一括査定サイトを利用してみた 不動産査定報告書の実際のパターン

不動産売却一括査定「イエイ不動産売却査定」

「不動産査定報告書」から何を読み取るか?《2》

 

こんにちは。この記事を紹介しているムギタです。今回の「一括査定サイトで売却査定してみた」は、前回ご紹介した大成有楽不動産販売に続き、大京穴吹不動産の「不動産査定報告書」の内容をご紹介したいと思います。前の記事では、網羅的に内容をご紹介し、「不動産査定報告書」とはどういったものか?を中心にお話ししてきました。

記事の中では、何が書かれていて、査定額はどのように算出しているのか?をご説明しました。ただ、自宅中古マンションを売却する、もしくは売却額に限りなく近い査定額(机上査定額と差異のない)を知りたい方にとって一番のポイントは、「不動産査定報告書」の中の「どこの」「何を」みるのか?またその作業によって、どこの不動産査定会社にマンション売却をお願いするのが良いのか?(良かったのか?)が分かることだと思います。実際、私の場合も「この不動産会社にする!」という決め手が各不動産会社の資料内容を検討していく中で定まってくる訳ですが、実は、「不動産査定報告書」だけでは決め手にならなかった、というのが本音です。

ただ、その「不動産査定報告書」の中身でもみるべき大事な場所がいくつもありますので、大京穴吹不動産の方は、そこを中心にご紹介したいと思っていますので、自宅中古マンションの売却や査定額を知りたい方は、そのあたりをご参考にして頂ければと思います。

「不動産査定報告書」とは?~2社目

 

前回4回目の記事でご紹介した大成有楽不動産販売の「不動産査定報告書」は、以下の内容で構成されていました。

<大成有楽不動産販売の「不動産査定報告書」の構成内容>
1)ご所有不動産の概要
2)ご所有不動産の位置図
3)周辺の成約・売出物件の価格情報
4)周辺マンションとの比較
5)対象マンションの標準価格
6)お客様のお部屋の評点
7)査定価格とご提案
8)付属資料

今回の記事でご紹介する大京穴吹不動産の「不動産査定報告資料」は同じ構成ではなかったので、比較検討するうえで一番参考になりそうな5)6)7)の内容を中心にお話しすることにいたします。その前に、大京穴吹不動産から「首都圏概況」という内容の資料が添付されていましたので、そちらにも触れたいと思います。この資料は、A3サイズ2枚で構成された中古マンションの成約における主に首都圏にフォーカスした時系列のグラフデータでした。いくつものカラフルなグラフデータが並んでいるので、目移りしてしまうのですが、考察的なまとめがありましたので、そちらを記載いたします。

《首都圏概況》
●成約件数は0.2%減となり、3ヶ月振りに前年を僅かながら下回った。一方、価格は今期横ばいで推移するなか、70ヶ月連続で前年を上回る。

☆成約状況:
[件数]:3,096戸(前月3,244戸)(前年同月3,103戸)
[価格]:3,274万(前月3,292万)(前年同月3,209万)
成約価格は昨年12月の仮想通過急騰による金融情勢の変化で、大幅上昇し、以降高水準を維持している。価格の上昇幅は縮小しており、間もなく前年比イーブン。

☆新規登録:
[件数]:18,008戸(前月17,323戸)(前年同月17,391戸)
[価格]:3,223万(前月3,201万)(前年同月3,213万)
新規登録件数は14ヶ月連続で前年を上回り、18,000件台を超えて今期最多となった。登録価格は前年をほぼ同水準で、成約価格との乖離幅は縮小傾向。

☆ストック状況(在庫):
[件数]:46,971戸(前月46,701戸)(前年同月44,619戸)
[価格]:3,320万(前月3,312万)(前年同月3,254万)
ストック件数は今期ほぼ横ばいで推移する中、前月よりやや増加し、過去最多を更新した。前年同月比、41ヶ月連続で前年を上回るが、増加幅はやや縮小!

この《首都圏概況》をカンタンに読み解いてみると・・・
・新規で毎月18,000戸ぐらい市場に中古マンションが売りに出ており、同タイプの住戸で案分してみると価格平均は3,200万前後である。
・そのうち、成約しているのは3,000戸程度(ストックもあるので厳密ではないですが。)で、その価格帯は3,300万前後である。
・また、なかなか売れず在庫化している全体数は47,000戸あるが、増加幅は縮小していてその価格は3,200万前後。

という見方になると思います。中古マンション市場がだいぶ活況であるということと、ざっくりですが、売却登録した場合は、40%近い割合で売れるという計算が成り立ちます。また、自分の自宅中古マンションは、3,300万くらいだと売れるというのも分かります。
大成有楽不動産販売の場合は、積み上げの標準化とそこからの算出で価格レンジを割り出していました。この方法で算出された価格体は説得力があり、信ぴょう性が高い分、遊びの要素が少ない(この価格レンジが絶対!)という印象が強かったのですが、大京穴吹不動産は、まず、概況調査内容からのその地域の一般的な価格帯レンジを理解していただいて、その後にその枠組みの中でご提案させていただきます、という会社によっての違いがあることが分かります。これは企業ごとにスタイルでもあると思いますので、どちらが良いという考え方ではなく、どちらのタイプのアプローチが、自分が検討・決定していくのに参考になる、合っているのか?で判断するのが良いのではと思いました。

査定価格+提案内容(価格レンジアプローチ)

 

続いて、実際の査定価格がいくらになるのか?どういう提案をしてもらえたのか?の2点に関してご紹介します。まず、実際の査定価格を算出するにあたり、周辺の中古マンションの成約(売却)事例資料が添付されていました。事例は、全部で6戸分、売出の際に使用した売出チラシが基になったもののようでした。チラシの内容は、A41枚に写真、マンションの物件概要、交通の便、物件のアドバンテージとなる要素、間取りで構成され、成約年月日、成約価格と坪単価が明記されていました。

データをとりまとめた資料でみるのと違い、チラシやカタログを比較検討するような感覚で見ることが出来、読み込み易いという印象を受けました。また、その個別資料とは別にA3サイズの一枚に一覧表として取りまとめられ、そこから私の自宅中古マンションの予想成約価格が提案として掲載されていました。抜粋をご参考に以下に明記いたします。(成約年月日/物件名/成約価格/坪単価/総戸のみ)

【●●●●日本橋・周辺マンション 直近3年間のご成約事例(不動産流通機構:※レインズによる過去成約価格です。)】
20170516 ●●●●日本橋 4,280 242.9 52
20161212 ●●●●日本橋 1,050 163.9 52
20160722 ●●●●日本橋 4,200 238.3 52
20160303 ●●●●日本橋 2,800 158.9 52
20160428 日本橋●●●● 3,700 193.3 92
20161022 日本橋●●マンション 3,420 222.9 26

※レインズ(REINS)について:
 ※不動産会社は東日本不動産流通機構を通じオンラインで結ばれている。

(1)レインズとは・・・
レインズはReal Estate Information Network System の略で、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータネットワークシステムの名称。指定流通機構の会員不動産会社がパソコンやFAXを利用し、機構内に設置してあるホストコンピューターから不動産情報を受け取ったり情報提供を行うシステムで、会員間での情報交換がリアルタイムで行われている。

(2)(財)東日本不動産流通機構とは・・・
東日本地域の不動産会社は、(財)東日本不動産流通機構を通じオンラインで結ばれている。これにより不動産の売却・購入が迅速かつ安全に進めることが可能となった。

(3)レインズを利用するメリット
消費者の皆様が東日本レインズの会員不動産会社を通じ、不動産の売却あるいは購入を依頼すると、以下のようなレインズのメリットを享受できる。

①「希望条件に沿った購入相手のスピーディな発見」
レインズにより多数の会員不動産会社がオンラインで結ばれており、売却希望物件は探している会員にリアルタイムに伝わる。

②「取引事例に基づく適正な市場価格の設定」
レインズには大量の取引事例が蓄積されており、会員不動産会社は必要な都度引き出すことが可能。そのため市場の動向に基づいた、合理的且つ適正な価格の設定および把握ができる。

③「お客様へのいままで以上のきめ細やかなサービスの提供」
レインズのオンラインシステムにより、各会員不動産会社間で不動産情報の共有化が図られたため、各会員は自ずとサービスの向上に努め積極的に差別化を推し進めている。

そして、このあとに実際に販売をしたときの査定価格が大京穴吹不動産の提案価格として明記されていました。坪単価をベースに販売価格を価格レンジとして算出していて、その表記の仕方が「面白いな。」と思わせるものでした。大成有楽不動産販売のように、文書形式で説得する提案部分は省かれていて、単純な表組み一覧だけなのですが、一度見たらすぐに理解しやすい形になっていました。こちらもご参考として以下に抜粋を明記いたします。(価格帯レンジマーク/物件名/販売価格/坪単価のみ)

[◎]●●●●日本橋 4,054 230
[◎]●●●●日本橋 3,966 225
[◎]●●●●日本橋 3,878 220
[〇]●●●●日本橋 3,790 215
[〇]●●●●日本橋 3,702 210
[〇]●●●●日本橋 3,613 205
[△]●●●●日本橋 3,525 200
[△]●●●●日本橋 3,437 195
[△]●●●●日本橋 3,349 190
坪単価150万円~110万円までの坪単価を基準としました。

[◎]チャレンジ価格帯 坪140以上 リフォームを行うなど付加価値が高い場合、ご成約の可能性がございます。
[〇]市場価格体 坪135万~125万 過去の成約坪単価を加味した価格帯です。販売開始おおよそ3ヶ月で売却できる金額帯(市場価格)
[△]下限値価格帯 坪120万以下 基本的には、短期間でお取引ができる金額帯です。

大京穴吹不動産も下限から上限までの価格帯で査定価格を提示してきているのは、大成有楽不動産販売と同じなのですが、実際に売却になった物件の坪単価から価格レンジを割り出しているところが違います。実売価格を基に価格レンジを算出しているので、それなりの説得力がありました。大成有楽不動産販売の査定価格が3,545万で、売却開始は4,000万くらいから始めて査定価格あたりが落としどころ、というのと違い査定価格に幅(3,613万~3,790万)があるのが分かります。また、大成有楽不動産販売の売出スタートが4,000万なのに対して、大京穴吹不動産は、3,878万~4,054万の幅を持たせているのも面白いところでした。

前回の記事でもご紹介しましたが、実売価格との差異を売り主に納得してもらうため、価格レンジを設けるのは、大手の不動産会社ではどこも同じような感じなのかもしれません。ただ、表現の仕方で印象が変わってきます。ここでポイントとして押さえておかなければならない点は、「高く売るために何を判断材料にするか?」です。大成有楽不動産販売の表記の仕方が査定価格・下限価格・上限価格の3分類になっていて、査定価格は3ヶ月以内の期限付きの売却価格、下限価格は、とにかく早く売りたい!ニーズに応える売却価格、上限価格は、良い要因が突然現れて、高く売れるとしたら?この価格という売却価格のレンジでした。この資料表記はとても現実的で、誠意がある形だと思います。

一方で、大京穴吹不動産は、3ヶ月は3ヶ月でも過去の販売実績からその期間で売れる(実際に売れた)市場価格体、短期間で売りたい人向けの下限値価格帯、あえて付加価値を付けることで、その付加価値分に掛けた費用も回収できるチャレンジ価格帯という価格レンジの出し方です。少し子供っぽい感覚かもしれませんが、「なるべく高く売りたい!」という点においては、チャレンジ出来る可能性があるのならチャレンジしてみたい!と思わせる期待感が持てる表記内容だと思い、とても好感が持てました。どちらの企業の提案の仕方の方が良いという話ではないのですが、表記の仕方、見方によって自宅中古マンションの実売価格の理解がし易かったことは確かでした。査定依頼をする側は、複数の中古マンション向け不動産査定会社の資料を読み込むことになります。同じような資料を読み込んで行く中では、積み上げ算出に枚数を割くことで説得力と誠意が伝わってくる、一方で、1枚に集約してもらう形の方が何度も見返して検討するには、理解し易いという面もあることが分かりました。

ここまで大京穴吹不動産の「不動産査定報告書」の中身をご紹介しつつ、いくつかポイントになりそうな点に関して触れて来ました。この時点で、どちらの不動産査定会社を選ぶのか?気になっている方もいらっしゃるかもしれません。次回6回目からは、この2社の企業ごとの特徴・得意とする点に関して触れることで、金額以外の別な要素にも検討する点があることをご紹介していきたいと思います。

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