ご夫婦やご兄弟など共同名義での不動産投資を検討されている方向けの記事です。共同名義でアパート経営を行う場合のメリット、デメリット、注意点を不動産会社スマートアンドカンパニーがご説明します。
弊社のコンテンツを読んで知識を入れていただきつつ、不動産投資の無料面談を受け、共同名義でアパート経営をしたい旨を専門家に相談しながら始めることをおすすめしています。
Contents
アパート経営を共同名義で行うメリット
資金面と税金面のメリット
アパート経営を共同の名義にすることのメリットは、単独の場合よりも資金的な余裕が増えるため規模の大きい投資にも臨むことができる点でしょう。
また、不動産所得が多額である場合は確定申告上のメリットが考えられます。通常、所得税は多いほど税率が課せられる「超過累進税率」方式が一般的ですので、所得が分散されていた方が低い税率になり、減税効果が望めます。なので、事業的規模で賃貸収入が高額になることが予想される場合は、共有名義で確定申告をした方が得策です。
共同名義のアパート経営・デメリットやリスクについて
共同名義の家やアパートを持つことにもそれなりにリスクが伴います。気をつけていれば問題ありませんが、その手の内容を知っていることも大事ですので、いくつかのパターンを押さえておきましょう。
遺産相続が起きたときの問題
共同名義で持ち分配分されているアパートの名義人の一人が亡くなってしまい、遺産相続が起きたときに手続き等で複雑化してしまうことがよくあります。
問題なく特定の方に共有名義の相続が成されれば全く問題はないのですが、親族が多かったことで所有権が細分化されてしまう、という現象が起きてしまうことがあります。共同名義の持ち分を売却処分したいという話が出た場合には、名義人全員での協議と合意が必要になります。
人間関係での問題
相続によって次の代に移行することで、それまでの人間関係、ルールとは全く違う認識になってしまうこともよくある話です。それまで仲がとても良かったとしても、次の代でも必ずしもその関係性が続くとは限りません。新たな利害関係要素が働いて争いが起きてしまうこともあるので気をつけましょう。
不動産売却・処分の時の問題
次の代との間で良好な関係性を保つことが出来ず、やむを得ない理由で共同・共有名義のアパートの持ち分を処分したい、と思った時にも全ての名義人の同意がなくては売却することは出来ません。自分の持ち分だけ売却することは可能ですが、主に土地に限った話になります。ただ、なかなか共同名義となると買い手が現れないのが通常ですので、不動産一括査定サイトを利用して、こうした状況が得意な不動産会社に査定を取ってもらう形が良い策です。簡易の査定ならすぐに結果が出るので、ご自身の持ち分がどういう状況か?を把握しておくのも一つの手です。
夫婦で共有名義が仲違いした時の問題
夫婦で共同名義でアパートを経営していたとして、離婚をすることになった場合にも名義変更等の問題が発生します。離婚時の財産分与の時には名義変更手続きをする必要がありますので、そのままにしておくと良いことはありません。双方の合意・捺印が必要になってきますし、登記の手続き、譲渡所得税も新たに掛かってきますので、早い段階で処理をしていくことをオススメします。
名義人が増えていた場合の問題
共有名義のアパートの場合、自分の持ち分だけ常に把握していれば良いということでもありません。自分以外の共同名義人の状況は定期的に把握しておきましょう。仮に処分や売却をしたいと考えた際に、共有名義人が既に亡くなってしまっていて、相続により名義人が増えてしまっている場合があります。この場合、新しい名義人たちと面識がない状況だと、手続きを進めていくにも大変な手間と労力が掛かります。今の共同名義人が健康で問題が無い状況のときに、もしもの際にことも取り決めておくのが得策です。
名義の共有が難しくなった場合の問題
共同名義人が亡くなってしまい、次の代に相続が行われてしまい、更には自身の考えとは相容れず、勝手に持ち分を売却・処分をされてしまうという最悪の状況も起こり得ます。相続した次の代が金銭的に困窮している場合や、不動産を持っていることよりも現金にしたいという思いが強い場合もあるからです。やはり、早い段階で共有名義人の状況、また、もしも亡くなった場合は、どうする、またその場合はご自身もどういった手続きや形にするという方針を決めておくのが一番上手いやり方です。
たまに、管理が面倒ということで、共同名義人の一人を代表にしてしまっている場合があります。これは、代表の人間が管理人の役割をきちんと遂行していてくれれば問題ないのですが、よくある問題として、貸しているアパートの家賃も取りまとめてしまっている場合があり、そこで得た家賃収入をきちんと分配してこないという問題が起きてしまっているパターンがあります。賃料の分配に関しては、持ち分配分が通常のルールですので、なるべく共有名義人の誰かが代表になることは避けて、第三者の管理人をたてて管理していくようにしましょう。
確定申告上の問題
共同の名義でアパート経営をする場合、確定申告の手間がかかるという問題があります。収入だけではなく経費なども持分に応じて配分し、それぞれが帳簿を付けた上で確定申告する事が必要になります。たとえご夫婦であっても、どちらかがまとめて確定申告する事はできませんので注意が必要です。
共同名義でアパートを経営する方法
共有名義のアパート経営の方法
共同で資金を出し合ってアパート投資する場合
ご夫婦や親子などで資金を出し合ってアパート経営に投資する場合です。不動産投資を始めたいけれど、手持ちの資金が足りない、もしくは、不足してしまっている場合には、ローンを活用して始めるのが一般的です。この時に共同名義でローンを借り入れる選択肢を使うことで、フルで借り入れをせずに共有名義者と分担しながら進めることが可能になります。
所有している共有名義の土地でアパート経営する場合
所有している共有名義の土地をアパート経営に活用するためには、アパートを建てて経営していくのですが、いくつかのやり方があります。
- 共有名義人の方々の土地を全て買い取り、ご自身の単独名義に変更してから、アパートなどを建設する方法
- 他の名義人の持分の土地は借地として土地を借りる形にし、合意の上で建物を建設する方法
- 三つ目、共有名義人の全てが合意の上、共同名義のアパートを建てる方法
共有名義でアパートを建てられれば、一人一人の資金の負担が少ないというメリットがあります。
ただし、土地を買い取るもしくは借りて建設する場合には、建物は共同名義人ではなく単独名義での所有となります。
共同名義でアパート経営する場合の持ち分の分け方
では、土地と建物どちらも共同名義にしたとき、建物の持分はどうやって分ける形になるのでしょうか。また共同名義の建物でアパートを経営したとき、共有名義でアパート経営をする、もしくは不動産投資をする場合、収益をどのように配分したらよいか?にも触れていきましょう。
共同名義で購入したアパートの持ち分は出資額で決まる
共同の名義でアパートを購入した場合、持ち分割合は出資の額で決まります。
一人は2,800万円、もう一方は2,200万円のローンを利用
2,800万円のローンを利用する方の持分:56%
2,200万円のローンを利用する方の持分:44%
確定申告をしていく際もこの持ち分割合で対象額が決まってきます。
月200万円の不動産所得
持分56%:112万円の不動産所得とみなされる
持分44%:88万円の不動産所得とみなされる
負担した資金の割合と持ち分割合が合っていなければ、贈与とみなされる可能性があるので注意しておきたいところです。
共有名義の土地に建てたアパートの分け方は複数ある
共有名義の土地に建てたアパートの持分の分け方を見ていきましょう。
- 土地持分と同じ割合にする
アパートの持分は土地の持分と同じ割合となります。土地を60%持っていたら建物の持分も60%分となります。建物を建設する費用も6割を負担すると考えるとカンタンです。また家賃などの収益も同じ割合で分けるのが通常です。なので、ご自身の予算と組み合わせる中で、どの程度の割合を持つのか?でアパート経営をしていくスタンスも変わります。 - 1部屋ごとに単独所有にする
アパート全体を共同名義とせず、1部屋ごとに単独所有にしていく方法もあります。例えば、301号室〜305号室はCさんの単独所有、501〜505号室はEさんの単独所有とするやり方です。ただこの方法だと、階数によって、人気が高く家賃が高かったり、人が入りやすかったりと不平等になってしまう場合もありますので、気をつけましょう。
共同所有者同士でアパートはどのように所有していくのか?は互いのメリット、デメリット部分が上手くなくなるよう良く話し合って進めていく必要があります。
共同名義のアパート経営では青色申告控除も大事
アパート経営をしていくと、当然ですが賃料収入が入ってきます。このコラムを読んでいただいている方々の殆どが普段サラリーマンや別の職業をしながら収入を得ている方々だと思いますので、税金対策をどのようにしたら良いのか?が大事な要素になって来ます。
最初に考えなくてはならないのは、青色申告控除が可能かどうか?です。青色申告控除で確実に適用を受けたいのは、事業的規模での控除適用です。事業的規模と判断されれば、最高で65万円が不動産所得から控除されますが、そうでない場合は、最高で10万円の範囲になってしまいます。
そこで、自身のアパート経営が「事業的規模」に該当しているかどうか?をまず、確認する必要があります。10室以上賃貸している場合は事業的規模に該当しますが、共有名義の場合は、配分が細かく分かれてしまいます。
仮に、全体が12戸あって、1/2ずつだとすると、単純に考えて6室ですから、該当しないと考えがちです。ですが、事業的規模の判定は物件の戸数で判定されるので、事業的規模として取り扱ってもらえることになります。あとはきっちり帳簿を備える等一定の要件を満たせれば、問題なく65万円の青色申告特別控除が適用されます。
共同名義のアパート経営では事業専従者も含めた申告を
次に大事になることは、専従者がいて給与を支払った場合、これを必要経費に算入することです。仮に、自分の奥さんを青色事業専従者にしたいと考えた場合ですが、注意点がいくつかあります。共同名義も奥さまだとした場合、奥さま自体も共有名義の持ち分を有することになります。その場合、他の共有者の事業の専ら従事したことにならないと判断されてしまうので、事業専従者としてみなされません。この場合は、家族の他の方(父母など)を該当させて事業専従者として申告を行うようにしましょう。
ここでの注意点は、年間を通じて6ヶ月を超える期間、事業に従事しているという形が必要です。なので、自分の持ち分の共同・共有名義分に父母のいずれか事業専従者として該当させた場合は、奥さまの方にも同様に適用するためには、該当させなかった父母の方を該当させて申告を行う必要がありますので、この点だけは気をつけましょう。
アパート経営初心者の場合には、結局失敗してしまうこともありますので、アパート経営に関しての知識を入れておく必要があります。
共同名義のアパートを売却するときはどうすればいいか
共有名義のアパートを売却する方法は、大きく3つの方法があります。この章ではその方法を紹介しましょう。
自分の持ち分配分のみ不動産を売却する
一般的に「共同持ち分のみの売却」と呼ばれるやり方です。関係者の調整がなく一番カンタンな方法です。仮に、共有名義人が同意の方針でなくても出来るやり方になります。
ただ、実際は共同名義の持ち分のみの売却は物理的には出来ません。出来るのは土地のみの売却です。この方法を選択する場合は、とにかく「安くても、早く売りたい。」「今の共有名義人と早く関係を解消したい。」というニーズがある場合にのみ有効な方法です。
なぜなら、土地売却の仲介を引き受けてくれる不動産会社は少なく、また、買い手を見つけるのも難しい作業になります。相場価格よりもかなり低い価格でも良いという判断が無ければまず、満足の出来る取引となりません。それでも良い場合は、不動産一括査定サイトを活用して、難しい不動産売却が得意な不動産会社を探していくことがよいやり方になります。まずは査定申込みをして、どのような不動産会社があるのか?を把握しておくのも良いでしょう。
気になる方は、不動産一括査定サイトを活用して不動産会社に査定依頼をしてみることをオススメします。一括査定サイト選びは最新の人気一括査定サイトランキングを参考にしてみて下さい。
共同名義のまま不動産全体を売却する
不動産の売却(家、アパート、土地)を行う場合は、共有名義人全ての同意がないと売却は出来ません。全員の署名、実印押印をすることが、売買契約を結ぶ際における全ての手続きで必要になります。ただし、全員が何かしらの状況揃うことが難しい場合は、委任状を活用して売却を誰か代表に一任することも出来ます。
売却をスムーズに行うことが出来た場合、売買代金から仲介手数料や登記費用などの必要経費が差し引かれた金額が、共同名義人の持ち分配分に応じて分配されることになります。
家・マンション・土地といった不動産全体を売却する時は、共同名義人全員の同意が必要になります。
名義を一人の名義人に統一してから不動産全体を売却する
共有名義人全ての同意が必要にはなりますが、単独の名義人に名義変更をしてから売却することも可能です。売却手続き自体はとてもスムーズに行うことが出来ますが、その前段階の関係調整でそれなりに労力が掛かります。また、共同名義の物件の権利を譲渡することになるため、内容によっては贈与税が掛かってきます。ただし、夫婦で離婚をした場合や換価分割の場合などには、贈与税が掛からない場合も出てきますので、名義人を統一売却する場合は、その点も注意していきたいところです。
まとめ
共同名義でアパート経営をする、もしくは、不動産投資をしていくためにはいくつかポイント、注意点があることがお分かりいただけたと思います。
・デメリットは、共同名義人の関係性が変化した場合(相続・仲違い)に起こりうる
まず、大事なのは、共有名義で行う場合は、自分だけでなく共同名義人のこともよく把握しておくことが必要である、ということです。夫婦二人だけの共有名義で始めたとしても、時間が経過していく中で、関係性が変わってしまった、片方が亡くなってしまった後のことも考えておく必要があるからです。また、共有名義で始める場合は、その利点を上手く活かして、持ち分配分に則った収益を得るのと同時に税金対策(青色申告控除)の枠組みも最大限活かしていくことも忘れずに行うことが大切です。