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相続税の申告方法
相続税を支払う人は、相続した人のうち、約1割未満の人なので、誰もかれもが支払う義務があるわけではありません。相続財産について計算した結果、相続税が発生することがわかったら、相続開始から10か月以内に、税務署に申告し納税しなければなりません。
申告先は、被相続人が亡くなった際に住んでいた住所地を管轄している税務署です。また、申告は、相続人各自で提出するのではなく、相続税の申告書に、相続人の全員の署名と押印があればよいです。
ただし、遺産分割協議の際に、相続人同士で、関係がこじれる場合も考えられるので、必ずしも、全員が一緒に提出しなくてもよく、その場合は、各自で提出すればよいことになっています。
また、マンションなどの不動産が財産に含まれている場合など、相続税の特例などもあり、評価することや計算がむずかしくなる場合は、税理士などの専門家にお願いするほうがスムーズにすすみます。
ただし、そこまで多額の相続財産があるわけでもなく、不動産も、被相続人が居住していたものであれば、自分で申告することは、それほどむずかしいわけではありません。
相続税の申告書は、第1表から第15表まであり、全部で20種類の申告書と付表があります。もちろんすべての表に記入が必要ではなく、自分が該当するところのみ記入すればよいです。
例えば、生命保険に関する受け取りがある場合は、第1表の申告書と第9表の生命保険の明細を作成すればよいということになります。
申告用紙は、最寄りの税務署で手に入れることもできますし、インタネットでも入手可能です。
相続税の申告期限
被相続人がなくなると、相続が開始となるのは、何度もお話ししたとおりです。その場合、被相続人が亡くなった所在地を管轄している税務署に申告する必要があります。
相続税の申告期限は、相続が開始となってから10か月となっているのですが、この期限のことを申告期限とよんでいます。
申告期限を過ぎてしまうと、重加算税というペナルティーを課される場合があるので、注意しなければなりません。
相続というのは、被相続人が亡くなると同時に開始されるため、被相続人のお葬式の手配や遺品整理など、体力的にも、精神的にもとても大変です。にもかかわらず、被相続人の財産を相続人で分割協議をすすめないと、相続税の申告期限に間に合わない可能性もでてきます。特にマンションなどの不動産が相続財産を占めている場合は、売却しなければ、相続税を払えない場合もあるでしょう。遺産分割協議で話し合いがまとまらなかったら、家庭裁判所に調停の依頼を申込みしなければなりません。また、申告の手続きを行うには、たくさんの必要書類があります。もちろん、遺産分割協議書も作成しなければなりません。
ですので、相続税を払わなければならない可能性があり、相続財産がマンションなどの不動産で、相続人との分割協議が難航しそうに感じた場合は、すぐに税理士にお願いするのがよいでしょう。
例えば、被相続人が1月20日に亡くなった場合の申告期限は11月20日となります。もし、この日が土日や祝日にあたり、役所がお休みの日に当たった場合は、翌日が期限となります。
申告は、申告書を直接税務署に提出しますが、郵送でも可能になっています。郵送の場合は、消印の日が提出日として扱われます。郵送で提出する場合は、紛失などを防ぐため、簡易書留を利用するのがよいでしょう。
申告期限は守らなければ、ペナルティーがあるとお話ししましたが、相続人に異動があった場合は、期限を延長することができます。例えば、相続人の排除などにより、相続の権利を失った人が発生した場合などです。また、遺留分の減殺請求や遺贈に関する遺言書を発見した場合なども延長が認められます。
基本的には、延長はできないので、相続財産が多い場合は、やはり税理士に依頼するほうがよいでしょう。また、相続財産にマンションなどが含まれる場合は、事前に査定などを受けて、どれくらいの価格などかを調べておくと、売却しなければならなくなったときの、目安になると思います。
相続税法
日本は、法治国家なので、いろいろな法律があります。相続税は、税法のうちのひとつです。ですので、相続税はこの相続税法にしたがって手続きすることになります。
また、この相続税の支払い義務が発生するのは、人が亡くなるときです。ですので、心身ともに疲労がいっぱいのときに、手続きをすすめなくてはならないのです。
そういう場合は、すぐに専門家である税理士に依頼するほうがよいでしょう。しかし、相続税法がどういうものかを、事前に知っておくことで、いざ、相続が起こった場合、何も知らないより、負担は軽くなるかと思います。
相続税法は、昭和25年につくられました。その後、日本は高度成長期を迎え、経済も家族の形態も大きく変化しましたよね。ですので、そういった社会の変化や情勢にあわせて、何度も法の改正がおこなわれています。相続税法は71個の条文に分けられています。
総則からはじまり、罰則に終わります。最近は、相続をわかりやすく説明した書籍もたくさん出版されているので、もし相続財産がたくさんある人の相続人になる可能性が高いと思う人は、事前にそういった書籍を読まれることをおすすめいたします。
また、現金・預貯金などは、その金額が変わるわけでなく、財産額もそのままですが、マンションなどの不動産や会社経営されている場合の自社株が相続財産になる場合は、事前の対策がとても重要となります。むずかしい場合は、税理士などの専門家にお願いすることになるかと思いますが、基礎知識だけでも知っておくだけでも、相続がおこったときには、慌ててしまうことはないのではと思います。