未成年が相続人のケースと自筆証書遺言と配偶者の贈与税控除について

遺産相続の基礎知識

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未成年が相続人の場合


相続が起こったときに、相続人が未成年であることもあります。未成年であっても、当然、相続の権利はあります。
ただし、未成年者の場合、原則、単独で法律行為ができないため、代理人が必要となります。
旅行の申し込み・スポーツ教室の参加・クレジットカード作成・携帯電話の契約、、、いろいろと申し込みすることがありますが、その場合、保護者の同意が必要となっていますよね。

同じように、未成年は、相続する場合も、単独ではできないため、代理人を立てることが必要となります。クレジットカードの作成時は、親が代理人になれますが、遺産の相続の場合、親を代理人とすることはできなくなっています。なぜなら、親も相続人であることが多いため、法律上、利益相反行為とみなされるからです。そのため、親とは別に特別代理人を選定する必要があります。基本的には、利害関係のない人を代理人とすることがよいとされていますが、相続権のない祖父母や叔父・叔母などが代理人になることもあります。
もちろん、費用はかかりますが、弁護士などの専門家に依頼することも可能ですし、まったく利害関係がないため、その方がよい場合もあります。
ただし、特別代理人は、家庭裁判所に申し入れをして家庭裁判所が選定することになります。

未成年者が相続した場合、一定の条件を満たしていれば、未成年者控除というという相続税の税額控除を受けることができます。未成年者が20歳になるまでの年数×10万円が控除されます。
また、当然、未成年者であったとしても、相続財産がマイナスの方が多ければ、放棄することもできます。この場合も、特別代理人が家庭裁判所に、相続を知ってから3か月以内に、手続きしなければなりません。
ただし、親子が一緒に放棄の手続きをする場合は、特別代理人を選任しなくてもかまいません。
未成年が相続人となる場合は、被相続人の銀行口座を凍結解除する際も、特定代理人が必要です。
名義変更の手続き方法は、事前に銀行に問い合わせたうえで、おこなうようにしてください。

自筆証書遺言


遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。公正証書遺言は、公証役場で手続きをおこなうため、被相続人が亡くなった後に、遺言書が見つかっても、検認の必要はありません。しかし、自筆証書遺言は、被相続人が亡くなった後に、見つかった場合、勝手に開封することは許されず、公証役場で検認が必要となります。

ただ、自筆証書遺言は、作成するときに、公証役場に行くこともなく、自由に自分で作成したいときに作成することができます。そのため、費用もかかりません。作成後に、変更したくなったら、いつでも変更することができます。
簡単にできる分、無効になる可能性もあるため、民法で定められた書き方を確認したうえで、作成することが大切です。
自筆証書遺言は、自筆なので、PCなどを使用して作成すると無効になってしまうため、注意が必要です。また、代筆や映像や音声よって作成することも認められません。遺言書の内容すべてを自筆で書く必要があります。きれいな字である必要はありませんが、読むことができない判読不明な字で書くと、相続人が困るので、読めるように丁寧に書くようにしてください。
すべてを自筆でしか認めないことにしているのは、偽造や改造を防ぐためです。

遺言書に書くことを忘れてはいけないのが、作成した日付です。年月日は必ず記入してください。ときどき吉日と記入する人がいますが、吉日だと日付が確定できないため、無効になってしまうので、注意してください。そして、署名・捺印も忘れずにしてください。印は実印の方が安心でしょう。
遺言書の内容についてですが、マンションなどの不動産を記載する場合は、住所を特定できるように、登記謄本に記載されているとおりに正式名称で書いてください。
また、銀行預金の預け先である金融機関を記載する場合も、銀行名・支店名・預金の種類・口座番号までしっかりと書いてください。
自筆証書遺言は、公正証書遺言に比べて、簡単に作成することができますが、自由な分、民法で定められたルールを守らないと、効力がなくなってしまうので、注意が必要です。

配偶者への贈与税2000万円控除

財産を無償で贈与すると、贈与税がかかりますが、基礎控除があるため、1年間に無償贈与した金額の合計が110万円までであれば、贈与税の申告と納税はする必要はありません。

また、夫婦間での財産の受け渡しについては、基礎控除にプラスして、最大2000万円まで控除することができます。

ただし、次の5つの条件をクリアしていなければなりません。
1.夫婦間の婚姻期間が20年をすぎていること。
婚姻期間とは、市町村役場に婚姻届を提出してからの期間をいいます。当然ながら、事実婚などは認められません。

2.無償譲渡した財産が、国内の居住用不動産もしくは、国内の居住用の不動産を取得するための金銭であること。
例として、夫が自分の死後のことを配慮し、自宅の敷地と建物を妻名義に変更するという場合などが該当します。

3.居住用不動産を無償で譲渡された場合、譲渡された年の翌年の3月15日まで居住することと、それ以降も居住する見込みがあること。
これについては、不動産を所有したとたんに、譲渡することがないようにするためです。

4.過去に贈与税の配偶者控除を受けていないこと。
当然ですが、配偶者控除を受けられるのは、1人の配偶者から1回限定です。仮に、2000万円ではなく、控除額にあまりが出たとしても、残額を利用するなどはできません。

5.税務署で贈与税の申告をおこなうこと。
この贈与税の配偶者控除は、特例として設けられた制度であるため、税務署に必要書類を添付したうえ、申告する必要があります。申告する期間は2月1日から3月15日までとなっているので、忘れずに申告することが必要です。

以上の要件を満たすことで、控除を受けることができます。
ただし、贈与を受けた配偶者が先に亡くなってしまった場合は、相続財産が増えることになってしまいます。。また、名義変更した場合の不動産取得税や登録免許税は、相続に比べて高くなってしまいます。
そのため、この配偶者控除を利用する場合は、メリットがあるかどうかシュミレーションすることが重要です。

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