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査定価格に関する知識があるのとないのじゃ大違い!?
こんにちは。この記事を紹介しているムギタです。「一括査定サイトで売却査定してみた」も6回目になりました。前回の記事までで、大きく言うと2つの点に拘ってご紹介をしてきました。1つは、自宅中古マンションを売却するには、一括査定サイト(イエウールがおススメです。)を通じて大手の不動産査会社を選ぶこと。
また、選択の中には比較検討が出来るように地元不動産査定会社もセレクトに入れること。そして、2つ目は、査定額と実際の売却価格の差異が出ない不動産会社を選択するには?というお話しで、不動産査定報告書の中身を中心に選択基準に関して網羅的にお話ししてきました。今回の内容で、その具体的な選択基準をご紹介しようと思うのですが、その前に知識として抑えておきたい内容があります。「そもそも査定価格ってどういうものなのか?」と聞かれた場合、多くの方が、不動産会社が様々なデータを基に算出する不動産価格でしょ?と漠然と考えている場合が多いと思います。
そこで、まず、この査定価格に関して少しおさらいをしたいと思います。この査定価格とその査定価格に関する考え方を理解することで、自宅中古マンションの売却のご検討や売却の結論を出し易くなるかと思いますので、ご自身がお持ちの知識と照らし合わせてみて頂ければ幸いです。
査定価格って?―具体的な意味と考え方
まず、ざっくり査定価格を把握して頂くために以下の図をご参考にして頂ければと思います。
査定価格 ≦ 成約価格 ≦ 売出価格
┗━━━━┳━━━━━━━━━━━┛
相場の範囲 ←↑ ↑
《希望価格》??
また、以下から一般的に不動産会社で言われている言葉の意味を踏まえながら解説していきます。
査定価格
「実際の取引事例(売れた事例)・売却事例(売っている最中の家)を基に、
ご自宅の特徴・状態を勘案して、”概ね3ヶ月以内に売却できるであろう価格”」のこと
と言われています。季節要因や市場要因など様々な要因の影響を受けるので、3ヶ月目安で考えられているのが通例です。不動産会社としては、限りなくリスクの低い価格体を提示してくる形になりますので、この価格体が下限価格に近い場合もあります。また、この価格の算出の仕方で、不動産会社の力がある程度分かります。その会社がどれだけのデータを持っているのか?また、どのくらい説得力のある提案が出来るのか?で変わると思います。
売出価格
「査定価格を基に所有者の希望も加えて決定する販売価格(広告の価格)。物件の特徴によって異なるが、一般的に”査定価格プラス5%を目安に”決定する価格」になります。この売出価格の出し方が一つポイントになると思います。売り主の希望要素が一番加わる「価格帯」を高めに設定してくれる不動産査定会社なのかどうか?を見極める必要があるからです。ただ、希望だけ叶えてくれて高く売り出してもらっても、実際に売れなければ意味がありません。なので、実際に売れる可能性が高いギリギリのところまで頑張ってくれる、加えて、販売活動を頑張ってくれる不動産査定会社かどうか?が大事になってくると思います。会社として販売活動にどんな個性を出せるのか?実力があるのか?が提案する内容とリンクしてきますので、次回の記事ではそこに拘ってご紹介したいと思います。
成約価格
「ご自宅を気に入ってくれた購入希望者との交渉を経て実際に契約することになった価格」。既存住宅(”人が住んだことのある住宅”)の場合、宅内の状況が違うため同じようなお宅でも価格は異なります。つまり、中古マンションなので居住の仕方によって傷み方が変わったり、場合によっては一部であってもリフォームを加えないと売れない、という状況も起きてきます。ただ、こうなってしまってもガッカリするのではなく、考え方を変える必要があります。一部修繕やリフォームを加えるということは、同様に横並びで検討される住戸よりも、アドバンテージが高くなるからです。限りなく希望価格に近づくための一歩だと思えば、リフォーム費用が掛かる分に関しては気持ちが変わるのではないかと思います。
希望価格
「ご自身が、ご自宅が売れるだろうと思っていらっしゃる価格」のこと。概ね売り主側は楽観的、且つ、自分に良いように捉えていることが多いので、間違った感覚値で希望価格交渉を不動産会社としてしまうことが多いようです。私も言われたのですが、「例えば、お隣のお宅が先月売れたとすると査定価格に近いでしょうし、最近のことだと思っていても年数が経過し、相場と離れた価格を想定している場合もあるので、厳密にその価格が正確という訳ではありません。」といった話でした。確かにその通りだと思いますが、私が査定依頼した大京穴吹不動産のようにチャレンジ価格帯という表現で、この希望価格を設定してもらえるような不動産会社に依頼出来るのが良いと思います。
不動産会社が勧めてくるポイントって?
私が自宅中古マンションの売却査定依頼をした不動産会社からは、以下のような話もありました。
「お買換えの場合に「売れたらいいナ」や「売れるだろう・・」といった見込みのまま進めていくのは、健全とは言えません。不当に安く売る必要はありませんが、逆に実際の取引事例という相場を無視しても売却をすることは叶いません。査定価格は、ご売却理由で左右されるものではなく、「査定日から売却を開始した場合に3ヶ月以内に売れるであろう価格」です。
お買換えを計画される場合には、この査定価格を踏まえることをオススメいたします。」という話をされたのですが、前述したようにこれは不動産会社が販売活動をしていく上で、ある程度リスクヘッジをするための営業トークの一つです。査定価格を踏まえるのはあたり前ですが、査定価格に拘りすぎると、限りなく下限に近い安い価格帯で売却活動を依頼する形になってしまいます。不動産会社にとってみれば、その方が販売活動しやすく、売り主の希望価格とのギャップが起きにくいため、この形を勧めてきますが、そこは売却に関する知識を出来るだけ身に付けて、対応していきたいところです。
買換えの場合はスタイルを考えて処理
次に不動産査定会社から言われた話の中で、買い換えのスタイル別にポイントがあるので、
それもご紹介いたします。私のように今後のライフスタイルに変化を加えていくために自宅中古マンションの売却を検討される方も多くいらっしゃるのではないかと思いますので、このスタイル別の考え方も知識として抑えておいて頂ければと思います。
売却先行スタイル
「ご自宅を先に売りに出し、売却の目途が立った時点でご購入契約を行う。
中古物件や新築建売住宅へのお買換えの場合に多いスタイル。」
このパターンが一番多いのではないかと思います。大抵の方が不動産を2つ掛け持ちで所有できるほどの財力はない場合が多かったり、また、買い換えは以前よりも良いマンションを所望するので、購入金額が高くなりそこまで資金を持っていない場合が多いからです
このスタイルの場合のメリットとデメリットは以下です。
メリット :○自宅が売れないというリスクを回避でき、資金計画を確定できる。
デメリット:▲希望の部屋があっても売却の目途が立つまで購入することができない。
デメリットから考えた場合、余剰資金を多く持っていない場合は、あまり高めのマンションに買い換えるのはリスクが高いと言えそうです。
切離しスタイル
「ご自宅の売却資金をあてにせず、自己資金または公庫等の住宅ローンでご希望のお部屋を先に購入するスタイルです。」余剰資金を多く持たれている方、住宅ローンを組んでも、早期に返済が出来る目処が立っている方はこのパターンに該当してくると思います。このスタイルのメリットとデメリットは以下になります。
メリット :○希望の部屋を購入できる。
デメリット:▲将来の売却時期の相場での売却という不確定要素がある。
売れるタイミングよりも、購入タイミングを優先するので、上記の形になると思いますが、先ほども明記したように返済計画に余裕がある方にとっては、リスクが少ないスタイルだと思います。ちなみに、私が営業マンからもらった話として、以下のワンポイントアドバイスも貰いました。「新築物件への入居にタイミングを合わせた売却も可能です。ご自宅周辺の市況に応じてその時に最適なご提案をいたします。」
買取保証付スタイル
「ご購入物件への残代金支払い時期までに売却が成立しなかった場合は予め取り決めた買取保証金額で当社が買い取ります。」これは不動産査定を依頼した不動産査定会社が有している物件を購入する場合の選択肢の一つとして選べる形のことを指していると思います。
このスタイルのメリットとデメリットは以下になります。
メリット :○希望の部屋を購入できる。
デメリット:▲不動産査定会社の保証算定基準による買取保証額となる。(個人に売却するよりは安くなる)
という条件ですが、必ずしも依頼する不動産査定会社系列の物件を購入するわけではないと思いますので、あくまでそのパターンに該当した場合のみの限定条件になると思います。
こちらも営業マンからワンポイントアドバイスを以下のように貰いました。
「お買換え資金を確定させるための保証であり、買取ることが目的ではありません。
ご購入物件のご契約後、ご自宅の売却活動はスタートします。万が一売却できなかった場合の保険としてお考えください。」ということでしたが、なんというか、「保険もあるので安心だけど、保険は保険なのであまりアテにしないで下さい。」と言われているような気もして個人的にあまり良い印象は持てませんでした。
ここまで、査定価格、希望価格、売出価格の違いと自宅中古マンションを売却するスタイル別のメリットとデメリットを中心に解説してきましたが、中古マンションを実際に売却する段になって、話が挙がる「瑕疵担保責任」に関して触れたいと思います。
瑕疵(かし)担保責任って何?
何やら難しい漢字表現の負担すべき責任事項ですが、憶えてしまうとさほど難しい話ではないので、その意味に関してのみカンタンに話しておこうと思います。瑕疵担保責任とは売却する側が買い受ける側に対して負う欠陥や不具合の責任のことを指しています。具体的には以下になります。
瑕疵担保責任とは
売買物件に隠れたる瑕疵(かし)があるとき、売却する側が負担すべき責任を瑕疵担保責任性能を有していないということになります。「隠れたる瑕疵」というのは、通常の注意をしても気づかない瑕疵という意味になるようです。買い受ける側が知らない、または知り得ない欠陥や不具合が売買物件に存在する場合に、売却する側が負う責任が瑕疵担保責任に該当します。なので、売却する側から告げられた瑕疵は、「隠れたる瑕疵」にはあたらず、売却する側の瑕疵担保責任は免責になります。
中古住宅売買の場合
中古住宅の場合は、経年劣化、自然損耗等があり、建物の品質、性能等が劣化しているのが通常になるので、標準の売買契約書では、売却する側が買い受ける側に対して負う瑕疵担保責任の範囲を、土地の隠れたる瑕疵と、建物の基本性能に関する隠れたる瑕疵に限定するとともに、責任の期間を引渡完了日から3ヶ月以内に設定しているのが通例です。
①瑕疵の範囲
建物については、●雨漏り●シロアリの害●建物構造上主要な木部の感触●給排水管の故障の4種類の隠れたる建物の瑕疵についてのみ責任を負う形になります。中古マンション等の場合は、建物の専有部分における●雨漏り●シロアリの害●給排水管の故障の3種類の隠れたる瑕疵についてのみ責任を負い、土地の隠れたる瑕疵ならびに共用部分に原因がある瑕疵は責任を負わなくてもよいと言われています。
②土地の瑕疵
軟弱地盤、不同沈下、土壌汚染、地中埋設物等が土地の瑕疵に該当し、買い受ける側にとって、売買契約を締結した目的が達成できないとき、引渡完了日から3ヶ月以内に限り、売買契約を解除することができる権利があります。
③建物の瑕疵の修復
建物の瑕疵の場合、買い受ける側は売却する側に対し、修復の請求以外、契約の無効、解除、損害賠償の請求をすることはできません。なお、売却する側が責任を負う修復範囲等は、「建物の修復範囲等」の記載が別に定められていることが多いです。
ここまで査定価格の意味と査定価格に対する考え方を中心に、いくつかポイントになりそうな点に関して触れて来ました。この6回目はおさらいの意味を込めて知識として抑えて頂くことを目的としてご紹介しましたので、既によくご存じの方にとっては復習の意味で読んで頂けたら幸いです。