、次の登記は、権利の移転となってしまうのです。ですので、この場合の効力発生日は、相続開始日にさかのぼることはなく、遺産の分割協議により遺産の分割が確定した日となります。

遺産分割の効力が発生するためには、遺産協議書の作成が必要です。もし、遺産分割協議をおこなったとしても、書面に残さなければ、その協議書のとおりにしない共同相続人が出てきたときに、非常に困るからです。相続財産が不動産だった場合は分けられないため、売却して公平に分割しようと協議で決めたとしても、共同相続人のうちのひとりが、決めたことを守らなかったら、いつまでも不動産は売却できません。そうならないためにも遺産分割協議書が必要となります。

民法では、原則として、書面がなくても口頭での契約は有効とされていますが、もしその契約が守られなかった場合、その契約を証明しなければなりません。口頭での約束だと、音声でも録音していないかぎり、言った、言わないの水掛け論になりがちです。ですので、法律行為をおこなう場合には、証明できる書面を作成しておくことが重要となります。トラブルにならないためにも、必ず作成しておきましょう。

まとめ

相続人が複数人いる不動産の遺産分割について解説してきました。

  • 法律で決められた相続分以外で相続する場合や、遺言書がない場合は遺産分割後の登記で遺産分割協議書が必要となる
  • トラブルにならないためにも遺産分割後は遺産分割協議書を作成するべき
  • 遺言や家庭裁判所の審判によって遺産分割が禁止される場合がある

 

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