遺言信託と遺言代用信託・相続税の支払い方を解説

遺産相続の基礎知識

遺言信託と遺言代用信託


信託という言葉はご存知でしょうか?
信託とは、自分の財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って、大切な人や自分のために運用・管理してもらう制度です。
銀行にも信託銀行と、信託という言葉がついた銀行がありますよね。この銀行は主に信託業務をおこなう銀行です。

では、遺言信託と遺言代用信託とはどういうものでしょうか?
遺言代用信託は、自分の遺産をが生きている間に、自分が指定した人が銀行などに預けた預金を引き出せるようにできるすることです。
被相続人が亡くなると、通常は、相続人が勝手に被相続人の財産を引き出すことができないように、銀行口座を凍結させます。
そうすると、お葬式の費用などが必要であっても、被相続人の銀行口座のお金を引き出せないため、困ってしまうケースが起こる場合があります。
しかし、被相続人が遺言代用信託をしていた場合、被相続人が指定した相続人であれば、お金を引き出すことができるのです。
遺言代用信託は、相続人である受託者と信託銀行の信託者の間で、契約を取り交わすことで成立します。

では、遺言信託は、遺言代用信託と何が違うのでしょうか?
遺言信託は、被相続人に対するサポートをする制度です。
1つ目は、遺言を作成する際の協力や保管のサポートです。
2つ目は、被相続人の財産を預かることで、財産の管理運用をおこなってくれます。

被相続人が死亡したときには、遺言の執行者として、遺言の内容にしたがって、遺産分割の手続きをおこなってくれます。
ですので、遺言信託は、遺言の作成・遺言の手続きをすることが目的で、遺言代用信託は、財産を預けて運用をしてもらい、被相続人がなくなった際には、指定した相続人が、スムーズにお金を引きだすことができることを目的としています。
また、遺言代用信託は、現金のみの取り扱いで、マンションのような不動産や株などの金融資産は対応してもらえません。
また、相続税の申告や、被相続人の確定申告なども対応してもらえないため、依頼する場合は、専門家である税理士にお願いすることになります。

相続対策


被相続人が亡くなると、マンションなどの不動産が財産に含まれるなど、一定の範囲を超えると、相続税を支払わなければなりません。
被相続人が亡くなった後に、相続税の減額や納税方法などを、10か月後の納付期限までに検討する必要があります。
マンションなどの不動産が、はじめに検討すべき財産です。というも、評価方法によっては、評価額に違いが出てくることがあるからです。
不動産の評価額は、土地の場合、時価で評価することとなっています。
市街地の場合は、路線価方式で評価し、市街地以外は、倍率方式で評価することとなります。
よくわからない場合は、税理士に相談してみるのがよいでしょう。
また、納税方法も、いくつか方法があります。
相続税の納税は、原則では全額を現金一括で支払わなければなりませんが、財産がマンションなどの不動産の場合、財産はあっても、払うべき現金がない場合もたくさんあります。マンションを売却しない限り、支払うことができないということもおこります。それでは、生活に支障をきたしてしまいます。もし財産がマンションで、相続人も同居していたのならば、住むところも失いかねません。
そういう場合は、延納という、分割して支払うことができます。
ただし、延納については、税務署が認めた場合になりますので、延納申請書を提出することが必要です。
延納が認められても、相続税の分割納税となると、その分の利子も発生します。
申請時期によって利率が異なるので、必ず確認してから手続きをしてください。

延納は、現金を支払うことを延長することですが、相続財産が不動産の場合は、売却しないかぎり支払うことができません。
そういう場合は、物納といって、現金の代わりに土地を納めることができる場合もあります。こちらも税務署が認めた場合になります。
また、自分で相続税を計算して納税した場合、間違って申告することもあります。あとで、払い過ぎがわかった場合は、還付申請をすることができます。
マンションなどの不動産が相続財産の場合、相続税がかからない範囲を超える場合もでてきます。
相続税を支払う可能性が高い場合は、相続が専門の税理士に相談することをおすすめします。

 

ヘソクリも相続財産?


被相続人が亡くなったときに、相続が開始となりますが、いわゆるへそくりはどのように扱われるのでしょうか?
夫が稼いで、妻が専業主婦だとしても、夫が稼げるように妻がサポートしているわけであって、夫名義の財産であっても、夫婦の財産であるともいえます。
また、妻が夫に渡されたお金で家計に担っている場合、上手にまわして、いわゆる「へそくり」をためることはよくあることです。
本来、お金には色も名前もついていないので、本質的には、家にある現金なのですが。。
しかし、その現金を実際に稼いできたのが、夫である限り、これは夫の財産とみなされてしまう場合が多いのです。。
妻の財産として認められるのは、結婚する前に持っていた財産や妻の親から引き継いだ財産などです。また、妻が働いて、収入を得ていた場合は、それに相応する分は認められます。
ただし、妻に対する相続税の配偶者控除も大きいので、そのあたりで、夫婦の財産は配慮されているともいえますよね。