相続人が行方不明になったらどうする?相続の排除と預金の名義

遺産相続の基礎知識

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行方不明


行方不明というのは、本人の意思によって失踪した場合、もしくは、事故・災害・犯罪などの外的要因によって、所在・安否が不明になっていることをいいます。

行方不明者が、長い間見つからない状態が続き、生死も不明な場合が、悲しいことに多く存在しています。
東日本大震災では、いまだに行方不明のまま見つからない人がいます。

行方不明者が相続人であることは当然ありえます。
相続人のなかに、行方不明者がいると、全員参加が必要な遺産分割協議もひらくこともできず、相続がすすまなくなってしまいます。

そのため、民法では、行方不明者が一定期間いなくなった場合、失踪宣告ができることになっています。
失踪宣告は、不在者の生死が7年間明らかではないとき、震災などによって死亡の原因となる危難に遭遇して、その生死が1年間明らかではないときは、家庭裁判所に申し立てすることになります。

失踪宣告は失踪した不在者の利害関係者がおこなうことができます。利害関係者というのは、不在者の配偶者・相続人・財産管理人・受贈者などの法的に、利害関係がある人です。
申し立ては、不在者の住民登録がある管轄の家庭裁判所でおこないます。

申し立てするには、必要書類を準備しなければなりません。
まず、申立書は裁判所にあります。そして、不在者の戸籍謄本・戸籍附票・失踪を証明できる資料・申立人の利害関係を証明できる資料をすべて1通ずつ準備します。必要に応じて、家庭裁判所から別の書類の提出を求められることもあります。
申し立ての費用については、官報広告料として4298円と申立書に貼る収入印紙が800円必要となります。また、連絡用の郵便切手が必要となりますが、料金については、家庭裁判所で確認してください。

上記必要書類と費用を家庭裁判所で手続きすると、裁判所が調査を行います。そして、申し立てをおこなった不在者のことや不在者の生存について知っている人は届け出するように、一定期間、官報等で催告をおこないます。この催告は、普通失踪の場合は、3か月以上おこない、危険失踪の場合は、1か月以上おこなうことになっています。
この期間中に、不明者の生存を確認できないと、失踪宣告がおこなわれます。
その宣告がおこなわれてから、10日以内に、不在者の本籍地もしくは、申立人の住所地がある市町村の役所に、失踪の届け出をする必要があります。
失踪宣告がおこなわれると、不在者は生死が不明になったときから、7年経過したときに死亡したとみなされます。
そうなると、不在者は亡くなったこととなり、相続が開始されることになります。

もし、失踪宣告した後に、不在者が生還した場合は、不在者本人もしくは利害関係者が家庭裁判所に、失踪宣告を取消することができます。
その場合、相続した財産は返還義務が生じることになります。

相続の廃除


相続が開始され、遺言書がない場合、基本的には、法定相続人が相続することになります。
しかし、被相続人が、何らかの理由によって、相続させたくない場合もあるかもしれません。
そういった場合、相続人としての権利をなくすために、家庭裁判所に申し立てができます。

権利をなくすために手続きすることを廃除といいます。被相続人が亡くなる前に、家庭裁判所に廃除の申し立てを行います。
認められた場合には、廃除することができます。
廃除された相続人は、被相続人の子であっても、相続することはできません。

ただし、被相続人が自分の財産を自由に処分できることは、民法でも尊重されていますが、理由もなく、どんな場合でも廃除できるわけではありません。
裁判所に認められるのは、例えば、被相続人に対し、虐待をおこなっていたり、重大な侮辱をしていたり、暴力や非行をおこなっていたりすることなどがあげられます。
他には、被相続人の財産を勝手に使い込みしたり、処分したり、被相続人の名義で借金を作ったりなど、浪費や犯罪行為をおこなったりして、被相続人に迷惑をかけた場合などもあげられます。
ただし、家庭裁判所がそういった行いを調べ、被相続人は、証拠の提出などをおこない、慎重に審議されたうえで、はじめて廃除が認められます。
被相続人が重大な被害を被ったなどという証拠がなければ、廃除の申し立てが認められることは、むずかしいというのが現状ではあります。
遺言があっても、相続人の場合は、遺留分があるので、まったく財産を残さないということは、むずかしいです。

廃除できる制度があったとしても、実際に廃除をすることはむずかしく、また、認められるまでもかなり時間がかかってしまいます。

名義預金


名義預金という言葉を知っていますか?
名義預金というのは、形式的には家族の名前の名義の預金口座となっていても、実質的な名義所有者は、他にいる場合の預金口座のことをいいます。
例えば、家族の中で収入を得ているのは、夫だけだった場合、その夫が得た収入を、収入を得ていない、妻の名義の口座に預金をしたり、子供の名義で預金をしたりすることはありますよね。
こういう預金口座のことを名義預金といいます。
銀行口座の名義は、妻や子の名義になってはいますが、もし夫が亡くなってしまった場合、このような口座にある財産は、夫の財産として扱われます。
つまり、名義が収入を得ている夫以外になっていても、その名義の財産は、夫の相続財産になるのです。
例えば、収入を得ていない妻が、妻名義のマンションなどを購入すると、収入を得ている夫からの贈与と見なされてしまう場合があります。
名義預金は、名義を家族にしただけでは、贈与税とはなりませんが、相続がおこった場合は、名義が家族ものでも、結局は夫の財産として扱われてしまいます。
夫の財産が多い場合、税務署から税務調査が来ることがあります。このようなときには、必ず家族名義の口座も対象となります。もし見せなかったとしても、税務署は、税務をおこなう職権上、預金口座の金額は調べることができるので、隠さない方がよいでしょう。

妻が収入を得ていないにも関わらず、妻名義の預金口座に預金があると、その預金は夫の財産となることは忘れてしまうかもしれません。
しかし、税相続財産が多く、相続税を支払わなければならない可能性がある場合、すべての財産を確認する必要があります。複雑になる場合は、税理士などの専門家にはやめに依頼するほうがよいでしょう。
相続税に関する知識があまりない一般的な人が、税務調査を受けると、税務署の判定に対して異議などを言うこともむずかしいでしょう。ですので、税務調査などのときは、相続に強い専門家に依頼して、立ち会ってもらう方がよいでしょう。

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