借地権のマンションは、通常の所有権のあるマンションよりも売却に時間がかかり売却価格も安い傾向があります。
そのためポイントを抑えて売却活動することが大切です。
今回は不動産会社であるスマートアンドカンパニーが、定期借地権マンションを高く売却する方法を解説します。
この記事では、以下を知ることができます。
・借地権マンションを高く売る売却時期
・借地権マンションを高く売る不動産会社の選び方
・借地権マンションの中でも高く売れる種類
・借地権マンションが売れにくい原因
・借地権マンションについての基礎知識
Contents
借地権の中古マンションを高く売る方法
借地権付きマンションには、「定期借地権」「普通借地権」の2種類があります。
2つに共通している高値で売却する方法をまずはご紹介しますね。
東京オリンピック前までが最も高く売れる
借地権の中古マンションは、同レベルの所有権の中古マンションと比較すると割安感があります。
ですから、例え中古であっても購入希望者からのニーズが非常に高い状態に現在あるといえます。
また、普通借地権のマンションであれば、契約期間は延長することが可能です。定期借地権マンションのように期限を考える必要はありません。
しかし、2020年の東京オリンピック以降は借地権のマンションに限らず不動産全体の売買市場が冷え込んでしまう可能性が指摘されています。
そうなると、借地権マンションもその影響を大きく受ける可能性があります。
借地権の中古マンションを売却するとしたら、まさに東京オリンピックまでのこの数年間のタイミングが勝負と言えるのです。現在中古の借地権マンションを売却しようと考えている方は、出来るだけ早めに行動に移した方がいいです。
複数の不動産会社を比べてみて良い不動産会社に売却の依頼をする
借地権付きマンションは、所有権付きマンションよりも売却しにくいからこそ、腕が良く信頼出来る不動産業者を見つける必要があります。
そのためには複数の会社から査定をとり、様々な業者を見比べてみる必要があります。査定の額は業者によってかなり差があります。査定額の比較も出来ますし、査定額をどのように算出したのかその根拠などを確認してみると、その会社の方針や、信頼出来そうかなども自分の目で確かめる事が出来るでしょう。
複数の会社から査定をとる方法ですが、一括査定サイトを利用して査定を取ります。
その際特記事項欄に借地権付きマンションということを記載しておけば、借地権マンションの売却を得意とする複数の不動産会社から査定を取ることができます。
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一括査定サイトは、物件の情報を入力すれば一度に複数の査定業者へ売却査定依頼が出来るのです。
借地権の中古マンションを高く売却するタイミングは今まさに来ています。ポイントは、信頼出来る不動産業者を見極めるための複数社への査定依頼です。一括査定サイトを上手に利用してみましょう。
借地権マンションの中でも高く売れる可能性が高いマンション
旧法の普通借地権マンションは最も高く売却できる
普通借地権は、1992年に施行された借地借家法に基づいています。しかし、新しい法律が施行される前に借地権の契約がなされている場合、古い法律が現在でもそのまま適用されています。
現在の借地法では、新しい借地法と、「旧法の普通借地権」が存在しています。
「旧法の普通借地権」が最も高く売却できる理由は以下となります。
旧法の借地権では、期間が満了した後でも正当事由がない限り、貸主は更新を拒絶することができませんでした。更新時に貸主の正当事由が認められることは、ほぼなく借主の権利が強く守られていたと言えます。そのため、所有権マンションと同じようにマンションを所有することができます。
一方の新法では、期間が満了した後、正当事由や立ち退き料の支払いで、更新を拒絶することができるとしています。旧法の場合、借主の権利が強く、貸主は一度貸してしまった土地を自分のために再度使用するということが困難でした。となると、土地を貸したいという地主は少なくなってしまいます。新法の制定される1992年の直前まではバブル景気で土地の売買が盛んに行われていたため、このような借地権の問題は見過ごされてきた側面もあったのでしょう。土地利用を促進するためにも貸し主の権利も保護されるように新法は制定されました。
プレミスト白金台のように中には高値で取引されるマンションあり
戸建てに多かった普通借地権物件ですが、分譲マンションでも定期借地権ではなく普通借地権付きの物件も登場しています。契約を地主側の都合で解約できるようになったとはいえ、その心配を払拭するような魅力的な物件が登場しています。
例えば、白金台駅徒歩1分の好立地に2017年に竣工したプレミスト白金台は、42年後に更新となる普通借地権によるマンションです。定期借地権付き物件では価格が所有権の2~3割安いというのが一般的ですが、この普通借地権のマンションでは価格差は出にくかったようです。地代は固定資産税と都市計画税の3倍程度支払う事になりますが、地主は南側に接する「瑞聖寺(ずいしょうじ)」になりますので、将来的に更新が拒まれる心配もほぼないといえます。定期借地権マンションのように50年、60年後に更地にして返却する条件もありません。
借地権の中古マンションが売れないと言われている理由
なぜ中古の借地権マンションは売却しにくいと言われるのでしょうか。
定期借地権のマンションに限った場合ですが、定期借地権には住んでいられる期間に限りがあります。
中古で購入した場合、その残存期間より住宅ローン期間が長くなってしまう可能性が出てきます。中古物件では特に住宅ローンが組みにくくなるため、買いたくても買えない場合も出てきます。
また、定期借地権付きマンションは契約期間が終わると、更地で土地を所有者に返還するために建物を取り壊すことになります。建物の残存期間が少なくなってくると「どうせ最終的には取り壊すのだから」と、修繕工事などにコストをかける意欲がなくなって荒れ果ててしまうのでは、という点が懸念されているのです。実際に満了を迎えたマンションがまだ存在しないので、どんな経過で最終的にどうなっていくのかが分からない、というのが不安要素となっています。
おまけの知識:借地権マンションと所有権マンションの違い
土地を所有していなくても、他人の土地を借りてそこに家を建てて住んだり、事業用の物件を建てて利用したりする事は可能です。
しかし、他人の土地を利用させてもらって建物を建てる場合には、「借地権」を設定する必要があります。借地権というのは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利のことをいいます。
他人の土地を勝手に利用することは違法ですが、借地権を設定することによって、安全に他人の土地を自分のために利用することができるようになるのです。
では、所有権のマンションと、借地権のマンションがどのように違いがあるのかについてみてみましょう。
「土地」を借りているか所有しているか
所有権の場合は、マンションの建っている土地の「所有権」を区分所有者全員で共有する形となっています。
一方の借地権の場合には、マンションの建っている土地の「借地権」を区分所有者全員で準共有する形となります。
つまり、所有権と借地権の分譲マンションの違いは、どちらも建物は所有していますが、その建物が建っている土地を借りているか所有しているかです。
マンションの販売価格の違い
まず、分譲マンションを所有する場合、販売価格には建物と土地の価格が含まれています。立地の良い土地を購入してマンションを建設しようとする場合、土地の価格が高いので、販売価格はその分高くなってしまいます。
一方、借地権付きマンションの場合には、建物の建築費はかかりますが、土地を取得するお金は掛かりません。
ですから所有権のマンションに比べて販売価格が割安になります。
借地権のマンションは、所有権のマンションに比べて2~3割ほど安くなるといわれています。都心の一等地のマンションでも借地権付きマンションの場合は所有の場合と比べるとかなり割安な価格帯で提供されています。
不動産取得税の違い
不動産を取得した際に払う不動産取得税に関しては、所有権のマンションの場合は土地と建物に税金がかかりますが、借地権付きマンションの場合は、建物部分のみに税金がかかります。
ここまで見てくると、所有権のマンションと比べてメリットがありそうですが、借地権付きマンションならではで発生するお金もあります。
購入時には、一時金として「権利金」、あるいは「保証金」といったある程度まとまった費用が発生します。両方を併用している場合もあります。
「権利金」というのは、土地自体ではなく、土地を借りる権利を土地の所有者から購入するために支払うお金です。「保証金」というのは将来建物を解体する時の準備金や地代が不払いになった場合に備えるもので、契約終了後には通常無利息で返還されるものです。物件によっては「敷金」などとしている場合もあります。この「権利金」「保証金」は購入時の価格に含まれている場合もあります。
ランニングコストの違い
所有権のマンションの場合、毎月管理費、修繕積立金を支払います。これは、借地権付きマンションの場合も変わりません。
借地権付きマンションの場合には、管理費、修繕積立金以外に毎月発生する費用があります。地代と解体積立金です。地代とは、地主に支払う土地の賃貸料の事です。物件によって金額にはかなりのばらつきがあり、数千円から数万円以上の場合もあります。また、毎年一定額ではなく、固定資産税が変動した場合はそれに併せて、地代も年単位で見直すといった契約も少なくありません。地代以外に、毎月解体積立金を支払う場合もあります。借地の期間が満了した場合に建物を解体して更地にし、地主に返還するといった契約の場合、解体積立金を積み立てているマンションもあります。また、借地権の更新が出来るという契約をしている場合には、借地権を更新する際には更新料が掛かることがあります。
固定資産税と都市計画税の違い
税金に関しても比較してみましょう。所有権のマンションの場合、固定資産税、都市計画税に関して土地と建物に掛かる税金を支払うことになります。一方の借地権付きマンションの場合、固定資産税、都市計画税に関しては、土地の部分には税金はかかりません。建物のみに掛かる税金を支払う事になります。
おまけの知識:定期借地権のマンションの特徴
借地権にはいくつかの種類があり、契約更新の可否でみた場合、大きく2つに分けられます。契約を更新できるのが、「普通借地権」。更新できないのが、「定期借地権」です。
先ほど「普通借地権」については少し触れてきましたので、契約更新が出来ない「定期借地権」について見ていきたいと思います。
定期借地権マンションのメリットとデメリット
・好立地の上にゆとりのある間取りのマンションが割安な価格で買えること
・投資物件のして魅力的なところ
(所有物件と同じように賃貸に出したり売却したりは自由に出来る。都心の一等地の物件でも所有する場合に比べて2~3割安く手に入るため初期投資を抑える事が可能。
・土地を所有していなので、土地にかかる固定資産税や都市計画税が課税されない
・期限が定められているという点
(一般定期借地権で、契約期間は50年以上とかなり長く設定はされてはいますが、期限が来てしまえば建物を壊して更地にして地主に土地を返還しなければなりません。期限がくればマンションの資産価値がゼロになってしまうということです。 )
・ランニングコストが所有の場合に比べてかかってしまう点
(独自のものでは、解体積立金や、地代があります。それ以外に、住宅ローン、管理費、修繕積立金など毎月かかる費用があります。 )
・中古物件が思うように売却が出来ない場合がある。
(売却のタイミングによってはうまく買手がつかない可能性もあるでしょう。 )
売却のタイミングを逃さないためにも、まずは査定をとって見ましょう。
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定期借地権の詳しい知識
マンションに関わる定期借地権としては大きく2つに分けられます。一般定期借地権と、建物譲渡特約付借地権です。
いずれの場合も契約の更新は出来ません。期間の満了をもって借地権は消滅し、土地を地主に返却することになります。
この2つの定期借地権の大きな違いは、土地を地主に返却する時の状況です。
一般定期借地権では、契約期間は50年以上です。期間が満了した場合は更地にして地主に返却する契約となります。更地にするための費用を解体積立金としてあらかじめ積み立てておき、契約満了時の解体に備えます。
もう一つの建物譲渡特約付借地権に関しては、契約期間は30年以上です。契約期間が満了した際に、地主が建物を買取るという契約となります。更地にする訳ではないので、解体費用は必要なくなります。さらに、土地を返却した後も引き続き居住したい場合には、賃貸として住むことが可能です。ただしその場合家賃を払う必要があります。
日本で初めての定期借地権付きマンションは、平成6年(1994年)に建設された愛知県のレインボー知多長浦マンションです。借地期間は2073年までとなっています。
都内では、平成7年(1995年)に建設された藤和田園調布ホームズが第1号となっており、2045年までが契約期間となっています。田園調布駅から徒歩4分という好立地で、所有権のマンションよりもゆとりのある80㎡以上の間取りで売り出され、即日完売したといわれています。
その成功の結果を受けてか、定期借地権マンションはその後急速に増えました。供給戸数としては1994年から2002年あたりが特に多く、2002年に銀座エリアで初めて建設された銀座タワーは70㎡が4000万円台という割安感からか申し込みが殺到したといわれています。
2008年から2009年あたりが供給戸数のピークでその後は落ち着いていますが、2008年に販売された品川駅徒歩10分ほどの定期借地権付きタワーマンションが即日完売したなどと話題になりました。
これらの定期借地権マンションは、「一般定期借地権」の制度を利用したものです。
実は、この定期借地権は、1992年(平成4年)8月に施行された借地借家法という法律により新しく出来た制度になります。
土地を借りる際にあらかじめ契約期間を定めておき、その期間が終了した後の更新は出来ないとしたこの制度によって、土地を所有している地主が安心して土地を貸すことができるようになりました。というのは、従来の借地権というのは、借地人の権利が非常に強かったのです。一度土地を貸すと地主がその土地を取り戻そうと思っても容易ではありませんでした。そのため、地主が土地を貸すことを渋るようになり、土地貸しの数が激減してしまったのです。そのため、地主がより安心して土地を貸せるようにする制度としてあらかじめ契約期間を定めた「定期借地権」の制度が設けられたのです。
おまけの知識:借地権マンションは相続の対象になる 価値の計算方法
借地権は土地の所有者から土地を借りてそこに建物を所有して利用する権利なのですが、実は財産として相続の対象になります。
相続する場合借地権マンションにどのくらいの価値があるのか計算する方法を解説します。
まずは、計算の際に必要となる借地権割合について説明しますね。
借地権割合とは、借地権の設定された土地と建物の権利がどのような割合になっているかを示したものです。借地権が相続や贈与などにより取得された場合の財産評価を算出するために使用されるのです。その価値の割合は国税庁によって決められています。
一般的に他人に貸している土地は、売却したり別の用途で使用したりすることが制限されるため価値が低いとされます。一方で借りている側の借地権は、より価値があるという考え方に基づいています。簡単にいうと、土地の価値の中で借地権の価値がどれぐらいを占めているかが割合で表されています。借地権割合は、30%~90%まで5つの割合がその土地の所在地ごとに決められており、一般的に都心部に近いエリアでは価値が高いとされるのでその割合が高くなります。自分の借りている土地の借地権割合に関しては、国税庁のホームページから確認することが可能です。
借地権がどのくらいの価値(相続税評価額)があるのかはこの借地権割合を使って計算することが出来ます。
相続税路線価の計算式は、以下となります。
① 路線価(/㎡) × マンション全体の敷地面積 = (A)
② (A) × 自分の敷地権割合 = (B)
③ (B) × 自分の借地権割合 = 相続税の評価額
※マンション全体の敷地面積に関しては、登記簿謄本や毎年送られてくる固定資産税納税通知書に記載があります。
定期借地権の場合は期間の定めがある借地権です。普通借地権と比べた場合、土地の所有者の権利がより強いものとされます。そこで定期借地権等の価額は、個々の定期借地権等ごとに、相続開始日において借地権を持つ者に帰属する経済的利益とその存続期間を考慮した割合で評価されます。
定期借地権の場合は評価額の計算が複雑なものになりますので詳細な説明はここでは行いませんが、一般的に、普通借地権に比べた場合、定期借地権の相続税評価額は少ない評価額になります。
まとめ
今回の記事の大事なポイントをまとめると以下となります!
・借地権マンションが高く売れる時期は、オリンピック前
・借地権マンションを売却する時は不動産会社選びを慎重に
・普通借地権のマンションは高く売れやすい傾向にある
借地権付きマンションも売れないということはありませんので、良い不動産会社と巡り合って売却を成功させてくださいね。