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遺言書のポイント
遺言書には法で定められたルールがあり、それに従わないと無効になってしまいます。
遺言は、普通方式が3種類あり、特別方式が2種類あり、合計5種類の方式があります。特別方式は、特別な場合で、普通方式には自筆証書遺言と公正証書遺言と秘密証書遺言があります。
自筆証書遺言は、民法968条に規定されていますが、遺言者が、遺言の全文と日付と氏名を自書し、押印しなければなりません。自分の財産を誰にどのくらい与えるかという内容を書くことになります。しかし、1つでも不備があれば、遺言書の効力がなくなってしまうので、注意しなければなりません。
遺言書の記載する内容に、遺言事項という項目があります。この遺言事項は、大きく3つに分けられます。1つ目は、相続および財産処分に関することで、2つ目は、身分に関することで、3つ目は、その他です。
自筆証書遺言は、パソコンの使用はできません。すべて自筆でなければなりません。決められた形式の用紙に書くわけでもないので、自分の財産を誰にどれくらい分けるかを書くだけではありますが。
また、この自筆証書遺言は、遺言書の中身を相続人が勝手にあけることは許されません。
被相続人が亡くなった後に、遺言書を発見した場合は、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。このルールを守らないと、罰則があるので、注意が必要です。
そのことが心配な場合は、遺言書を公正証書遺言にしておく方がよいでしょう。公正証書遺言は、公証役場で遺言を公正証書としてくれるため、被相続人が亡くなった後に、家庭裁判所で検認をおこなう必要もないですし、そもそも公正証書であるため、遺言としての効力がなくなるような不備が発生することはありません。
遺言書を作成するときのポイントとしては、
1.遺言書はすべて自筆で書くこと
2.作成した日付を書いておくこと
3.氏名を書いておくこと
4.印を押すこと
5.公正証書にしておくこと
以上が大事なポイントとなります。
マンションなどの不動産が財産としてある場合、特に都会のマンションであれば、高額の財産となります。相続税も支払わなければならないでしょうし、残された相続人は必要書類もたくさん書かなくてはならないし、心身共にとても疲れると思います。遺言書で、相続人が財産分割においてトラブルにならないように準備しておいてあげることは、とても重要な事かと思います。
相続の順位
被相続人が亡くなり、相続は開始となります。その場合、法的に有効な遺言書があれば、その遺言書にそって、相続がすすむこととなります。遺言書がない場合は、法で定められたとおりに、相続をすすめることとなります。
民法では、相続人になれる人と相続人になれる人の順位を定めています。
まず、どんなときにも相続人になる人は、配偶者です。ですので、順位には含まれていません。順位は、配偶者以外が決められています。
第1順位は、被相続人の子である、直系卑属となります。直系卑属というのは、子・孫・ひ孫のように直系でつながった血族のことをいいます。ですので、子が亡くなってしまっていない場合は、代襲相続といって、子の子、つまり被相続人から見て孫となります。その孫がいない場合は。。。と続きます。
第2順位は、被相続人の親にあたる人で、直系尊属となります。直系尊属というのは、父母・祖父母・曽祖父母・・・のように直系でつながった血族の先祖側の人のことをいいます。もし、被相続人の両親が既に他界している場合は、被相続人から見て祖父母にあたる人となります。
第3順位は、被相続人の兄弟姉妹となります。兄弟姉妹が亡くなってしまっている場合はその子になります。被相続人から見て、甥や姪にあたる人です。
このように、民法で、遺言書がない場合にも、財産を受け取る順位を定めています。法での定めがないと、財産の分割は決まらないかと思います。定めがあっても、トラブルはおこるのですから。マンションのような不動産が財産にあると、受け取る順位が決まっていても、分割となると、いろいろむずかしい問題が出てきます。そういう場合は、まず、マンションの査定をしてみることをおすすめします。
財産の使い込み
相続財産を被相続人が亡くなる前と後に同居している相続人が使い込んでしまっていたら、どうすればよいのでしょうか? 遺言書があれば、遺言書どおりにすればよいですが、なかった場合は困りますよね。
まず、相続前、つまり、被相続人が亡くなる前に、一緒に住んでいる相続人となるはずの家族が、被相続人の財産を使ってしまうケースはけっこうあるかと思います。しかし、そのことを本人に指摘しても、被相続人に頼まれたからなど、なかなか認めないことが多いと思います。ですので、本人が使っていないと主張していたとしても、明らかに使っていると判断できる場合は、銀行の取引履歴を確認し、引き出した場合などについて使用理由を確認する必要があります。
もし、これで確認ができた場合は、勝手に使った人は、家族でも不法行為となりますし、不当利得返還請求を被相続人から請求されることになります。また、当然、相続財産も減りますし、使った金額が、他の相続人の財産を侵害している場合は、他の相続人に対して返還する必要も出てきます。
しかし、使ったことを確認できても、被相続人の意思で使用したとして認めないケースもあるかと思います。被相続人に確認することもできません。こういった場合は、いろいろメモなどの証拠を探さなければなりませんが、むずかしいかと思います。返してもらうことがむずかしいならば、その金額を特別受益に該当するとして、財産から減らすなどのことができるかもしれません。
また、相続が開始されたにも関わらず、被相続人と同居している相続人が、使ってしまった場合はどうすればよいでしょうか?
基本的には、相続が開始されると、被相続人の銀行口座は凍結させなければいけません。というのも、被相続人の財産は、相続人の共有財産なので、相続人の誰かが勝手に使うことはできないはずです。にもかかわらず、使われてしまった場合は、こちらも不法行為・不当利得として、返還請求もしくは損害賠償をすることになります。
同居している相続人がいる場合は、一緒に生活しているので、正直線引きがむずかしい部分もあるかと思います。かといって、多額の金額を使い込むのは、やはり問題があります。そういう場合は、まず話し合いが必要でしょう。