親から相続した築年数の古いアパートの売却を検討している方向けに、どうすれば高く売却することができるかを不動産会社のスマートアンドカンパニーが解説します。
築年数の古いアパートは売り方を間違えると、売れ残って処分できない場合もありますのでぜひ読み進めてみてください。
この記事を読むと以下を知ることができます。
・不動産会社の仲介でアパートを売りたいとき
・不動産会社にアパートを買い取ってもらいたいとき
・アパートを更地にして売却したいとき
Contents
不動産会社に仲介を依頼して古いアパートを売却するときのコツ
値下げ交渉対策のため全部屋の管理状況を把握しておく
耐用年数を過ぎてしまった古いアパートは、ローンを組むのが難しく、アパート運営も難しいため買い手が限られます。買主は、運営能力や経験値の高い投資家となるケースが多いです。
築古アパートを購入出来る投資家は、取引や交渉には慣れていますので、アパートの全部屋の管理状況を把握しておく必要があります。
具体的には、家賃や入居情報がわかるような賃借条件の一覧(レントロール)を準備しておきます。自動販売機や駐車場など家賃収入以外の収入があればそれも含めて作成します。
収益物件としてアパートを購入する投資家は、利回りとランニングコストを気にします。
固定資産税などのアパートを経営する上でかかる費用は、全て確認されますので事前に準備しましょう。共用部分の費用、設備の点検の費用など全てまとめておいてください。
レントロールの曖昧さはすぐに見抜かれます。
間違った賃料や大まかな費用を基に話が進んでしまうと、後で賃料や費用が資料と違うと分かった時点で値下げ交渉の材料とされてしまいます。足下を見られて値引き交渉を受けないようにしっかりと準備しておきましょう。
収益物件が得意な不動産会社に仲介を依頼する
アパートを仲介で売却したい場合は、収益物件の売買を得意としている不動産屋に仲介を任せる必要があります。
アパートなどの収益物件の売買と居住用の物件の売買では、市場が異なります。
居住用の物件が得意な不動産会社と収益物件が得意な不動産会社は抱えている顧客が違うのです。特に収益物件は不動産会社と付き合いのある顧客や仲間内だけに紹介するケースが多くあります。良い物件はレインズに載らないまま売買が決まってしまう場合さえあります。
居住用しか扱ったことのない不動産会社に収益物件を任せてしまうと、収益物件の相場が分からず、かなり低い価格で査定されてしまうことも。ターゲットにしている顧客も異なるので、なかなか売却が出来ないといった事態に陥る場合もあります。
古いアパートを売却するときは、地域で長く続いている収益物件が得意な不動産会社や、収益も扱っている比較的大手の不動産会社に依頼した方がいいでしょう。
土地の売買は確認点も多く慣れていない不動産会社では契約に抜けがあったり、手続きにミスがあったりする場合もあります。
サイトで査定をとる際に、特記事項に「古い賃貸アパート」ということを記載しておけば、収益物件の売買と得意とする不動産会社から査定をとることができますので、記載を忘れないようにしましょう。
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インスペクションを利用した方がいい
2020年4月から民法が改正され、売却後に物件に不具合があった時に売主が追わなくてはならない責任がより重くなっています。具体的には売主の負うべき責任に曖昧な部分があった「瑕疵担保責任」がなくなり、より具体的に責任を負う「契約不適合責任」となりました。
売主が個人の時は、今までと同様に買主が同意すれば契約不適合免責の特約を付けて保証を免除することも可能です。ただし、今までは全部免責とする事が可能でしたが、契約不適合責任では、個々の不具合箇所を一つ一つ洗い出して、個別に免責としておく必要があります。ですから、売却するアパートの状態についてしっかりと把握しておくことが大切になります。
古いアパートでは、インスペクションの利用も場合によって検討しても良いでしょう。インスペクションとは、専門家による中古住宅の建物診断です。建物の不具合箇所があるかないかを専門家に調査してもらいます。
インスペクションの費用は、売主負担で実施する場合もありますが、買主の費用負担で実施の要求がある場合もあります。古いアパートの場合は何か不具合が見つかりそれが原因で価格交渉される事ももちろん覚悟しておく必要があります。売主は事前のインスペクションに応じない事も出来ますが、その分価格交渉の材料にされたり、そもそも買い手がつかなかったりする場合もあります。
売主側のインスペクションで不具合箇所が分かれば、引渡し前に修正する事が出来ます。古くてもしっかりとメンテナンス出来ているアパートであれば、アピールポイントとなり高く売却出来るでしょう。
古いアパートを不動産会社に買い取ってもらうときのコツ
古いアパートは仲介では買い手が現われないケースもあります。仲介以外で売却するには専門の業者に買取ってもらうという方法があります。
買取り業者は古いアパートを買取った後リノベーションするなどで付加価値を付けた後売却して利益を得ます。
仲介で売却するよりも売却価格は安くなりますが、仲介では買い手の付かないような古いアパートでも買取ってくれるため、より早く手間無く売却する事ができます。
では買取業者を選ぶときのコツを解説していきます。
入居者付き・現状のまま引き渡しの不動産会社を選ぶ
入居者を退居させて売却するのは費用と手間がかかる
買取り業者の中には、入居者に退居してもらうことが買取の条件となる会社もあります。その場合は売主が入居者に退居の交渉をしなければいけないのです。
アパートに空室が多い場合は、入居者付きで売却するよりは、退去後に売却した方がより高く売却できます。
しかし入居者が多い状況のときは、入居者に退居してもらうには、想像以上に手間や費用がかかってしまう事があるので要注意です。入居者に立ち退いてもらうまでの期間は、早くて半年、こじれると2年以上かかる場合もあります。
退居の流れとしては、契約終了の6ヶ月から1年前に入居者へ通知するところから始めます。
①入居者へのアナウンス(6カ月から1年前までに)
②話し合い(立退き料の提示など)
③転居先の決まらない入居者へ新居の案内
もし話し合いがまとまらず転居を拒否された場合は、弁護士など専門家へ相談するなどといった対応が必要となります。退居してくれない住人がいた場合、さらに1年から2年の期間が必要となるケースもあります。
退居のアナウンスだけでスムーズに転居してくれる場合もありますが、転居には費用がかかりますので納得していただくためには立退き料も必要となります。立退き料は、新居の家賃の3ヶ月分以上から6ヶ月分程度で承諾してもらえる場合が多いでしょう。
以上のように、入居者に対処してもらってからアパートを売却するためには、時間と手間、費用がかかります。
「すぐに売却したい」「早く売却して煩わしさから解放されたい」という場合は特に、入居者はそのままで買取ってもらえる業者を探すべきでしょう。
現状引渡しを条件にする理由
現状引渡しの条件で業者に売却した場合は、不具合が見つかっても売主は契約不適合責任に問われません。古いアパートでも買取り業者に売却すれば、インスペクションの実施や契約不適合責任の煩わしさはなくなります。
古いアパートは不具合箇所を修繕して売却しようとすると修繕費用が莫大になってしまうケースも考えられます。現状のまま引き取ってもらった方が結果的に手元に残る金が多くなる可能性もあるでしょう。
見積額を比較して買取額の高い業者を選ぶ
買取り業者へ売却する場合、流れは以下のようになります。
①アパートの査定を申し込む
②価格の交渉や引渡し条件の話し合い
③契約
④引渡し・売却代金受け取り・賃貸契約の引き継ぎ
査定申し込みは、複数の買取り業者で行いましょう。買取額がもっとも高く、売却の時期などの条件に合致した買取り業者と契約します。早く現金化したい場合は、代金の支払い時期も事前に確認しておきましょう。
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古いアパートを取り壊し更地にして売却する時のコツ
更地にした方がいいかまず業者へ相談する
古いアパートで入居者がほとんどいない場合などは特に更地にしてから売却した方がいいのか、そのまま売却するか悩まれるでしょう。
更地にするためには入居者に退居してもらう必要があります。入居者に立ち退いてもらうのは先に述べたように売主側に負担がかかります。また、建物の解体にも費用がかかりますので、ほとんどのケースではそのまま売却されます。
ただし、更地にしてしまった方が、用途が限定されないため買い手が付きやすい場合があります。土地は広くて利用価値が高いのに家賃収入が少ないアパートの場合は特に更地にした方が高く売却できる可能性があります。
ただし、解体を決める前に一度不動産業者へ相談しておくのがおすすめです。更地で売却か、そのまま売却かは、それぞれの査定価格や、需要の有無などを確認してから決めるのが良いでしょう。
更地にする費用
立退きにかかる費用や流れは先に説明した通りですが、更地にするための建物の解体費用ついて確認しておきましょう。
アパート解体の費用は、アパートの構造と大きさ、立地条件によって異なります。
例えば、木造は一般的な重機と手作業で解体できる場合が多いため、特殊な重機を必要とする鉄筋コンクリート造と比較すると費用が安くなります。また、大きな重機が入れないような道路にしか面していない物件では多くの人手を必要としますのでその分費用は高くなります。隣の建物と密接しているような建物の場合も同様で、手間がかかる分だけ解体費用が高くなります。
地域によっても解体費用のばらつきがありますが、一応の目安となる費用をあげておきます。
解体する建物の構造 | 解体費用の相場 |
木造 | 4万~6万/坪 |
鉄骨造 | 6万~8万/坪 |
鉄筋コンクリート造 | 7万~9万/坪 |
おおよその解体費用の目安は、建物の坪単価に掛け算して求めることが出来ます。実際に解体する場合には、現地を見てもらった上で複数の解体業者に見積ってもらうと良いでしょう。
解体にかかる期間は、工事自体は木造のアパートで1週間程度ですが、打合せや準備、解体後の作業なども含めて全体でおよそ3週間から1ヶ月程度をみておきましょう。
古いアパートの売却が難しくなる理由
耐用年数が過ぎた物件は売れにくい
耐用年数が過ぎてしまうくらいの古いアパートは以下に挙げたようなマイナスイメージが付きやすくなります。
・修繕の費用が心配
・古いアパートは客付けが大変
・購入しても後で売却できない可能性があるのでは
運用コストと出口戦略を描きにくい古いアパートには買い手がつきにくくなります。
買主がローンを組めない場合が多い
法定耐用年数を過ぎた物件は融資の審査に受からない可能性があります。法定耐用年数を過ぎた物件は既に減価償却が終わっているので、建物の資産価値はゼロだからです。
ローンが組めない物件は現金で購入できる投資家しか買えないので、買い手が狭い範囲に絞られてしまいます。
ただし、立地が良い利用価値の高い土地であれば、資産価値が評価され融資が受けられる可能性はあります。
違法建築の可能性
古いアパートが建築基準法違反となっている場合も売却しにくい原因となります。
例えば、容積率や建坪率オーバーになっているケースがあります。アパートの建設時は問題がなかったものの、その後許可無く増改築を行ったことで違反になってしまっている物件などが当てはまります。
違法のアパートも、融資の審査に通らないため買い手が付きにくくなります。
古いアパートを売却する3つの方法:それぞれのメリット・デメリット
仲介のメリット・デメリット
仲介のメリット
どの売却方法より一番高値で売れることです。メンテナンスがしっかりしている、居住環境が良く入居者に人気があるアパートは、古くてもそれなりに高値での売却が期待できます。
仲介のデメリット
・売却後に不具合の責任を負う場合がある
・修繕費用などがかかる
・仲介手数料を支払う必要がある
古いアパートでは配管や雨漏りなどといったトラブルが売却後に発生する場合もあります。契約不適合責任で免責としていなければ売主が保証する事になります。
インスペクションを利用した場合は、調査のためのコストがかかります。また、不具合が見つかった場合には、修繕費用も考えておく必要があります。
買取業者に売却するメリット・デメリット
買取業者に売却するメリット
・仲介で買い手のつかない古いアパートでも売却出来る
・売却までの時間がかからない
・現状のまま引渡しが可能
・仲介手数料がかからない
業者に直接売却するため、手間無く売却が進む点がメリットでしょう。仲介で売却した場合には支払いが必要な仲介手数料も買取であれば発生しません。
買取業者に売却するデメリット
・仲介で売却出来る場合よりも売却価格が低くなる
仲介で売却するよりも手間も時間もかかりませんが、売却価格が安くなってしまうのはデメリットでしょう。
更地で売却するメリット・デメリット
更地で売却するメリット
・建物がある場合に比べて高値で売却出来る場合がある
・土地の用途が限定されないため買い手が付きやすくなる
古いアパート付きでは売却出来ない場合は、更地にした方が売却しやすくなります。
更地で売却するデメリット
・入居者がいる場合は立退きや解体の手間や費用がかかる
・解体してすぐに売却出来ないと固定資産税が高くなる場合がある
解体するまでに入居者に退居してもらう手間がかかるのが最大のデメリットでしょう。また、すぐに売却できないとアパートが建っていた時と比べて税金が上がる可能性もあります。固定資産税は、土地や建物の所有者にかかる税金です。住宅やアパートなど居住用の建物に利用されている土地では、特例として税金の軽減措置が適用されています。解体しても何年か売却出来ないままだった場合には、アパートが建っていた時に受けられた軽減税率が適用されなくなりますのでその分税金が高くなります。
まとめ
古いアパートは、購入者が限られるためなかなか売却が難しい場合があります。仲介、買取、更地で売却、それぞれメリットやデメリットがあります。アパートの資産価値を見極め、売却時期や手持ちの資金などから最善の売却方法を検討しましょう。