キャピタルゲインを狙って投資用ワンルームを所有している方向けに売却のタイミングと売却の流れについて不動産会社スマートアンドカンパニーが解説します。
記事では以下の内容を詳しくお伝えしていきます。
- 投資用ワンルームマンションの売却タイミング
- 投資物件の価格と金利、および利回りの関係
- 売却の流れと注意点
Contents
投資用ワンルームマンション売却時期は今
東京オリンピック前の今時期は高く売却できる可能性を秘めている時期と言っても過言ではないでしょう。コロナの影響で動きは鈍ってきているものの収益物件の価格は様子見で高止まっています。中古ワンルームマンションを査定売却するなら、今がチャンスです。そして、現金を温存しておきましょう。次回の購入タイミングを待ち備えておくのがベストです。次の購入にベストなタイミングは、やはり東京オリンピックの後。オリンピック後は急速に景気が減速することが予想されています。今まで好調だった物件も一気に査定価格が値下がりするでしょう。
投資用ワンルームマンションの売却価格はどうやって決まる?
金利と利回りの関係で売却価格は動く
30代~40代の独身サラリーマンの中では、ファミリー向け物件よりは価格の低い都心の投資用ワンルームマンションを査定・売却・購入を繰り返すことで利益を生み出している人が増えています。相続対策で中古マンションを賃貸にして貸し続ける人とは異なり、中古マンションの売却と購入を繰り返して、徐々に資産を増やしていくことが目的です。
しかし、キャピタルゲインを狙い、中古マンションの査定と売買を繰り返して利益を得るのは、非常に難易度が高いです。
投資ワンルームマンションの賃料は下がる事はあっても、上昇することはほとんどないといえます。つまりは、中古ワンルームマンションをキャピタルゲインで儲けようとする場合は、純収益を上げることで儲けることは難しく考えにくいのです。
キャピタルゲインで利益を出すには、利回りが小さいときに売却することです。純収益が変化しなくても、利回りが小さくなることによって、ワンルームマンションの価格が上昇します。従って、利回りが小さくなった時に売却すれば、売却益が得られるのです。
不動産に投資した金額で1年間でどれくらいの利益が得られるのかを割合で示したもの
利回りが変化し下がる要因は、日銀の金利の変動にあります。金利が下がったのを見た投資家たちの期待値が下がり、不動産の利回りも下がっていきます。儲けたい額に達するには、どの程度損失するのかを投資家たちは予測して動いているわけです。
金利の低い時が売り時な理由
現在が売り時である理由は、金利が下がり、マイナス金利という状態となっているからです。これ以上下がらないところまで金利は下がっているので、不動産の利回りも低くなっています。
投資用のワンルームマンションの価格が値上がりする状況について考えてみましょう。
投資用ワンルームマンションの価格を査定するための物件価格を求めるための計算方法を見てみましょう。
式に当てはめて考えてみると、物件価格が上昇するのは、分子の純収益が増えた場合か、分母の利回りが低くなった場合となります。
まずは、分子の純収益が増える状況を考えてみましょう。一般的に家賃が変動するのは賃借人が代わった時か契約更新時ですが、家賃は下がる事はあっても上がる事はまずないでしょう。ですから、純収益が増加する要因はあまり考えられません。また、家賃に増減がない場合、経費の圧縮により純収益の増加が期待出来そうですが、取得してから年数が経過するにつれて修繕費などがかかってくる事が想定されます。経費に関しても増加要因はあっても圧縮要因は考えにくいでしょう。
それでは次に分母の利回りが低くなる場合を考えてみましょう。実は不動産投資の利回りは金利と密接な関係にあります。投資家は金融機関から資金の融資を受けて物件を購入することが多いため、金利が高くなった分に見合った分だけ利回りが高くないと損をしてしまいます。ですから金利が上がると期待利回りも上がります。一方金利が低くなれば利回りは低く抑えられます。家賃収入は金利が低くなってもあまり変化がありませんが、金利が低くなると利回りが小さくなるので、投資物件の価格は上昇する傾向があるのです。金利が高くなると割高の物件に手を出すと損をする可能性があるため投資家は手頃な物件を求めますが、金利が低いときには多少高めの物件でも十分採算が合うと投資家が判断するため高額の物件でも取引される事になるのです。
投資用ワンルームマンションの期待利回りは4~5%
不動産投資をする際に、多くの投資家は家賃収入から物件価格を割って算出する表面的な利回り(表面利回り)ではなく、実質的な利回り(NOI利回り)を目安としています。
家賃収入から税金や修繕費などの費用を差し引いた実質的な収益を投資額で割った利回りをみて、投資額に見合った収益を得られる物件かどうかを判断します。
利回りは高ければ高いほど利益が高くはなりますが、必ずしも利回りが高ければ買い物件という訳ではありません。利回りが高い物件は価格が安いが客付けが大変などといったリスクが高い物件である可能性があるからです。
それでは一体どのくらいの利回りが適当なのでしょうか。
ここで参考になるのが、一般社団法人日本不動産研究所による「不動産投資家調査」です。不動産投資家調査では、投資家が期待する「投資した場合に欲しい利回り」はいくらなのかという調査を行っています。
期待利回りというのは、不動産投資家が投資物件の価格に対して、どのくらいの賃料を期待しているのかを表します。不動産投資家へ行ったアンケートの結果により作成されます。
この期待利回りが低くなると、投資家は低い利回りであっても不動産に投資したいと考えていることになります。
2020年4月時点で発表されたエリア別期待利回りの調査結果を見てみましょう。
エリア | 期待利回り |
---|---|
東京城南地区 | 4.2% |
東京城東地区 | 4.5% |
札幌 | 5.5% |
横浜 | 4.9% |
名古屋 | 5.0% |
大阪 | 4.8% |
広島 | 5.7% |
福岡 | 5.1% |
一般社団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」より抜粋
前回2019年10月の調査と比較すると、横浜、大阪の期待利回りは-0.1ポイントと若干下がっていますが、それら2都市を除くと他は変化がなく横ばいとなっています。コロナ禍の中で投資に対するリスクへの懸念や様子見の姿勢が結果として出ているようです。
利回りは、物件価格が安く家賃が高い場合により高くなります。東京よりも地方都市の利回り高いのは物件価格が東京よりも安いからですが、ワンルーム賃貸物件の需要は東京に集中しているため地方では空室率が高くなるリスクがあります。
利回りは、投資用ワンルームマンションであれば、4~5%程度がベストでしょう。
利回りとは、投資家たちの期待値と言えます。投資家たちの期待値が投資用マンションの価格に影響を及ぼします。
投資用ワンルームマンションを売却する流れと注意点
投資用のワンルームマンションを売却する前には、確認するべき点がいくつかあります。
- 日銀の金利発表をチェック
- ローンの残債がどれくらいか確認
- 売却益が出る場合は5年以上所有しているか
日銀の金利発表をチェック
既に述べたように、投資家の期待する利回りは日銀の金利と連動しています。金利が下がると同時期に利回りも下がっていくので、結果的に中古ワンルームマンションの値段が上がります。
逆に、日銀が金利を上げると、投資家の期待値も上がるので、利回りも上昇します。結果として、中古ワンルームマンションの値段は下がります。
金利が高い時に売却すると、賃料収入は変わらないのに、売却損が出てしまいますから要注意です。
ローンの残債
「売却金額>ローン残額」であれば問題はありません。あまりにローンの残債が多く手持ちの現金を足しても足りない場合は売却することができません。
売却益が出る場合は5年以上所有か
税金の問題もあります。高く売却できれば売却益が出ますがその分税金を支払う必要があります。
不動産の所有期間※ | 譲渡所得税率 | |
---|---|---|
5年以下 | 短期所得 | 39%(所得税30% 住民税9%) |
5年超 | 長期所得 | 20%(所得税15% 住民税5%) |
(※売却した年の1月1日時点での所有期間)
ただし、所有期間が5年を超えるのを待っているうちに、売却価格が下落する可能性もあります。節税をとるのか、物件が高いうちに売り切るのか、どちらが得になるのかは市況などもふまえて判断する必要があるでしょう。
投資用ワンルームマンション売却の流れ
売買を仲介してもらう不動産会社へ査定依頼
投資用ワンルームマンションの売却に強い不動産会社を選びましょう。一般向居住者向けの物件を多く扱う会社ではなく、なるべく投資用の物件を豊富に扱っている不動産会社が良いでしょう。
信頼出来る不動産会社を探すためにもいくつかの会社へ査定依頼をしましょう。
複数の不動産会社に査定が依頼できる査定サイトの利用がおすすめです。
人気の査定サイトがみつかる一括査定サイトランキングを参考にしてみてください。
投資用ワンルームマンション売却価格の査定
投資用中古ワンルームマンションの価格は、過去の売却実績(取引事例比較)だけでなく、利回りを重視した方法(収益還元法)と組み合わされて査定されます。
過去の売却実績などからエリアや築年数などが類似した物件について取引情報を調べて参考にします。類似物件の売却実績を鑑みたうえで、1平米あたりの単価または1坪あたりの単価を計算し、査定額を換算していきます。
収益還元法は、物件がどのくらい稼げるかという観点で価格が決まる方法と言えます。つまり物件が将来的に生み出す見込みの収益を予測して物件の価格を割り出します。計算の方法は、1年間の収益を利回り(還元利回り)で割るやり方が多くとられています。
1年間の収益とは、物件を1年間所有している間の家賃収入から管理費や諸経費などの支出をマイナスした純利益です。
売りだし価格の決定
不動産会社の査定金額をもとに、不動産会社と売主が話し合いの末、投資用ワンルームマンションの売却金額を決定します。
必ずしも査定により出された金額=売却価格ではなく、売り主の希望も加味されます。
早く売却したい場合には、査定金額に近い売却価格で市場に出すのも手段の一つです。
もちろん価格が希望と違うこともありますので、高く売りたいのか早く売りたいのか慎重に考える必要があります。
売買契約および精算、継承
- 固定資産税
- 管理費・修繕積立金
- 賃貸料
敷金は、入居者から預かっているお金なので、退居する際に返還しなければいけません。投資用ワンルームを売却すると新しい買主にその返還の義務が継承される事になりますので、新しい買主へ敷金を受け渡す必要があります。
投資用ワンルームの売却では賃貸中であることがほとんどだと思います。賃貸中のマンション売却について詳しくは以下の記事もあわせてご覧下さい。
売却しやすいワンルームマンションの特徴
売却しやすい投資用ワンルームマンションは、入居者の安定した需要が見込める物件です。新たな投資用ワンルームを購入する場合も参考になるでしょう。
立地が良く適度な広さ
できれば、単身世帯が増加傾向にある東京の中心部、都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、品川区)が理想的です。ワンルームの広さは、東京23区内なら25㎡程度が良いでしょう。他の都市部の地域であれば、20㎡程度が一般的です。
駅から10分以内がポイント
駅から徒歩5分程度の物件が望ましいですが、最低でも10分以内の物件であればよいでしょう。単身者の物件選びでは、駅からの徒歩分数を重視する人が多いからです。
駅から物件までに、生活利便施設があるかどうかも非常に重要です。駅まで歩く道を楽しめるような街なら、より物件の価値が高まります。
築年数はできれば築15年以内
築年数が15年以上の物件になると、修繕費が大幅に高くなる傾向にあるため、敬遠されます。
良い「部屋の形」をした物件
形が良く、内部に柱のないワンルームはとても人気があり、賃料も高く設定できます。
同じマンションであっても、中には色々な形の部屋があります。同一マンションでも、部屋の形によって、入居率は大きく変わってきます。
ワンルームの中古マンションは狭い敷地に建っている事が多いので、敷地の形状が悪いと、三角形や、五角形、変な形の部屋が出来てしまうことがあります。ワンルームのような狭い物件では、形の悪さや間取りが及ぼす悪影響は、広い物件より顕著です。ベッドや家具の配置に困ったり、無駄なデッドスペースが生じたりします。部屋の中に大きな柱がある場合も同様です。
すでに所有している投資用ワンルームマンションの部屋の形が悪い場合には、ズバリ買い替えがおすすめです。部屋の形が悪くて、入居率が低いマンションに、部屋の形を変えるという対策は残念ながらできないからです。
ただし、「形の悪さ」や「柱の位置」といった要素は、価格に反映されにくく、査定価格が高くつく場合もあります。そのため、実は価値があまりない物件でも、価値以上に価格が出るため、高く売れる可能性は十分にあります。
実質的には価値の低い物件を売却し、形の良い本当に価値のある物件に買い替えることが、投資を成功させる秘訣となります。
まとめ
マイナス金利時代と呼ばれる昨今は、これ以上金利は下がらないと予測できます。中古ワンルームマンションの売却をするのは今がベスト! でも、ワンルームマンション購入はまだ様子を見た方が良さそうです。オリンピック後に備えてインカムゲインを狙い賃貸収入の得られそうな物件を探すのは良しです。売却のタイミングは常に日銀の金利発表に注目しましょう!
キャピタルゲインで利益を出したい場合は、今売却しておき、現金をオリンピック後まで温存しておきましょう。