古い不動産を相続した、もしくは相続する方の中には、様々な問題を抱える物件で処分困っているケースが多いです。
今回は、処分に困る不動産を抱えている方に向けて不動産を寄付する方法について不動産会社のスマートアンドカンパニーが解説いたします。
Contents
いらない土地や相続不動産を寄付する方法
自治体へ寄付する
寄付先としては、土地や相続不動産が所在している地方自治体があります。
地方自治体に土地などを寄付すると、不動産の所有権は自治体に移ります。寄付を受取った後の土地などの管理は行政側が責任をもって行うことになります。
手続き方法
1自治体の担当窓口に相談する
所有している不動産の寄付が可能かどうかを自治体の窓口に相談します。基本的に寄付が出来るのは抵当権、地上権などが付いていない不動産が対象です。また寄付する人が自治体へ納める税金を滞納していないかどうかも確認されます。
2自治体へ寄付採用申請を行う
不動産の寄付を申し込みます。必要となる書類は自治体によって異なりますが、所有者である事が確認出来る登記事項証明書や、相続人の場合は相続人であることを証明する書類などを添付します。
3行政が審査を行う
自治体は土地や家屋の利用方法などを協議します。自治体にとって役に立つ有用な土地や不動産に限って検討が行われます。
4自治体が土地の寄付を受ける
寄付が受理された場合は、所有者移転手続きが行われ、不動産の所有者は自治体に移ります。
自治体へ寄付する時の条件や例
【東京荒川区・寄付除去工事実施】
東京荒川区では、老朽化した危険な住宅を寄付してもらって区が除去工事を行う制度があります。災害が起きた場合に倒壊や火災の危険度が高いと想定される木造住宅の密集区域の建物が対象となっています。危険な地域にある老朽化した木造家屋の建替えを進め、災害に強い町作りを促進することを目的としています。ただし、寄付の対象となるのは建物のみで土地の所有権は元の所有者に残っています。
【山形市・老朽危険空き家対策事業】
地域にある危険な老朽空き家を所有者が山形市に寄付または無償譲渡すると、市が建物を解体して土地を公共空間として整備するという制度です。ただし、解体した後の土地に対する日常的な維持管理については、地域の住民で行う事が要件となっています。
自治体へ寄付したい場合の注意:ハードルが高い
自治体の寄付の制度や寄付の流れについてみてきましたが、自治体は、個人のいらなくなった土地や管理に困った相続不動産などを全て無条件で受けてくれるわけではありません。残念ながら実際に寄付が承認されるケースは決して多くはないのが実情です。
無償で土地を寄付されても、所有権が移った後は土地の管理や維持費用などを自治体側が負担することになります。維持管理に使われるのは住民の税金です。住民の生活や環境の向上に役立てることが出来ないような土地については寄付を受け付ける事はできないのです。
自治体が既に取得している土地に隣接しているなど、取得すれば利用価値が高いと判断されれば寄付が認められる可能性があるかもしれません。
しかし、公共の目的で利用価値がない土地や相続不動産の場合、自治体が寄付を受け付けてくれる可能性は低く、非常にハードルが高いと考えておいた方がいいでしょう。
個人に寄付する
個人に寄付する場合も、基本的には寄付される相手側が承諾してくれれば寄付することが可能です。
ただし、無料であげると言われても、受ける側に今度は税金の負担や管理費用が発生する事になりますので承諾する人はそうは見つからないでしょう。
最も現実的に寄付を受け入れてくれそうな個人は、隣地の所有者です。
隣地の所有者であれば土地を広げる事ができるため有効活用も可能です。代金を払って購入するほどではなくても無償の寄付であれば検討してもらえる可能性もあります。
個人に寄付する場合の注意点
1寄付した相手に贈与税がかかる
個人に不動産を寄付した場合、寄付を受けた側に税金がかかります。
寄付した側には税金は掛かりませんが、寄付を受けた個人は贈与を受けた事になり贈与税が掛かります。
後にトラブルにならないためにも、寄付を受ける事で税金の負担が生じるデメリットもしっかりと説明して相手から承諾を受ける必要があるでしょう。
ただし、寄付した不動産の評価額が基礎控除額である110万円を超えなければ非課税となり税金はかかりません。
2所有者移転登記が必要
不動産を寄付した場合は相手に所有権が移るため登記をする必要があります。
売買の際は、買主側が所有者移転登記の費用を負担することが一般的ですが、寄付の場合には特に決まりはありません。受取る側が費用の負担を理由に寄付を受け付けてくれないという場合も考えられます。どちらが負担するかは予め話し合いで決めておく必要があるでしょう。
所有者移転登記には以下のような費用がかかります。
・登録免許税
登記する場合に必要な税金です。建物と土地それぞれの評価額に税率を掛けた額を支払います。
登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×税率2%(贈与の場合)
・司法書士への報酬
司法書士へ登記の手続きを依頼した場合は、報酬を支払う必要があります。所有者移転登記の相場はおよそ5万円から8万円です。司法書士に依頼しないで自ら登記の申請をすれば、費用はかかりません。
3贈与契約書を作成する
個人間なので口約束で済ませてしまっても良いと思われるかも知れませんが、後にトラブルになる可能性もあります。寄付を受け付けてもらった場合は、しっかりと贈与契約書を作成しておきましょう。
贈与契約書には決められた書式があるわけではありませんが、以下の5つの事項については必ず記載しておくようにしましょう。
・寄付をする(贈与する)日付
・誰が誰に寄付(贈与)をするのか
・寄付(贈与)される不動産について
・寄付(贈与)の条件について
・寄付(贈与)する方法について
2通作成して署名押印した後、お互いに1通ずつ保管しておきましょう。
法人に寄付する
換金してからの寄付しか受け付けない法人もありますので、不動産をそのまま寄付として受け付けてくれる法人を探しましょう。ただし、どんな法人がどんな目的でどんな土地を受け付けてくれるのかは、個々に異なります。個別にアプローチして確認することになるでしょう。
法人へ寄付した場合の注意点:かかる税金
1寄付を受けた法人には法人税がかかる
寄付を受けた法人側には法人税がかかります。寄付された不動産の評価額分だけ法人の利益が増えたことになり、その分の法人税が多く掛かることになります。
2寄付した側も課税される場合がある
一方、寄付をした個人側にも税金がかかる可能性があります。個人間の寄付では贈与とみなされ、寄付した側には税金がかかりませんが、法人へ寄付した場合は時価で売却(譲渡)したとみなされます。不動産を売却した場合と同様に、土地や相続不動産の取得費よりも現在の価値(時価)が高い場合には、譲渡所得税が課せられます。実際に売却したわけではないのに売却したとみなされて課税されることで、納税資金の工面が難しくなるため注意が必要です。
ただし、土地や建物を購入した時の取得費よりも現在の価値が低くなっている場合には課税される事はありません。
3公益法人への寄付は特例がある
一般の企業ではなく、公益を目的とした事業を行っている法人への寄付については、特例が適用されれば譲渡所得税が掛からない場合があります。特例が認められる法人は、公益財団法人や公益社団法人、社会福祉法人、国立大学法人、学校法人、特定非営利活動法人などです。
以下に挙げる一定の要件を満たし国税庁長官の承認を受ける必要があります。
・寄付が公益の増進に著しく寄与すること
・寄付した財産が、寄付があった日から2年以内に公益目的事業の用に直接供される、または供される見込みである
・その寄付により、寄付をした者の所得税又は寄付をした者の親族などの相続税若しくは贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められる
(国税庁ホームページ「譲渡所得等の非課税の国税庁長官の承認を受けるための要件」より)
特例を受けるためには、原則として寄付をした側が手続きを行います。寄付した日から4ヶ月以内に所轄の税務署に申請書を提出する必要がありますので忘れないようにしましょう。
いらない土地や相続不動産を買い取ってもらう方法
冒頭でもご紹介いたしましたが、仲介の不動産会社では売却できなかった物件でも、買取専用の不動産会社なら買い取ってもらえることの方が多いです。
スマートアンドカンパニーでは、1都3県の相続不動産買取を得意としております。
以下のようなお悩みがあってもご安心ください。弊社はそのままの状態で買取いたします。
・家の中に大量の私物が残っている
・家に破損している部分がある
・不動産に関する書類を失くしてしまっている
・再建築できない土地
・極端に狭い不動産
・現在の建築基準法に適合していない
・空室だらけのアパート
その他どのようなお悩みがありましても結構ですので、ぜひ一度弊社にご相談いただけましたら幸いです。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめると以下となります。
まずは大切な不動産が買取業者でも買取できない状況なのかははじめに確認してみましょう。
・いらない土地や相続不動産は、双方が合意すれば寄付することができる
・公益の目的で利用できる土地であれば、地方自治体や公益法人へ寄付できる可能性がある
・個人や一般法人へ不動産を寄付する場合は、譲渡所得税の課税に注意が必要