マンション売却を考えた場合、まず気になるのはいったいいくらで売却できるのか、という事でしょう。まだローンが残っているという場合には、売却後にローンが返し終わるのかも気になるところです。マンションを売却する際には入ってくるお金だけではなく、出て行く費用もかかりますのでその費用の方も気になりますね。
今回はキックバックに関して見ていきたいと思いますが、これは必ずかかる費用ではありません。マンション売却時にはどんなことに注意したらいいのか見ていきながらキックバックについて考えてみたいと思います。
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マンション売却時の費用・リフォームに絡むキックバックとは?
そもそも、キックバックとは何でしょうか?
電動で動くのこぎりのチェーンソーが材料を切る際に硬い部分にあたったりして跳ね返ることを指すようですが、それから転じて、支払ってもらった代金などの一部をその支払ってくれた人に返すことをキックバックといいます。また、それとは別に、手数料、世話料、賄賂の意味でも使われるようです。
では、マンションを売却する際に考えられるキックバックとはどんな場合が考えられるのでしょうか?
マンションを売却する前には、それなりに費用をかけてきれいにリフォームした方が高く売却出来るのか、それともしない方がいいのか、悩む方も多いでしょう。
「知り合いに安くて腕のいい業者がいるので、その業者に見積もりを取らせましょうか」
悩んでいるあなたに、不動産会社の営業が声を掛けます。
確かに汚れや老朽した箇所が目立つマンションは売却しにくいかもしれません。しかし、水回りを新しくしたり、壁紙を張り替えたり、部屋全体をきれいにクリーニングしたりなど、費用をかけたらきりがありません。その掛けた費用が回収出来る分だけマンションが高く売却出来ればいいのですが、その保証はありません。
もしも、不動産会社の営業が強引にリフォームを勧めたり、クリーニング業者の紹介を熱心に勧めたりするようでしたら、ちょっと用心してみた方がいいかもしれません。
営業担当者が熱心に業者を紹介しようとするのには、マンションを高く売却したいという理由以外に何か他の理由があるからかもしれません。知り合いのリフォーム業者やクリーニング業者に仕事を紹介する見返りとして、それらの業者からキックバックを受取るための強引な勧誘かもしれないからです。
次は、担当者ボーナスともいわれるキックバックについて見てみましょう。
マンション売却時の費用・担当者ボーナスといわれるキックバックとは?
不動産会社にマンション売却の仲介をお願いした場合、媒介契約を結びます。この時点では売主側には費用は発生しません。仲介を依頼された業者は、物件を買ってくれる客を探すために広告を出すなど営業活動をします。無事に売買が成立した後でないとその報酬である仲介手数料は支払われません。この仲介手数料は、マンションの売却価格の3%程度の費用を上限として売主から仲介した不動産会社に支払われる事になります。
マンション売却のための媒介契約を締結してから売買が成立するまでは平均どれくらいかかるのでしょうか?三井不動産トラスト不動産によると、2014年の時点で首都圏では2.5ヶ月、近畿圏では3.3ヶ月、中部圏で4.1ヶ月かかっているというデータが出ています。これはあくまで平均ですので、1ヶ月で売却出来る場合もあれば、6ヶ月以上経っても売却出来なかったりする場合もあるでしょう。
人気のあるマンションはすぐに買い手がつくでしょうし、人気のないエリアのマンションや価格設定が相場より高すぎる場合などは、売りにくくなるかもしれません。人気のある物件は売りやすいので営業する側としてはそちらに力をいれたくなるでしょう。しかし、マンションをすぐに売却したい場合など、他の物件よりも自分のマンションの売却により力を入れて欲しいといった場合に、営業担当者へ売買が成立したら礼金としてボーナスを渡す場合があります。
平均3ヶ月間ほど売却にかかる期間があるとすると、その間にも新しい物件の依頼は入ってくるでしょう。その数ある他の物件よりも優先して自分のマンションの売り込みをして欲しい場合には、担当者がそれで頑張って売ってもらえるのなら、必要な費用だと考える方もいらっしゃるのかもしれません。
マンション売却時の費用・キックバックの背景とは?
このようなキックバックはよくあることなのでしょうか?
大手の企業では内部の規制も厳しいですので、このようなキックバックなどは行われていないのかもしれません。しかし、小さな会社や個人の事業主などでは、昔からの習慣などでこのようなキックバックなどが続いている場合もあるのではないでしょうか。
建材を小売りしている知り合いの社長の話を以前に聞いたことがあります。
その社長はいつも朗らかで知識や話題も豊富。とても営業が上手な方で、通常の建材の販売だけでなく、直接一般のお客さんからリフォームなどの仕事を請け負ったりもしていたようです。いつもニコニコしていて機転の利いた面白い話をしてくれるのですが、ある時大変に機嫌が悪く、何かにひどく腹をたてているようでした。その訳を聞いてみると、こんな事があったのだそうです。
社長の以前からの知り合いで、よくお宅のリフォームを依頼してくれる施主さんがいるらしいのですが、ある大工さんが社長を通さずに直接請け負って仕事をやっていたのだそうです。
今までは社長がリフォームを請け負う窓口になり施主さんの要望を聞いてから必要な業者を手配し、施工が無事終わって代金を回収した後で、紹介料としていくらかを引いて業者に支払うという事をしていたようです。「大工からしてみたら、実際に働いているのは自分でこっちは仕事もしていないのに上前をはねているように見えるかもしれない。でも、自分はガソリン代やその他の費用を掛けて営業して仕事をもらっている。施主の希望通りの仕事をして、その後不具合がないかフォローもしている。施主がもし代金を払えなかった場合のリスクも全部こっちが負担しているのに、あいつは何も分かっていない。」「今まで信頼してきたのに裏切られた」「もう2度と仕事は回さない」と非常に憤慨されていました。
大きな会社ではあり得ないことですが、個人で大工さんなどをやっている場合などは、仲間同士で仕事を紹介しあうといった事が行われます。例えば、施主さんから「和室をリフォームして洋室にしたい」などと依頼された場合、畳を外してフローリングに替えるなどは自分で出来ますが、自分で出来ない内容、例えば壁紙を貼るのはクロス屋に、襖を洋風の引き戸に替えるのはその専門の建具屋に、といった具合に知り合いの仲間と分業して進めていくことになるわけです。個人でやっている場合などは、大手のように広告に費用などはかけられませんから、口コミや仲間の同士の紹介が仕事をしていく上で重要になってきます。
大工さんの中には職人気質で腕はいいけれど口下手でという方も多いので、そのような場合は、社長のように顔が広く営業が上手な人とつながりを持って仕事を紹介してもらう事が必要になってくるのでしょう。
実際のところはどうなのかわかりません。大工さんにしてみれば紹介料を引かれて取り分が少なくなるよりは、直接施主さんから仕事を受けた方が得だと考えたのかもしれませんし、あるいは施主さんが直接依頼した方がてっとり早いからと大工さんに話を持ちかけたのかもしれません。ただ、今後の事を考えると、大工さんが自分で営業して仕事をとり続けるのは大変でしょう。仲間内で仕事を紹介し合う持ちつ持たれつの関係が崩れてしまうのは、今後仕事していく上でも影響があるかもしれません。
どちらが悪いかといわれると難しい問題なのですが、話を聞いていて感じたのは、このような「キックバック」などといった不透明なお金のやり取りは、昔からの商いの慣習などで続いている場合も多いのではないかという事です。昔からそうだからと特に疑問にも思わずキックバックを受取ったり渡したりするような事が行われているのでしょう。
不動産の取引に関しては特に、一度の取引で多くの金額が動きます。投資などでマンションの売買に慣れているという場合を除いては、そう何度も売買取引を経験する事は希です。相場をしらなければ業者の言いなりに価格が決まり、業者の言いなりで不必要な費用まで知らずに払わされている可能性もないとはいえません。マンション売却の際は、物件の相場やかかる費用に関しての知識をよく知ることが必要になってくるのではないでしょう