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預金通帳の開示請求
母親が既に他界していて、父親が兄と同居していて、別居している弟がいたとします。こういったケースはあるでしょう。しかし、父親が亡くなってしまい、相続が開始となった場合、法で決められた相続人は、父親と同居している兄と、別居している弟の2人になります。
遺言書が残っている場合は、遺言書にそって相続すると思いますので、トラブルになることはあまりないかと思いますが、遺言書がない場合は、トラブルになるケースがあります。
というのも、遺言書がないと、そもそも財産がどれくらいあるかわからない場合があります。しかし、同居していた兄は、財産の全容を知っているかもしれません。もしくは、同居していたので、父親が亡くなる前に、財産を受け取っていた可能性もあります。
そのためか、通帳を見せてほしいと兄に頼んでも見せてくれないことも考えられます。そうなると、財産を自分がどれくらい相続できる権利があるかどうか、そもそも知ることができません。兄だけが父親から財産をもらっていたとしたら、財産の総額も変わってきますし、当然遺留分の額も変わってくるはずです。
だいたい、兄だけが財産の内容を知っていて、通帳の内容も知っているのに対し、弟ができないのは、同じ相続人の立場であるにも関わらず、おかしいことですよね。
しかし、兄が弟に財産のことを教えないのであれば、このまま弟は何もできないのでしょうか?対等な立場の相続人であるので、財産である通帳の中身を確認する必要はありますし、できるはすです。
このような場合は、相続人であるならば、銀行窓口に出向き、開示するように要求することができます。もし、銀行の窓口で、兄である相続人と一緒でないとできないと言われたとしても、あきらめなくてよいのです。過去に最高裁判所で、1人での開示は可能という判例があります。
最近は、個人情報の問題等で、銀行がなかなかそういった要求に応じてくれない場合もあるかもしれません。そういう場合は、費用がかかりますが、弁護士などの専門家にお願いすると、父親の財産を知ることができます。
銀行などで、開示請求をする場合は、自分が相続人であることを証明する戸籍謄本が必要となります。運転免許証などの身分証などで本人確認をすることによって、父親の銀行口座の過去の取引履歴を開示してもらうことができます。
多額の引き出しがあった場合、何に使ったまではわかりませんが、父親が兄に、亡くなる前に金銭を与えたことがわかる可能性もでてきます。
もし、兄がもらったことが判明すれば、それは特別受益になる可能性も出てきます。そうなると、相続財産の分割金額も変わってきます。
血のつながった兄弟でも、、どうしても同居している方の子供は、日々親と接しているために、知らない間に、財産をたくさんもらっているということは、よくあることなのでしょう。認知症でなくても、日常生活費をすべて親が出している場合もよくあることで、別居している子供と、いざ相続となると、兄弟で、相続する財産でもめてしまいかねません。なるべくなら、親が生前に、そういった財産の話し合い兄弟にしておくことがトラブルを防ぐことになるかと思います。
相続争い??
相続が開始されると、相続人の間で、どのように相続財産を分割するかということで、トラブルになってしまうことは、残念ながら多くおこります。
少しでも自分がたくさんの財産を欲しい。。欲が理性を上回ってしまうと、いわゆる争族となってしまうのです。血がつながった兄弟姉妹でも、関係なく、、財産争いはおこります。兄弟がつながった土地を分割して相続し、家が隣になったにも関わらず、いっさい口もきかないということも、地方に行くと、聞こえてきたりします。
相続人が1人であれば、当然分割というものがないので、トラブルになることはありあせんが、相続人が複数人いる場合は、相続財産を平等に分割するのは、むずかしいことです。相続財産が金銭だけなら、平等に分割することもできるかもしれませんが、マンションなどの不動産が相続財産の場合、誰か相続するか、それとも売却して現金で分割するかなど、、なかなか意見がおりあわず、トラブルへと発展してしまう場合があります。
こういうふうにならないためには、どうすればよいのでしょうか?
やはり、マンションなどの不動産など、多額の財産がある場合は、被相続人が争族にならないように、手をうつべきでしょう。遺言書に、相続人の間で、差が出ることのないようにすることや、亡くなる前に、相続人となる人に、財産について伝えておくことは、とても重要なことです。
もし、兄が、両親と同居し、介護をしていたのであるならば、土地と建物は、そのまま兄が住めるように兄が相続することとし、弟は、両親の介護などしておらず、自由に暮らしているので、現金を少しもらえればよい・・・など。事前に話合っておくことがとても大切です。
亡くなる前に、亡くなった時のことを話すことは、ちょっと、、、と思われるかもしれませんが、被相続人が亡くなってしまったら、どうすることもできなくなります。
また、上記のように、同居していて両親の介護をしている相続人が、他の相続人よりたくさん相続財産をもらってあたりまえみたいな態度で、相続開始のときにしてしまうと、他の相続人は、財産目的で介護したのではないかと、それはそれでトラブルになってしまうかもしれません。
そのため、やはり、被相続人は、争族とならないために、事前に、相続をどうするのかを相続人に話すことと、相続人はどういう希望があるのかなどを、お互いに話しておくことがとても重要なことです。
もし、それでも、被相続人が亡くなって、相続が開始されたとき、トラブルがおこってしまったら、そこから逃れたいのであれば、相続の放棄をするしかありません。相続の放棄は、相続人が単独で、被相続人の住所がある管轄の裁判所で手続きをおこなうことができます。
マンションなどの不動産が相続財産としてあったとしても、銀行からのローン残債がたくさん残っているかもしれません。また、マンションも、立地によっては、経営がむずかしくなることもあります。放棄すれば、マイナス財産も放棄することになります。
放棄すれば、当然遺産分割協議にも参加する必要はありません。
もしくは、自分がもらえる相続分が少なくなってしまった場合は、遺留分を請求することもできます。その場合も、専門家である弁護士に依頼すれば、費用はかかりますが、プロなので、自分が争いの渦中に加わることなく、解決してくれるかと思います。
親が亡くなったときに、悲しむのではなく、財産争奪戦を繰り広げるようでは、親がせっかく残した財産が仇になってしまいます。
そうならないためにも、相続がおこるまえから、みんなが納得するように話し合っておくことが重要かと思います。
寄与分
寄与分という言葉を聞いたことはありますか?
寄与分というのは、被相続人が亡くなる前に、被相続人の財産の維持や増加に関係することに貢献した相続人がいる場合、ほかの相続人とのバランスをとるために定められた制度です。民法904条の2で定められています。
簡単にいうと、財産に貢献したから、その分を相続財産にプラスするよ。。みたいな感じです。
遺言書には、財産分与について書かれていて、そのとおりに分割するのが一般的ですし、遺言書がない場合は、法にしたがって、相続財産を分割することになります。
しかし、この法にそって、相続財産を分割しても、不公平感が出る場合もあります。
どういうことかというと、相続財産を減らないように維持したり、もしくは相続財産を増やした相続人がいたとします。もし、この人がいなかったら、相続財産がもっと減っていたかもしれませんし、たくさん増えなかったかもしれません。
ここで寄与分がでてきます。つまり、財産の維持もしくは、増加に貢献した人は、その努力を認め、相続財産をその努力分に対してプラスしましょう。というのが、寄与分です。
でないと、何もしていない相続人と同じ相続財産を受け取ったならば、その努力はなんだろう??ってことになりませんか?
ですので、民法では、この寄与分という制度を定めているのです。他の相続人も財産が増えたのであれば、相続財産も増えているはずですから。
では、相続財産を維持したり、増加されることに貢献したというのは、どんな場合が考えられるでしょうか?
例えば、被相続人が、亡くなる前に事業をしていて、その相続人がその事業を維持したり、発展させたりした場合などが考えられます。
他には、被相続人に対し、生活の面倒をみたという場合や病気の際に、看護をおこなった場合なども寄与分として認められます。
つまり、被相続人が亡くなる前に、相続財産を減少させないように維持したことによって貢献した人に与えられる権利なのです。
ただ、何らかの貢献をしたとしても、結果的に財産の維持や増加とはならなかった場合は、寄与分としては認められないのです。
この寄与分ってむずかしいですよね。事業を手伝い成長したなら、わかいやすいですが、生活の面倒をみた場合は、面倒をみる相続人は、金銭の管理をきっちりして証拠を残しておくことが重要かと思います。